アメリカの医師は、通常は採血など、しない。病院では看護婦や採血技師がやるし、診療所では検査部または外部の検査機関への斡旋となる。でも研修医の時には、夜中とかに看護婦がとれなかったりした場合に、呼ばれたりする。熟練看護婦ができない採血を普段練習していない研修医ができる、というのは、これは基本的にはクレージーである。
まあそれはそうと、研究の現場ではいろいろできた方がよいわけで、動物の採血をしなければならないこともあるだろうし、第一秋には「研修医研修(acting internship, sub-internship)」と称してほとんどインターンの仕事をする月が2ヶ月も入っているので、採血くらいは上手な方がよい。
で、昨日はクリニックの検査部で採血を練習させてもらった。採血なんてきっと、MS-2年生のころの5年前以来であろう。まあみな健康な人ばかりで簡単は簡単、暈人だから泰然自若のひとがほとんどなのだが、中にはこわいひとも。あと、ある人なんかは、ジョークだったのだが、こちらの緊張状態を見抜いてか「I'm carrying a gun, you know」といって笑っていた。まあでも、「projecting confidence」というのか、まあつまりは翻訳すると「はったり」とかいうやつだが、芝居はだいぶうまくなった気がする。
2009年7月15日水曜日
2009年7月13日月曜日
Shit
今日もまた直腸鏡、クローン病関連の痔瘻。結構派手な炎症というか肉芽腫というかで、覗いた大先生は聞こえるか聞こえないかの声でひとこと「shit」。まあ、「クソ」というわけだが、直腸鏡をのぞいているので、たしかにliterallyに「糞」である。つい、吹き出しそうになってしまった。患者が向こうを向いて伏せていたのが幸い。
2009年7月7日火曜日
直腸鏡
カルテを打ち込んでいたら、消化器内科医でもある大差先生が寄ってきて、「ちょっとおいで」と。クリニックの処置室に連れられていくと、「こちらDr. Takagaki、今日は彼が直腸検査をしますからね。」まあ、若干詐欺混じりだが、確かにドクターはドクターなので、間違いはない。
俯せになっている患者を尻目(?)に触診からはじめて、身振り手振りによってあっけなく、はじめての直腸検査ができてしまった。以前から不思議に思っていたのだが、確かにこれだったら19世紀技術で十分可能である。大腸ガンは出口直前に発生することも多いのだが、体感してみて初めて検査の意味がわかった気がする。医学というのはこういう小さな体験の積み重ねによって初めて、全体像が見えてくるものなのだろう。
で大差先生も時々横からのぞきながら、無事、正常な直腸が確認できたのだが、患者は結構派手な血便 x1の愁訴だったので、まだ奥に何かあると考えられる。「今週中にまた、スコープするからね」と。
スコープは上からも下からも何度か入れたことはあるのだが、また頭の中で復習しておかないと、いろいろ教えてくださる先生にも、患者さんにも申し訳ない。
俯せになっている患者を尻目(?)に触診からはじめて、身振り手振りによってあっけなく、はじめての直腸検査ができてしまった。以前から不思議に思っていたのだが、確かにこれだったら19世紀技術で十分可能である。大腸ガンは出口直前に発生することも多いのだが、体感してみて初めて検査の意味がわかった気がする。医学というのはこういう小さな体験の積み重ねによって初めて、全体像が見えてくるものなのだろう。
で大差先生も時々横からのぞきながら、無事、正常な直腸が確認できたのだが、患者は結構派手な血便 x1の愁訴だったので、まだ奥に何かあると考えられる。「今週中にまた、スコープするからね」と。
スコープは上からも下からも何度か入れたことはあるのだが、また頭の中で復習しておかないと、いろいろ教えてくださる先生にも、患者さんにも申し訳ない。
2009年7月4日土曜日
家庭医療
家庭医療の外来実習、1ヶ月。制度的に家庭医療が専門科として設定されたのは1969年と最近であるが、本来、近代アメリカの医療の原点はこの家庭医療にある。つまり医学部卒業後1年間インターンとして研修し、その時点で一般医として産科・小児科・内科・ちょっとした外科など全般を行うべく、開業する。
で、今回の家庭医療実習は願い出て、去年の初冬に内科外来実習で一ヶ月配属になっていた暈関連のクリニックにまた置いてもらうことになった。残念ながら、前回主についていたお婆さん中イ左はアフガンに短期派遣されて留守だが、よく面倒をみてくださった指揮管大イ左などは「やあやあ、よくまた来てくれた。」と本当に嬉しそうに迎えてくださった。
で半年以上前とまったく同じ環境で患者さんと接していると、この1年間で、実にいろいろと身についていることがよく実感できる。
学生の実習形態としては、だいたい僕が最初に一通り患者の話を聞いて診察して、「まあ○○の感じです。では指導医を呼んできますね。おそらく、○○など、薬をお出しすることになると思いますよ。ちょっとお待ちください。」といって奥に下がる。そこで、一緒にやっている指導医に30秒程度の簡略なSOAPプレゼン、場合によってはプレゼンしなかった所見やプランの部分についてちょっとdiscussionしてから、また診察室に戻って場合によっては指導医が重要所見をとりなおし、二人で患者に説明しておしまい。
今回主につくことになっているおばさん指導委は、子育てのために退役してパートタイマーなのだが、そのこともあってか、実にのびのびと楽しそうに診療・教育を行う。たとえば、患者説明の段でいきなり話を振ってくる。「いろいろKentaと話し合った様子では、あなたはfibroid(子宮筋腫)のようですね。じゃあKenta、fibroidについてちょっと説明して差し上げて。」
そこで何のためらいもなく、病理・リスク因子・症状やnatural history・治療オプションについて、患者にわかりやすく話せるようになっている自分には、驚くばかりである。我ながら、関心。
で、今回の家庭医療実習は願い出て、去年の初冬に内科外来実習で一ヶ月配属になっていた暈関連のクリニックにまた置いてもらうことになった。残念ながら、前回主についていたお婆さん中イ左はアフガンに短期派遣されて留守だが、よく面倒をみてくださった指揮管大イ左などは「やあやあ、よくまた来てくれた。」と本当に嬉しそうに迎えてくださった。
で半年以上前とまったく同じ環境で患者さんと接していると、この1年間で、実にいろいろと身についていることがよく実感できる。
学生の実習形態としては、だいたい僕が最初に一通り患者の話を聞いて診察して、「まあ○○の感じです。では指導医を呼んできますね。おそらく、○○など、薬をお出しすることになると思いますよ。ちょっとお待ちください。」といって奥に下がる。そこで、一緒にやっている指導医に30秒程度の簡略なSOAPプレゼン、場合によってはプレゼンしなかった所見やプランの部分についてちょっとdiscussionしてから、また診察室に戻って場合によっては指導医が重要所見をとりなおし、二人で患者に説明しておしまい。
今回主につくことになっているおばさん指導委は、子育てのために退役してパートタイマーなのだが、そのこともあってか、実にのびのびと楽しそうに診療・教育を行う。たとえば、患者説明の段でいきなり話を振ってくる。「いろいろKentaと話し合った様子では、あなたはfibroid(子宮筋腫)のようですね。じゃあKenta、fibroidについてちょっと説明して差し上げて。」
そこで何のためらいもなく、病理・リスク因子・症状やnatural history・治療オプションについて、患者にわかりやすく話せるようになっている自分には、驚くばかりである。我ながら、関心。
2009年3月21日土曜日
赤髭先生
一緒にクリニックをやっていた先生。「そう、研究したいのね。まあ臨床も最近は全くお金にならないからね、その意味ではそういう誘惑からは自由になるわよね。思った通りのことをできるのはいいことだわね。」
その先生、お金のない患者さんで還付率の悪い保険に入っていて、高価な検査なんかをすると、事務に出す請求書類に「書き忘れる」のだそうだ。「だってさ、どうせい払えないんでしょ。」
この先paper pusher達がどんどん自動化を通して医者の首を締め付けてゆくと、こういう赤髭行為も不可能になるだろう。
その先生、お金のない患者さんで還付率の悪い保険に入っていて、高価な検査なんかをすると、事務に出す請求書類に「書き忘れる」のだそうだ。「だってさ、どうせい払えないんでしょ。」
この先paper pusher達がどんどん自動化を通して医者の首を締め付けてゆくと、こういう赤髭行為も不可能になるだろう。
2009年3月6日金曜日
Whiff test
膣分泌物と水酸化カリウムを混ぜて、においをかぐ。その臭いで、膣炎を診断するというやつ。ただでさえ、入浴するという良識のない人も多々いる中で、その上、臭いをかげ、と。
どうも、この科はやっぱり、適性がないらしい。
どうも、この科はやっぱり、適性がないらしい。
2009年3月2日月曜日
2009年2月3日火曜日
中耳炎
外部病院の回診。時々地域の退職した小児科医たちが、回診に参加する。である日、中耳炎が話題になった。「この時期子供が救急に行くと、たいてい中耳炎ということで抗生物質をもらって帰ってくるんだよね」と。特に小児科や小児救急ではなく、一般救急医が子供もみるような病院に、多いらしい。「子供の感覚がない人は、何か抗生物質を出しておかないと、不安なんだろうね。」「まあ、抗生物質さえ出しておけば、救急から追い払って大丈夫だと、勘違いしている節もあるし。」
2009年2月1日日曜日
社会の礎
外部病院での外来実習中、Grand Roundsで、Every Child Matters教育財団の方が講演をしていた。今回の景気刺激策だが、銀行の尻ぬぐいもよいが、将来の人材たる子供に投資してはどうか、というのだ。何でもアメリカは世界人口の5%なのに、世界の囚人の25%はアメリカの牢獄にいるらしい。そしてその囚人には多くの場合、子供がいるのだという。
こうして、犯罪層・貧困層は再生産されてゆくのだ、この悪循環を断ち切らないと、社会はどうしようもない、とその活動家はいう。もう、どうしようもないのかもしれない。社会の基盤がなっていないとはこのことだ。この国は、やはり、終わっているのかもしれない。
- 健康保険 無保険の子供... 800万人
- 虐待を受けている子供... 300万人
- 親が牢獄に入っている子供... 200万人
- 貧困水準以下の子供... 1300万人
こうして、犯罪層・貧困層は再生産されてゆくのだ、この悪循環を断ち切らないと、社会はどうしようもない、とその活動家はいう。もう、どうしようもないのかもしれない。社会の基盤がなっていないとはこのことだ。この国は、やはり、終わっているのかもしれない。
2009年1月28日水曜日
小児科preliminary year
研究が本命。でも、医師免許はいろいろな事情からあった方がよい。アメリカだと大学4年卒業してメディカルスクールさらに4年(研究医課程だと7,8年)だが、学位MDは別として、医師免許を取得するためには、さらに最低限1年間の研修が必要となる。つまりアメリカの医科大学院は、実質大学卒業後5年間の課程、ということになる。
研究などほかの方面に進む予定で免許だけ取りたい、という場合は通常、内科のpreliminary yearという一年間限りの研修(インターン)をやる。(一般内科医として認定を受けるためにはさらに2年、専門内科医として認定を受けるためにはその上さらに3年くらい研修が必要である)。まあ、外科のpreliminary yearや、いろいろな科をまわるtransitionalと呼ばれる一年もあるにはあるのだが。
で最近、小児科が楽しくてしょうがないし、他人とコミュニケーションをとるのが苦手な僕としては、内科より小児科の方が絶対に向いているような気がしてならない。また、科学的にも、小児科の方がおもしろい。というのは、何十年もの残渣がつもって起きる内科系の慢性病なんていうのは、一般的にいうと、そう簡単に実験系に落とし込むことはできない。癌みたいな大人と子供と両方起きる疾患だって、小児癌の方が総じて純粋な形で露見する。あと誤解を恐れずにはっきり言ってしまうと、大人までなかなか生き残れないような奇病だって、小児科なら世話をすることがある。そして、罪深い大人の騙し合いにも発展しかねない内科診療とは違い、少なくとも子供には、罪は、ない。
だから、もしも科学者として生き残れなかったら、小児科だろうと思う。でなければ、老人科ないしは腫瘍内科。死にゆく人も総じて、原罪のみの原初の形に回帰する。
ちょっと調べたら、数は少ないが、小児科のpreliminary yearというのも、あるらしい。すると、小児科に暮らしながら免許が取得でき、先々臨床(小児科)に戻ろうということになっても都合がよい。ただし、全米でポジションの総数は20足らず。研究が盛んなような病院(大学)に限っていうと、片手に収まってしまう。
だから今日はうちの大学の小児科の研修部長に話を聞きに行った。で、今までの成績とか履歴を見せたら、たしかにポジションの数は少ないが、そのポジションを目指す人も少ないわけで、このままいけば十分可能性があるような回答だった。だから、これからは「what do you want to go into?」と聞かれたら、迷わず、「peds preliminary year」と答えることとしよう。珍しいコースなので話のネタにもなるし、すかさず研究医課程の特待生であることをさりげなくintroduceするきっかけでもある(10中8,9、MD/PhD課程の学生だとわかると、指導医でも研修医でも、皆リスペクトというか丁寧さが変わる)。あと、小児科は総じて病院の中では下にみられがちだが、内心どこかでは皆、尊敬している気もする。
だけれども、免許だけ取得して、何年か研究をした後にまた小児科の研修に戻ろうとすると、それはそれで大変らしい。小児科というのは基本的には、2年目からの研修というのがなく、3年一環の教育が主流なのだ。また研修中の人の流動も少ない科なのだそうだ。そのうえ、臨床にギャップがあることは、好まれないという。ギャップなく、というと研修の1年目からやり直す、という手もありそうだが、そうすると政府からの研修補助金が余計な1年分は出ないため、金銭的に受け入れてくれる病院は少なかろう、と研修部長はいう。
ただ研修を完了して認定医でなくても、政府機関や国際機関で働く場合は、免許の有無だけで全然待遇が違うそうだ。そういう可能性については、全く考えていなかったので、とても参考になった。
まあ、とても親切な方でいろいろ教えていただいたので、とても充実したmeetingであった。
研究などほかの方面に進む予定で免許だけ取りたい、という場合は通常、内科のpreliminary yearという一年間限りの研修(インターン)をやる。(一般内科医として認定を受けるためにはさらに2年、専門内科医として認定を受けるためにはその上さらに3年くらい研修が必要である)。まあ、外科のpreliminary yearや、いろいろな科をまわるtransitionalと呼ばれる一年もあるにはあるのだが。
で最近、小児科が楽しくてしょうがないし、他人とコミュニケーションをとるのが苦手な僕としては、内科より小児科の方が絶対に向いているような気がしてならない。また、科学的にも、小児科の方がおもしろい。というのは、何十年もの残渣がつもって起きる内科系の慢性病なんていうのは、一般的にいうと、そう簡単に実験系に落とし込むことはできない。癌みたいな大人と子供と両方起きる疾患だって、小児癌の方が総じて純粋な形で露見する。あと誤解を恐れずにはっきり言ってしまうと、大人までなかなか生き残れないような奇病だって、小児科なら世話をすることがある。そして、罪深い大人の騙し合いにも発展しかねない内科診療とは違い、少なくとも子供には、罪は、ない。
だから、もしも科学者として生き残れなかったら、小児科だろうと思う。でなければ、老人科ないしは腫瘍内科。死にゆく人も総じて、原罪のみの原初の形に回帰する。
ちょっと調べたら、数は少ないが、小児科のpreliminary yearというのも、あるらしい。すると、小児科に暮らしながら免許が取得でき、先々臨床(小児科)に戻ろうということになっても都合がよい。ただし、全米でポジションの総数は20足らず。研究が盛んなような病院(大学)に限っていうと、片手に収まってしまう。
だから今日はうちの大学の小児科の研修部長に話を聞きに行った。で、今までの成績とか履歴を見せたら、たしかにポジションの数は少ないが、そのポジションを目指す人も少ないわけで、このままいけば十分可能性があるような回答だった。だから、これからは「what do you want to go into?」と聞かれたら、迷わず、「peds preliminary year」と答えることとしよう。珍しいコースなので話のネタにもなるし、すかさず研究医課程の特待生であることをさりげなくintroduceするきっかけでもある(10中8,9、MD/PhD課程の学生だとわかると、指導医でも研修医でも、皆リスペクトというか丁寧さが変わる)。あと、小児科は総じて病院の中では下にみられがちだが、内心どこかでは皆、尊敬している気もする。
だけれども、免許だけ取得して、何年か研究をした後にまた小児科の研修に戻ろうとすると、それはそれで大変らしい。小児科というのは基本的には、2年目からの研修というのがなく、3年一環の教育が主流なのだ。また研修中の人の流動も少ない科なのだそうだ。そのうえ、臨床にギャップがあることは、好まれないという。ギャップなく、というと研修の1年目からやり直す、という手もありそうだが、そうすると政府からの研修補助金が余計な1年分は出ないため、金銭的に受け入れてくれる病院は少なかろう、と研修部長はいう。
ただ研修を完了して認定医でなくても、政府機関や国際機関で働く場合は、免許の有無だけで全然待遇が違うそうだ。そういう可能性については、全く考えていなかったので、とても参考になった。
まあ、とても親切な方でいろいろ教えていただいたので、とても充実したmeetingであった。
2009年1月26日月曜日
下背部痛
中学生の下背部痛。内科外来の一ヶ月、暈関連施設にいたこともあって3人に1人は下背部痛だったので、内心、「よ・ゆ・う~!」
で、まあ心血管はないだろうし、髄膜炎や泌尿器も症状があわないし、ankylosing spondylitisとかそういう類のもちょっと幼すぎるし家族歴もない。モトクロスをするというからせいぜいが何かの具合でごく軽度のspondylolysthesisとかのmuskuloskeletalが有力、変わり種としては足の方もちょっとチクチクというし肥満体型だからせいぜい小児糖尿病の神経痛?、くらいの鑑別のつもりで必要なH&Pで裏付けを取って、内心「あとはばっちり、はんこだけ押してください」のつもりでS、O、A/Pとプレゼンしたら、白血病などのneoplasmも鑑別の上位に入れなきゃいけないのだそうだ。まあ、lethargyはないなどいった典型的な症状は型どおり聞いてはあったのだが、あまりまじめには考えていなかった。あと、虐待を受けている様子があるかどうか。
で指導医と一緒に戻って、よくよく聞き出すと、下背部だけではなく腰の骨も痛いらしい。歩いてもらうと若干claudicationがあるように見えなくもない。これも、甘く見てちゃんと所見をとっていなかった。小児の下背部痛は稀なので、結構気を遣うのだ、と教えてもらった。
問題ないといいのだが、A/PにはもちろんCBCなどを加えることになった。なるほど、同じ下背部痛でも、小児科だとこうも違ったflavorになるのだ。よいteaching caseであった。
で、まあ心血管はないだろうし、髄膜炎や泌尿器も症状があわないし、ankylosing spondylitisとかそういう類のもちょっと幼すぎるし家族歴もない。モトクロスをするというからせいぜいが何かの具合でごく軽度のspondylolysthesisとかのmuskuloskeletalが有力、変わり種としては足の方もちょっとチクチクというし肥満体型だからせいぜい小児糖尿病の神経痛?、くらいの鑑別のつもりで必要なH&Pで裏付けを取って、内心「あとはばっちり、はんこだけ押してください」のつもりでS、O、A/Pとプレゼンしたら、白血病などのneoplasmも鑑別の上位に入れなきゃいけないのだそうだ。まあ、lethargyはないなどいった典型的な症状は型どおり聞いてはあったのだが、あまりまじめには考えていなかった。あと、虐待を受けている様子があるかどうか。
で指導医と一緒に戻って、よくよく聞き出すと、下背部だけではなく腰の骨も痛いらしい。歩いてもらうと若干claudicationがあるように見えなくもない。これも、甘く見てちゃんと所見をとっていなかった。小児の下背部痛は稀なので、結構気を遣うのだ、と教えてもらった。
問題ないといいのだが、A/PにはもちろんCBCなどを加えることになった。なるほど、同じ下背部痛でも、小児科だとこうも違ったflavorになるのだ。よいteaching caseであった。
2009年1月21日水曜日
La Clinica
オバマ就任式は、幸い、大事なく終了。水を買い込んで備えた割には、拍子抜けだが、まあ、万が一に備えるというのはそんなものなのであろう。
小児科外来のローテーション。近郊の素敵な病院の一般外来に配属になった、その名もLa Clinica。いって最初に聞かれたのが、スペイン語の熟達度。「Do you speak Spanish?」ではなく、「How much Spanish do you speak?」。最初に渡されたのが、生後3日目と2週目の診察の際にもちいる主要フレーズのカンニング表。
でも、クリニックは午前中だけで、昼のカンファレンスが終わると帰れるので、勉強のしだめと、少しは研究の雑用もすませられそうだ。ラッキ~
小児科外来のローテーション。近郊の素敵な病院の一般外来に配属になった、その名もLa Clinica。いって最初に聞かれたのが、スペイン語の熟達度。「Do you speak Spanish?」ではなく、「How much Spanish do you speak?」。最初に渡されたのが、生後3日目と2週目の診察の際にもちいる主要フレーズのカンニング表。
でも、クリニックは午前中だけで、昼のカンファレンスが終わると帰れるので、勉強のしだめと、少しは研究の雑用もすませられそうだ。ラッキ~
2008年12月20日土曜日
Double barium swallow
クリニックの放射線の先生が、戸棚からごそごそと、古いフィルムをとりだしてきた。
「このabdominal film、読んでみてごらん。」
そういって、渡された、フィルム。
今時、本当のフィルムなんて、田舎の病院から転送されてきた患者とか、古い先生の講義の時くらいしか、お目にはかかれないから、まず、方向を間違えて馬鹿をさらしたりしないように注意しながら、メディカルドラマかなんかでみるように、勢いよく、viewboxに差し込む。PACSで自動化されていると、よほど技師がドジでも、フィルムの方向が違うことは、ない。
でまあ、食道のあたりから順に下に追っていくと、おやおや、回腸に何か細いホースのような筋が。「Oh, he has a parasite!」と興奮気味にいったら、どうやら、学生でこれが分かったのは初らしい。高校の頃だか、巷ではやっていた寄生虫の本を読んで、おもしろいので目黒の寄生虫博物館に見物に行ったのを、思い出す。
で、回虫かなにかだと思われるその寄生虫の消化管にも、バリウム造影剤が通っているのが、よく見るとわかるのである。この患者は、メキシコ移民で、その昔、ある年の1月の、最初の患者さんだったという。「まあこういうのは、アメリカでは、once in a lifetimeというやつかもしれないね」と、インド出身のその放射線科のおじいさんは、いう。「二体分の読影で、倍額を請求しようかとも思ったのだが」、と冗談。
「このabdominal film、読んでみてごらん。」
そういって、渡された、フィルム。
今時、本当のフィルムなんて、田舎の病院から転送されてきた患者とか、古い先生の講義の時くらいしか、お目にはかかれないから、まず、方向を間違えて馬鹿をさらしたりしないように注意しながら、メディカルドラマかなんかでみるように、勢いよく、viewboxに差し込む。PACSで自動化されていると、よほど技師がドジでも、フィルムの方向が違うことは、ない。
でまあ、食道のあたりから順に下に追っていくと、おやおや、回腸に何か細いホースのような筋が。「Oh, he has a parasite!」と興奮気味にいったら、どうやら、学生でこれが分かったのは初らしい。高校の頃だか、巷ではやっていた寄生虫の本を読んで、おもしろいので目黒の寄生虫博物館に見物に行ったのを、思い出す。
で、回虫かなにかだと思われるその寄生虫の消化管にも、バリウム造影剤が通っているのが、よく見るとわかるのである。この患者は、メキシコ移民で、その昔、ある年の1月の、最初の患者さんだったという。「まあこういうのは、アメリカでは、once in a lifetimeというやつかもしれないね」と、インド出身のその放射線科のおじいさんは、いう。「二体分の読影で、倍額を請求しようかとも思ったのだが」、と冗談。
2008年12月9日火曜日
... and her name wasn't even Mary!
先月の外来の話。
ついて教わっていた、カソリックの女医おばさん曰く、「あ~ら、患者なんて信じちゃいけないのよ。Sexしていないとかいってもね、必要ならばhCGは必ずとらなきゃだめよ。処女懐胎というのもあるわけだから。こないだもそんなので陽性があったばっかりだわ...」
ついて教わっていた、カソリックの女医おばさん曰く、「あ~ら、患者なんて信じちゃいけないのよ。Sexしていないとかいってもね、必要ならばhCGは必ずとらなきゃだめよ。処女懐胎というのもあるわけだから。こないだもそんなので陽性があったばっかりだわ...」
2008年11月15日土曜日
I'm Pulling Out Now
今日はクリニックの産婦人科の診療看護婦(Nurse Practioner、限定された医療行為を行う資格を取得した正看護婦さん)について、pelvic examを習った。医学部2年生の時、模擬患者で練習させられたが、オバアサンの模擬患者と、本物の若い女性では、考えてみれば当然だが、天地の差だった。
まあそれはどうでもよいのだが、speculum(膣につっこんで開くやつ)を抜くときに、「OK Ma'am, Try to Relax, It's Over, I'm Pulling Out Now」とかいったらしい。その患者が終わってから、うん、あなたこういったでしょ、「I'm removing the speculum」とかいう感じの方がいいよ、と指摘された。
もちろん、pulling outというのは性的なovertoneがあるから、こう指摘されたのだが、やっぱり無意識に使ってしまう言葉というのは、難しい。あとで普段ついているpreceptorのオバチャン女医さんに話したら、「あら、私ももしかしたらそういっちゃっているかもしれないわ。なるほど確かに気をつけた方がいいわね。」だそうだ。ということは、やっぱり、難しいのだ。
まあそれはどうでもよいのだが、speculum(膣につっこんで開くやつ)を抜くときに、「OK Ma'am, Try to Relax, It's Over, I'm Pulling Out Now」とかいったらしい。その患者が終わってから、うん、あなたこういったでしょ、「I'm removing the speculum」とかいう感じの方がいいよ、と指摘された。
もちろん、pulling outというのは性的なovertoneがあるから、こう指摘されたのだが、やっぱり無意識に使ってしまう言葉というのは、難しい。あとで普段ついているpreceptorのオバチャン女医さんに話したら、「あら、私ももしかしたらそういっちゃっているかもしれないわ。なるほど確かに気をつけた方がいいわね。」だそうだ。ということは、やっぱり、難しいのだ。
2008年11月12日水曜日
Primary Care
今日はある遺伝性hypercoagulabilityの患者さんだったのだが、ついている家庭医が愚痴っていた。「同じ患者さんでもね、内科医が診ると、初診45分、再診30分なのよ。私なんて、20分でしょ。こんな複雑な患者さんを20分ですべてマネージしろというのかしら。」
アメリカのプライマリケアは元来、じっくりと人間関係を築いて時間をかけてみるモデルなので、現代のマネージドケアでは、なかなかうまくいかない部分が多いようだ。と同時に、プライマリケアに一番、ツケがきているようだ(NEJM関連記事)。
アメリカのプライマリケアは元来、じっくりと人間関係を築いて時間をかけてみるモデルなので、現代のマネージドケアでは、なかなかうまくいかない部分が多いようだ。と同時に、プライマリケアに一番、ツケがきているようだ(NEJM関連記事)。
帝王学
今月働いている外来クリニックのディレクターは消化器なのだが、管理職の合間、少人数ではあるがまだ患者さんを持っている。おもしろい患者さんがあると、「ちょっとケンタ」とかいって、普段ついて患者さんをみているお医者さんのところから、連行される。で、患者の前で冗談を言いながら口頭試問(いわゆるpimping)を交えて、いろいろ教えてくれる。
今日別れ際に一つ、どういう具合だか、帝王学を授かった。気に入ってもらっているのだが、毛並みがよいと勘違いされているのだか、どうして僕に対してそういう帝王学を授けてくださったのかははっきりしないのだが、でもいずれ研究室を統率もしたいので、ありがたい。で、大左がいうには、「下の人を褒めるときは、なるべく他人の前で。下の人をしかるときは、必ず、プライベートで。」
このディレクターはいろいろ勝手なことをしながらも、クリニックの若い丘率たちから老暈医たちまで、総じて慕われているようだ。それは指渾官という上下関係だけではなく、帝王学ができている、ということもあるのかもしれない。
今日別れ際に一つ、どういう具合だか、帝王学を授かった。気に入ってもらっているのだが、毛並みがよいと勘違いされているのだか、どうして僕に対してそういう帝王学を授けてくださったのかははっきりしないのだが、でもいずれ研究室を統率もしたいので、ありがたい。で、大左がいうには、「下の人を褒めるときは、なるべく他人の前で。下の人をしかるときは、必ず、プライベートで。」
このディレクターはいろいろ勝手なことをしながらも、クリニックの若い丘率たちから老暈医たちまで、総じて慕われているようだ。それは指渾官という上下関係だけではなく、帝王学ができている、ということもあるのかもしれない。
薬の値段
頭痛治療の講義。
Sumatriptan/IMITREXといった類の薬は、実を言うと結構な値段らしい。今のご時世、患者によってはろくに薬をカバーしない保険も多いので(無保険の患者はどこの病院・医院でも、事務で追い払われるので、とりあえず心配しなくてよい)、薬の値段については神経を使わなくてはならない。かといって、片頭痛なんていうのは、ほかにはあまり手の打ちようがないようだ。
ePocratesを調べると...
なぜか、弱い錠剤のほうが、高い。で、講義した先生。たとえば50 mgではじめる場合、以前は100 mg錠を処方して、患者に半分に切って服んでもらっていたという。つまり患者にとっては、半額セール。だが、薬屋さんもだまっちゃいない、錠剤を、切りにくい三角形に変更したのだそうだ。だから、この手は、もう、使えないという。
薬理学みたいのは医学生だから勉強するのが当然だろう。でもそれに加え、薬価、さらにどの薬がどの保険でカバーされるか、さらにさらに錠剤の形状まで把握しろ、というのか?
何かおかしい。
Sumatriptan/IMITREXといった類の薬は、実を言うと結構な値段らしい。今のご時世、患者によってはろくに薬をカバーしない保険も多いので(無保険の患者はどこの病院・医院でも、事務で追い払われるので、とりあえず心配しなくてよい)、薬の値段については神経を使わなくてはならない。かといって、片頭痛なんていうのは、ほかにはあまり手の打ちようがないようだ。
ePocratesを調べると...
- 25 mg (x 9) $214.01
- 50 mg (x 9) $199.25
- 100 mg (x 9) $199.25
なぜか、弱い錠剤のほうが、高い。で、講義した先生。たとえば50 mgではじめる場合、以前は100 mg錠を処方して、患者に半分に切って服んでもらっていたという。つまり患者にとっては、半額セール。だが、薬屋さんもだまっちゃいない、錠剤を、切りにくい三角形に変更したのだそうだ。だから、この手は、もう、使えないという。
薬理学みたいのは医学生だから勉強するのが当然だろう。でもそれに加え、薬価、さらにどの薬がどの保険でカバーされるか、さらにさらに錠剤の形状まで把握しろ、というのか?
何かおかしい。
2008年11月7日金曜日
What is the most important organ in the body?
人体で一番重要な臓器は、患者の主訴の臓器なのだそうだ。たとえば、耳が痛いというのなら、耳。Physical examinationの教科書通り、系統だって頭から足まで順に診察したのでは、患者は無視されている気がするのだそうだ。そして主訴の部位について、すぐにpertinentな所見がすべてとれてしまった場合でも、主訴の部位については、もうひとしきり念入りに診察すると、患者の気が済むのだそうだ。
でそれを教えてくれたのはクリニックの老放射線家医で、現在ではほとんど患者に手を触れることはないのだが、たとえば腹部の超音波検査をする際などは、必ず患者に痛いところ・気になるところなどをきいた上で、そこにプローブを当てて始めるのだという。たとえそれが、主訴とは関係ないと思われる部位であっても、あるいは超音波では何も見えない部分だったりしても、まずは痛いところにあてて始めると、患者の気が済むのだそうだ。やっぱり医者は超級サービス業だ。
でそれを教えてくれたのはクリニックの老放射線家医で、現在ではほとんど患者に手を触れることはないのだが、たとえば腹部の超音波検査をする際などは、必ず患者に痛いところ・気になるところなどをきいた上で、そこにプローブを当てて始めるのだという。たとえそれが、主訴とは関係ないと思われる部位であっても、あるいは超音波では何も見えない部分だったりしても、まずは痛いところにあてて始めると、患者の気が済むのだそうだ。やっぱり医者は超級サービス業だ。
2008年11月6日木曜日
胸部X線写真の左右差
最新の単純X線写真は解像度が恐ろしいほど高い。筋肉や靱帯や、小腸のループまではっきりと見えてしまったりもする。一つには高解像度デジタルモニターでcontrast, brightness, zoomなどを自在に調節できる、というのもあるのだろうけれども、デジタルカセットや放射線源そのものも、少量の放射線でくっきりとした写真が撮れるよう、技術革新が進んでいるのだという。
で、こういう技術革新でわかることとして、正しく撮影されたCXRでは、lung markingは一般にいって男性の場合右、女性の場合は左の方が明るいらしい。右利きの男性は通常、右の大胸筋のほうが大きく、よって、右がより白く写るのだという。右利きの女性は通常左の乳房のほうが大きく、よって、左がより白く写るのだという。確かに、筋力トレーニングに凝っている男性患者で、表示設定によっては一瞬右側の浸潤と読みたくなるくらい左右差のある症例をみた。(そういえば以前も、大学病院のローテンションで胸部X線のミニ講義の際、右側のmastectomyによって左側全体の方が格段に白く、まるで教科書のような肺炎に見えるフィルムを読まされたが、そこに居合わせた10人くらいの学生で、右のbreast shadowがないことに気づいたものは、一人もいなかった。)
で、大胸筋・女房の左右差について教えてくれた放射線科医の老暈医は、女性の乳房左右差についてのdirty jokeをいっていたが、公の場ゆえここでは割愛する。いずれにせよ、優れた臨床家は、教科書や機械主義的な人体観には収まりきれないようなこういった人体生物学を、有していたりするようだ。
あと、そのおじいさんによると、academic medical centerの放射線科医は重病人の画像ばかり読んでいるため、ある意味では全体観が偏ってくるのではないか、という。彼によると、暈みたいなところにいると健康な画像をたくさん読むので、ある意味では画像に対する感覚が研ぎ澄まされるのではないか、という。
で、こういう技術革新でわかることとして、正しく撮影されたCXRでは、lung markingは一般にいって男性の場合右、女性の場合は左の方が明るいらしい。右利きの男性は通常、右の大胸筋のほうが大きく、よって、右がより白く写るのだという。右利きの女性は通常左の乳房のほうが大きく、よって、左がより白く写るのだという。確かに、筋力トレーニングに凝っている男性患者で、表示設定によっては一瞬右側の浸潤と読みたくなるくらい左右差のある症例をみた。(そういえば以前も、大学病院のローテンションで胸部X線のミニ講義の際、右側のmastectomyによって左側全体の方が格段に白く、まるで教科書のような肺炎に見えるフィルムを読まされたが、そこに居合わせた10人くらいの学生で、右のbreast shadowがないことに気づいたものは、一人もいなかった。)
で、大胸筋・女房の左右差について教えてくれた放射線科医の老暈医は、女性の乳房左右差についてのdirty jokeをいっていたが、公の場ゆえここでは割愛する。いずれにせよ、優れた臨床家は、教科書や機械主義的な人体観には収まりきれないようなこういった人体生物学を、有していたりするようだ。
あと、そのおじいさんによると、academic medical centerの放射線科医は重病人の画像ばかり読んでいるため、ある意味では全体観が偏ってくるのではないか、という。彼によると、暈みたいなところにいると健康な画像をたくさん読むので、ある意味では画像に対する感覚が研ぎ澄まされるのではないか、という。
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