2008年8月22日金曜日

Black Pearls

臨床上のちょっとした知識の断片をPearl(真珠)と称する。医学はこうしたPearlを、基礎知識の上に並べていく修行なのだと思う。

で、ガセねたの知識をBlack Pearlと称するらしい。「I don't want to give you black pearls, but if I remember correctly, the main indications for CABG over stenting are ...」てな感じ。(放射線科だと、たとえ内科のインターンをしても、こういうことは忘れてしまうのかもしれない。まして、研究医をや。)

2008年8月21日木曜日

Unclear Medicine

今日は核医学(Nuclear Medicine)をまわった。放射性同位体によってラベルされた多種の化合物を投与して、その動態を追うことによってさまざまな臓器の機能や病態を調べる。でも、autoradiographicな方法はPETにしても普通の撮影とかにしても、もやもやな像しか得られないから、unclear medicineだってさ。



放射線科はあまりヒエアルヒーがしっかりしていないようだが、聞くところによると、ほかの科から転入するレジデントが多いらしい。途中で外科の激務がいやになったり、内科の研修を終えてからさらに専門として心血管の介入などを行う場合など、様々な人がいる。だから、X年目レジデントといっても、メディカルスクールを出てだいぶ経つ人もいたりして、その上でもさらにそれぞれが、専門を持っている。あるレジデントによると、「私たちはそれぞれ、勝手に自分の道を歩いているのよね。最低限みんなができなきゃいけないことははっきり決まっているけれども。」

だからかもしれないが、レジデント同士や指導医ですらファーストネームで呼び合っている。で廊下を歩くときも、別に外科のように教授から順に並んで歩くわけではないみたい。時々誰かのワークステーションの前にわっと集まって、症例についてdiscussionしたり、突然パワーポイントを出してきて発表しあったり。

2008年8月20日水曜日

乳癌外来

今日は放射線科のMammography外来を見学。来週からは精神科で、見学ではなく実際に患者を受け持たなければならないという。せいぜいゆっくりしようと、今日もまたプールで30分ほど泳ぐ。

で、乳癌外来だが、先生はmammographを読みながら、時々診察室に出て行っては超音波。その超音波が実に上手で、世間話をしながら何気なく検査している。はじめはちょっと心配そうな患者も、これだったら安心できる感じ。でも、一緒に検査をしていたレジデントはどうしても、画面に集中してしまう。後で、「確かにはじめは集中しないと読めないけれどね、そういうときは患者さんに、『ちょっと集中して読みますけれども、心配しないでくださいね』ってちゃんといった方がいいよ。そうしないとしかめっつらをみて、心配しちゃうでしょ。」だって。うん、これはまさに接客業だ。

外科とか、普通の放射線科とか、病理とか、そういう変なところにでもいかない限り、患者とうまく世間話ができるのは重要でしょう。で男性相手だったらどうしても、野球とかアメフトの話ができた方がよい。といっても、どちらも興味はないし、そんなためにスポーツ面を読んだりするほど熱心でもない。恐ろしい高給取りの選手たちが球を投げるののどこがおもしろいのだか。

2008年8月19日火曜日

Interventional Radiology

今日はinterventional radiologyをまわった。X線透視化での、子宮動脈塞栓などに立ち会った。ちょうど選択で1ヶ月やっている4年生に面倒をみてもらったのだが、来年あたりに自分がこれほど状況を把握できているかどうかは、実に不明。その4年生は、4年目のレジデントの指図を受けながらやっていて。その後ろで部長教授が、時々、アドバイスやご託宣を述べる程度。

廊下で教授先生がある指導医と立ち話していて、「うん、J(4年目レジデント)はだいぶ仕上がってきたね、ほとんど任せておいて大丈夫。これからは、slave laborとしてこき使うphaseだね。」だって。

もちろん冗談なのだが、100%の冗談じゃない。

しかし、プシュっと造影剤を注入して、ぱっと動脈が染まるようなのをみて、若干だが感動してしまった。目の前の生きた患者さんの、生きた解剖学である。本で読むのとは、だいぶ違う。

2008年8月18日月曜日

MRI物理

今朝は研修医向けのMRI物理学の講義につきあわされた。講義をしたその指導医、おおよその仕組みはわかっているようでいて、よく聞いていると相当いい加減な部分がある。かくいう僕とて、別にMRを使って博士研究をしたわけではないし、物理とかは必ずしも得意ではないのだが、脳科学においては現在MRによる脳血液酸素測定が過剰に幅をきかせているため、博士課程でちょっとは勉強せざるを得なかった。

まあもちろん、比喩的で大雑把な理解でも、臨床現場においてはさして困ることはないのだろうけれども、こういうことがあると、ちょっと怖くなる。僕の理解のとうてい及ばない分野においても、きっと出鱈目な科学もどきがまかり通っている部分は、多いのではないだろうか。

だから結局、医学の本質は、科学とは縁遠いのではないのではないかと思う。もちろん、科学的な「説明」がついていた方が、いろいろな細かい臨床の手順を暗記しやすいことは間違いないが、結局は手順を暗記することが目的で、科学的な本質は、それ自身においては意味をなさないのではないか。高度かつファジーなheuristicこそが医学の本質で、病人が目の前にいたときに何をすればいいかという方針さえ立てば、あとは、実をいうとどうでもよいのではないか。

日常生活では、地球を平たいと考えた方が都合がよい。医学でも、「実際に何か手を打たなければならない」という要請に従って、科学を単純化・歪曲・誇大解釈する気質があるように思われてならない。でもそのつもりで地球の際を見つけようとしたりすると、時々、馬鹿を見ることもやむを得ないのか。

ニンニク(II)

以前も書いたが、ニンニクが好きで好きでしょうがない。

週末、買い物ついでに、Washington DCのタイ人たちが一番おいしいというThai Squareで、ニンニク風味の豚肉炒めを食べた。この店、安いけれども、いつもおいしい本格派である。米帝国の首都は世界中の人が一時的に暮らす妙な都市だから、こうした手頃で小さな本格派各国料理が多い。各国出身者を捕まえて尋ねると、大抵、おいしいのにありつける。

それはそうと、盛りつけがあまりに多くて一人では食べきれないものだから、doggie bag 1 を頼んで、半分持ち帰った。そこまではよいのだが、それをそのまま今日の弁当にしたのは、ちょっとまずかったかもしれない。容器のふたが緩かったこともあって、朝のカンファレンス中、鞄の中からニンニク臭が部屋中に立ちこめてしまった。昼はちょっと時間があったので、晴天の中庭で人目(人鼻?)を気にせず食べたが、その後、ガムで口直しをするのも一苦労であった。




1.ドギーバッグ... 米国の中級以下のレストランで食べた場合、食べきれなかった料理を使い捨て容器に詰めてもらって持ち帰る。これをdoggie bagというのだが、実際は犬にやるのではなくて、ふつうは、人が食べる。

2008年8月17日日曜日

強迫性人格障害

再来週からは精神科。ちょっと予習(復習?)と思ったら、早速Medical Student Syndromeに罹患してしまったようだ(医学生心気症症候群、自分がいろいろなビョーキだと思いこむやつ)。



DSM IV Criteria
Obsessive Compulsive Personality Disorder


A pervasive pattern of preoccupation with orderliness, perfectionism, and mental and interpersonal control, at the expense of flexibility, openness, and efficiency, beginning by early adulthood and present in a variety of contexts, as indicated by four (or more) of the following:
  1. is preoccupied with details, rules, lists, order, organization, or schedules to the extent that the major point of the activity is lost. (該当)
  2. shows perfectionism that interferes with task completion (e.g., is unable to complete a project because his or her own overly strict standards are not met) (該当)
  3. is excessively devoted to work and productivity to the exclusion of leisure activities and friendships (not accounted for by obvious economic necessity) (該当)
  4. is overconscientious, scrupulous, and inflexible about matters of morality, ethics, or values (not accounted for by cultural or religious identification) (該当せず)
  5. is unable to discard worn-out or worthless objects even when they have no sentimental value (該当)
  6. is reluctant to delegate tasks or to work with others unless they submit to exactly his or her way of doing things (該当)
  7. adopts a miserly spending style toward both self and others; money is viewed as something to be hoarded for future catastrophes (該当せず)
  8. shows rigidity and stubbornness (該当)

2008年8月16日土曜日

風邪

風邪を引きそうな感じ。読影室にほとんどこもっているので、別に病院だから、というものでもなさそうだ。楽な科のはずなのに、やっぱりストレスがたまっているのだろうか。葛根湯でも呑んであしたは一日ゆっくりした方が良さそうだ。

2008年8月15日金曜日

1万カロリー

今日は指導医もフェローも女性だった。で一緒に回っているのは女子学生ときたものだから、なんだか一人、取り残された感じ。

なんでもマイケル・フェルプスは相当へんな食生活らしく、一日1万キャロリー近く、食べているらしい。「あら~、私も1日1万カロリーであんな体格がほしいわ!」「そうね、スタート前のプール際に並ぶ一瞬だけでも、オリンピックは見た甲斐があるわ。」でさすがに放射線科だけあって、マイケル・フェルプスのsurface anatomyに話は移ったのだが、もうこっちは居心地が悪いったらありやしない。

女性って、陰ではいつもこんな話をしているのだろうか?あと立場が逆転したら、立派なセクハラでしょう。まあ公平を期するに、彼女らはビーチ・バレーのビキニの話もしてはいたのだが。僕は、トーテムポールの最下位である医学生として、無視されているのか、それとも、男性として、無視されているのか。いずれにしても、何だが「嫐」とか「姦」とか、変な漢字を思い出してしまう。

2008年8月14日木曜日

あんたちょっと、Azyxxiにログインしてくれない....

...家から使っていたら、なんだかブラックリストかなんかに載せられたみたいで、私のアカウント入れなくなっちゃったの。なんとかしなくちゃね。

とかいわれて、指導医のかわりに患者情報システムにログインすると、病院中の患者の検査結果やら手術の記録やらが、画面からあふれる。もちろん読影している患者さんも入っている。そんな医学生にね、全部筒抜けでOKなのかしらん。こんな時に、なんだか医療を供給する側にたったことを実感する。



「ほら云わんこっちゃない、Hep C陽性でしょ、この肝硬変はそれと、酵素とかもみてごらん、きっとアル中だから」

診察で皮膚の外側から体を探るのはまあ、一つだが、これは中まで筒抜けだ。

2008年8月12日火曜日

読影

ただの胸部Xせんからだけでも、恐ろしい情報量が読み取れるものだ。あるのかないのかわからないような線とかでも、「で、NGチューブがここからこうきてちゃんと胃にいっているでしょ」とか、「このtrachはちょっと位置が高すぎるかもね」とか、「あほら、これはbreast implantね」とか、「これは皮膚のしわ」とか立て続けにいわれて、どうしてそういう風に読んだか教えてはくれるし、確かにそういわれるとそんな気もするけれども、ファジーさが怖くて、何かにすがりたくなる。こんなのコンピュータには無理無理。

2008年8月11日月曜日

放射線科1日目

放射線科の選択実習2週間は、殆ど休日のようだといわれていたが、そのとおりのようである。8:30に病院に出て半日musculoskeletalの読影を見学して、それから指導医のレジデント向けの講義、レジデントの学生用講義、指導医による学生用講義と3時間で解散。学校のプールが夏の改装で今週閉じているのが、残念。少し川沿いでも走ってやろうか、そして来週は思いっきり泳いでやろう。



● それにしても、解剖なんて多かったり足りなかったり、結構いい加減なところもあるのだということが、知ってはいたが実感する。あとこの写真はちょっと撮り損ね、とか、この角度からはちょっといいけれないからまた撮り直し、とか、まあ判別はつかないけれどもどっちにしても良性だからまあ適当にごまかしておこう、とか、いろいろと複雑なものだ。これだから、完全な自動化はできない。自動翻訳と一緒で、結局、人間の眼・人間のpsycheを通してではないと、人間世界で有用な情報の摘出はできないのかもしれない。

● 恐ろしく高解像度の写真が、各医師の前に6台ずつ並ぶ大画面液晶に映し出されていて、圧巻。カルテはすべて電子形式、紹介状などの紙文章はすべてスキャンされている。

● カルテの書き込みはコンピュータシステムにdictationしていたし、見学していたレジデントは「手のCTは症例が少なくてちょっと苦手なんだ」とかいいながら、コンピュータシステムに組み込まれている解剖図版などを参考にしながら読んでいた。まあ、そういう人間の判断を支援する半自動化は、どんどん進むのだろう。



これは心して、次の精神科4週間と、それよりもその後に控える内科3ヶ月に向けて予習すべきであろう。つい、怠けてしまいそう。

白衣

今日から病院。おかしいくらいに、別段緊張はない。まあ、お金をいただいているんだから、一生懸命働いてあたりまえだし、最悪、退学になったって、研究員に戻ればいいだけの話でもある。そう思えば、別に馬鹿をさらすことも、無知でしかられることも、ちっとも怖くない。しかも、Dean達との相談で、楽な放射線科から始まるようにスケジュールを組んでもらった。

それにしても解剖、一つも覚えていないぞ... 2002年、何年前の話だ?MD/PhD課程は、そこらへんが、相当しんどい。

2008年8月9日土曜日

伊達めがね

体液などがが飛散して目に入るのが怖くて、今日は新車のフィットを繰り出してモールの眼鏡屋さん。0度のレンズ(レンズとはいわないか?)の入った伊達めがねを購入。

一時サルの実験をしていたときは、安全規定でそれこそ宇宙服のような装備だった。もちろん、実験眼鏡も必須。アトランタの猿研究所で以前、サルの小便が目にはねて、異種感染の脳炎で技官が死んだのだそうだ。

しかも病院では、病気とわかっているヒトを相手にするのだから、それ以上の装備でもよいようなものだが、さすがに、実験用の眼鏡では、仰々しい。

それにしても、ちょっと以前よりも賢そうに見える。あと、20代前半くらいの感じに若返りか?

2008年8月7日木曜日

車

病院実習は結構離れた病院にも行かねばならない可能性があって、アメリカだから当然公共交通では、無理。ヨーロッパで稼いだユーロと、その前に医学英語の翻訳で稼いだ貯金をはたいて、新車のFitを購入。値段なんてあってないようなもので、面倒くさい話だ。週末はドライブにでも行こうかな、一人で静かに。

HIPAA研修

患者情報保護法の研修。廊下で、大声で、患者について話し合ってはいけない。
なるほど。フムフム。守りますよ。署名。

2008年8月6日水曜日

ポケベル

ポケベル、PDAを受け取る。中学校くらいの頃だったか、日本でポケベルがはやったのは。僕を呼び出したってしょうがないのにさ、一応ベルトに引っかけると、それっぽい。SMSなんてものが、世にはあるのだが、まあよしとする...

PDAはなぜか学校指定はPalm。いろいろなあんちょこソフトも供給された。今時Palmを使っている人なんてそうはいないでしょ。しかも日本語が不可。メールはもちろん、そのほかについてもそれではちょっと使えない。今まで使っている東芝Genio e830とどう組み合わせるか、考えどころだ。

2008年8月5日火曜日

帰国

ワシントンDCに帰国。1年間のドイツ研究員生活も無事いったん終了。ただ、幸いにドイツ政府のHumboldt財団の研究員に内定したので、またとおからずドイツに戻ることになる。

で、病院実習は多分忙しいことも多いので、なるべく細かく日記にて所感を書き留めることを目標とします。



「世界の首都」は道が悪い。Autobahnと比べては悪いのかもしれないが、それにしても穴だらけ。穴だらけのインフラは道だけではない、スーパーなどの物価も1年で1.5倍近くに急騰。

これは斜陽か。

2008年2月22日金曜日

交渉

今夏からまた、メディカルスクール再開である。しばし休暇を取って、ワシントンにてそれらのアレンジなどをする。

カリキュラム担当の副学長との面談。

折衝の結果、どうやら、3年次の開始を、通常の7月1日から、8月後半にまで延期できそうだ。3年次は忙しいが、4年次に入ったら、「選択実習」の名目で半年近くまたドイツに戻れそうでもある。

3年次のうちに決めなければならないのは、臨床研修を行うかどうか。今の時点ではどう考えてもそのままポスドクに戻りたいのだが、副学長によると、PGY-1だけやって免許だけちゃんと取る、というのも考えたらよいとのこと。3年次の終わり当たりには、臨床研修の出願が始まるので、それまでに決断を迫られるというわけ。まあ、病院実習がよっぽどいやならば、迷うことはないのだが、そこら辺がneutralであったとして、難しい計算になる。一方では、実験屋として働き盛りの時期だし、でも、他方では、医師免許を持っていることはとても力になるし研究費も取りやすくなるであろう。

2007年8月27日月曜日

解剖学ソフト

学校の図書館で新しい解剖学ソフトを契約したので、試用してみた。

Interactiveと銘打ってはいるものの、実際の画面はビットマップで、完全にInteractiveではない。ただ、ほとんどリアルタイムで実際の解剖のようにはがしていけるし、クリックすると説明が出てくる。まあこれは技術的には大して難しいことではないので、遠からず実現するだろう。なにより、実際の解剖とは違って、各部位がはっきりと見えるし(あるかないか疑わしいような神経を含め)、何より、臭くない。

外科実習に入る前にこれで一通り復習しようかと思う。