2008年9月4日木曜日

Borderline

入院患者の数も徐々に増えてきて、いろいろ仕事が増えてきた。

退院の際に社会福祉団体やグループホームなどの世話をしなければならない患者が多い(つまり社会的に機能できない患者で家族のサポートがない場合)。で、そういう仕事は金にならないから病院経営側はきちんとしたケースマネージャーを病棟につけない。結局は医学生が奔走することになる。



あと昨日は何人かいるborderlineの患者の一人がroundsの際に特にひどく、attendingに噛み付いた(not literally)ので、もちろんattendingはクールにうまくあしらったのだが、慣れないこちらは気分が悪くてしょうがない。あるいは、何食わぬ顔で偽病の患者など。信じちゃったよ。はじめはattendingやresidentが偽病だと決め付ける理由が、わからなかった。

でちょっとあまりに気分が重いので、大学院の友人を誘ってのみにいっちゃった。今日はおかげでちょっと眠いけれども気分は晴れた。

2008年9月3日水曜日

病院禁煙

来る11月20日より、大学病院全体が禁煙となるらしい。駐車場含め、構内すべて。指定喫煙所も、すべて取り壊し。

これは患者を退けることになるのではないか、と心配もある。たとえば、分裂病患者のように、自己投薬のような意味での喫煙率が非常に高い疾患群もいくつかあるのだが、そんなこんなで精神科では特に心配していた。

あと、医者とか看護士とかでも、意外と多いんですよね。

2008年9月2日火曜日

同級生レジデント

今日からレジデントのシフト交替である。今度うちのチームのレジデントは、実をいうとメディカルスクールの1,2年の時の同級生(2006年卒)。内科研修を1年やってから精神科に転向したので、卒業3年目でも、精神科ではPGY-2。しばらく当時の同級生の話などをして、不思議な気分であった。

アメリカでは、家族の地理的な事情などがない限りは、大学を卒業して研修はよその大学に移るのが普通で、理想とされる。でもまあ当時の同級生の何人かは居残っているので、これからもレジデントとして師事することになるだろう。

MD/PhDというのは、こういう面でもちょっと不思議だ。

2008年9月1日月曜日

今後の予定

Humboldt財団の研究員に任命されたので、また来年夏には、ドイツに数ヶ月戻れそうである。金曜に学生部長(?)みたいな教授と話したら、実に前向き。ただ、2010年度のマッチは、参加できないことになりそうだ。これから、学生委員会にまたカリキュラム変更のrequestを書かなければならない。

で研究がうまくいっていたら、そのまま2010年夏~秋に卒業後、そのままポスドク。研究がうまくいっていなかったら(仮にその時点での筆頭著者引用点数が、30を超えない見込みだったら、と定義しよう)、2011年のマッチに参加することになる。

もしも2011年のマッチに参加する場合は、2010年度は一年間、ぼちぼち研究とレジデンシーの面接を進めながら、サマーコースやAway Rotation三昧でいろいろな科、いろいろな大学を体験できることになりそうだ。日本でもどこか、1ヶ月くらい置いてもらえないだろうか。あるいは、ドイツも面白いかもしれない。

本当は研究が一番したいのだが、↑も結構、面白いかもしれない。

2008年8月31日日曜日

Labor Day Weekend

明日は「Labor Day = 勤労感謝の日」で3連休なのだが、今日は休日出勤で「勤労の日」になってしまった。といっても、僕自身プライベートでこれといって特に何もないので、なるべくほかの同級生が休みを取れるようにと、立候補したのではあるが。

で、朝は少ない入院患者をround。入院病棟の2チームと病院内コンサルトをすべてカバーしたので、いろいろな患者について、ゆっくり面接することができた。

2008年8月30日土曜日

My name is Kenta...

...and I'm a caffeine addict.

本当はDSM-IVでは、caffeineに関してはdependenceは定義されないのだが、まあ、そこら辺は話をおもしろくするために、大目にみよう。一端dependenceの診断を受けたら、一生、その物質に関しては依存状態にあると定義される。

だから仮にcaffeineに関してdependenceが存在したとしたら、僕は、「dependence with sustained partial remission」ということになるだろう。大学の頃は、まさしくこの通りだった...



A maladaptive pattern of substance use, leading to clinically significant impairment or distress, as manifested by three (or more) of the following, occurring at any time in the same 12-month period:
  1. tolerance, as defined by either of the following:
    (a) a need for markedly increased amounts of the substance to achieve intoxication or desired effect (該当)
    (b) markedly diminished effect with continued use of the same amount of the substance (該当)
  2. withdrawal, as manifested by either of the following:
    (a) the characteristic withdrawal syndrome for the substance (refer to Criteria A and B of the criteria sets for Withdrawal from the specific substances) (該当)
    (b) the same (or a closely related) substance is taken to relieve or avoid withdrawal symptoms (該当)
  3. the substance is often taken in larger amounts or over a longer period than was intended (該当)
  4. there is a persistent desire or unsuccessful efforts to cut down or control substance use (該当)
  5. a great deal of time is spent in activities necessary to obtain the substance (e.g., visiting multiple doctors or driving long distances), use the substance (e.g., chain-smoking), or recover from its effects (該当)
  6. important social, occupational, or recreational activities are given up or reduced because of substance use (該当せず...自覚がないだけだったか?)
  7. the substance use is continued despite knowledge of having a persistent or recurrent physical or psychological problem that is likely to have been caused or exacerbated by the substance (e.g., current cocaine use despite recognition of cocaine-induced depression, or continued drinking despite recognition that an ulcer was made worse by alcohol consumption) (該当)

Sex Addiction

X-FilesのDavid Duchovnyが、「sex addiction」でリハビリ入院したそうだ。DSM-IVには、こんな診断はないのだが、レジデントによると「sex addction」は、性障害NOSではなく、衝動制御障害NOSと分類されるのではないか、という。性に関連した障害があるわけではない。今日はまた入院患者がほとんどいなかったので、そこら辺の雑談から入って、衝動の制御に関連した疾患と診断基準のミニ講義となった。指導医がきてのroundsでも、そこらへんのdiscussion(雑談?)が続いた。

一つ学んだことは、DSMの診断は、必ずしも実体のあるものではなく、それこそ、仮「診断」(とそれに基づく治療・病態研究)と「統計」の「手引」なのだ。もちろん、いろいろな症例で繰り返し同じような現象がみられることも、驚くべきほど多く、その意味では仮診断でも相当的を射たものがあることは、間違いない。でも、病理機序についてはっきりとした結論が全くない以上、それは仮の分類に過ぎないことも、確かなようだ。

2008年8月29日金曜日

ブログランキング

久しぶりにブログランキングを覗いたら、最近になって急浮上している。どなたか、リンクでもいただいたのでしょうか。いずれにせよ、ご投票ありがとうございます。もしも面白い記事があったら、今後もどうぞ、右欄のリンク(→)からご投票ください、よろしくお願いいたします。

「はじめに」でも書いたとおり、主目的はエッセー執筆のためのメモなのですが、お読みいただいている以上はなるべく意味が通じるようにいたしたいと思います。略語などなど、引っかかる部分があれば質問などもどうぞ。あと、書く者としてはコメントもとてもうれしい限りです。

2008年8月28日木曜日

Axis V

DSM-IV分類のAxis Vは、Global Acessment of Function (GAF)、つまり、精神の総合評価、100点満点。

レジデントによると「GAFは無意味だからテキトーに書いてもらっていいんだけれど、患者が保険をはじかれないように、必ず30点以下にしておいてね」だって。あと、もちろん細かく点数の分布が決められているので、試験では多分何かしら聞かれるのだろう。精神科修了のためには全国共通のshelf examに合格しなければならないのだけれども、この試験、相当難しいらしい。

そういえば、薬についても「ziprasidone(GEODON)は、もし試験で聞かれたら<QT間隔延長を引き起こしやすい>というのが正解だけれども、それは過去の研究から生じた評判で、最新の治験によるとそうでもなさそうなんだよね」とか、そういうたぐいのpearlもどきも、日常茶飯事のようだ。

医学は、保険屋と試験のために存在しているのかもしれない。

Lithium subpopulation physiology

State-dependent memory

2008年8月27日水曜日

Medical SchoolのSOAP

チームのレジデントによると、Medical School 4年間の臨床教育は、だいたいSOAPに沿っているという。

1年目... Subjective (病歴聴取)
2年目... Objective (physical diagnosis、診察)
3年目... Assesment
4年目... Plan

だから今年は、きちんと患者の病状を把握・記述・プレゼントして、鑑別診断を挙げられることが一番重要ですよ、と。それができないと、治療計画など立たないから、当面はPはあまり心配しなくてよいのだそうだ。

The First Lesson

入院していた患者の退院もほとんどすませて、あとは長期入院の二人。昨日の晩も今日も新患は、内科から転送された一人のみで、もう一つのチームが拾った。だから、2時になったらレジデントが、「今日はもういいよ」といってくれた。

さすがに2時は早い気がしたので、「じゃああと少し残って今日は早めに帰ります」といったら、「third yearで学ばなきゃならない1番目のことはね、レジデントに帰っていいといわれたら、帰ることだよ!」

なるほど、ふむふむ、「Auf Wiedersehen~!」

2008年8月26日火曜日

F/U

カルテにはいろいろな略語があるが、なれていないと時々、変に読んでしまう。たとえば「F/U」。Follow upということなのだが、どうしてもFu*k youに見えてしまう。

で、昨日HI/SI(他殺企図あり、自殺企図あり)といっていた患者さんは、精神科入院病棟に飽きてグループホームに帰りたくなったらしく、今日はHI/SI/PDW全くなしとのこと。以前はデイプログラムの作業療法に通っていたのだが、グループホームの係の話によると、健康保険の削減で、デイプログラムにいかれなくなったという。それでデイプログラムをやめて以来、月に2,3回は地域の救急に現れて、HIとかSIとかいって入院するらしい。要するにattention seekingの偽病なわけだが、こちらとしては致し方ないから、レジデントに習いながら午後、無事退院させた。

ERとか精神科病棟への入院は、社会全体のレベルではとても費用が高くつくわけで、それでもデイプログラムを中止させられてしまうあたりに、アメリカの民間保険の破綻の一端が見られる。いわれてみれば当たり前だが、「貧乏な病人は死んでしまえ」というのが、収益機関としての民間保険の本質なのだ。当然だが、人の幸せなんて、どうでもよい。

ようするに、F/U。

2008年8月25日月曜日

Takedowns

そうそう、今朝大学病院内の病棟割り当て(入院病棟、精神科コンサルト、外来デイプログラム)のとき、どれでもいいので希望を言わずにいたら、チーフレジデントに「Oh, we definitely need a guy on inpatient for the takedowns」とかいわれて、入院病棟に割り当てられた。

Takedownというのは、患者が暴れだして経口の鎮静剤を拒否した場合、押さえ込んでhaloperidolかなにかを筋注するやつ。で、男手が必要だとのこと。確かに病棟に行ってみると看護婦さんもレジデントたちもみんな女性、一緒に配属された学生もみんな女の子。そんなこんなで早朝からビビっていたのだった。多分、冗談だったのだと思うのだけれど...

精神科初日

今朝はどこに行ったらいいのかわからなくて、だいぶばたばたしてしまった。でも幸運この上ない。よくわからないし、精神科の教育係にも連絡がつかないので、まあいいやと大学病院の病棟に出頭したら、すばらしいチームに割り当てられた。精神科入院病棟で、チームのresidentもattendingも教育熱心。しかもよくありがちなお節介でいろいろな課題を押しつけるような教育熱心ではなく、もっとlaid backな感じ。これはのびのびと勉強できる1ヶ月になりそうだ。

で、あとから聞いたら、本当は僕は、退役軍人病院(VA)に割り当てられていたらしい。朝から車の運転も面倒くさいし、第一、腕力が強くてしかも重篤な精神疾患を抱えている退役軍人が相手では、空恐ろしくていろいろ勉強しているどころではなかったかもしれない。こっちの精神の方がどうかしてしまいかねない。

Georgetownは精神科入院病棟といっても、voluntaryだけなので、まだまだ穏やかであるし、しかも肉体的に脅威となるような患者は、とりあえず今のところいないので、まあ心配ではない。でも最初の受け持ち患者さんからいきなりカルテにHI(homocidal ideation、他殺願望)とあって、ちょっと最初から小便をちびってしまいそうだったが、実際に会ってみるとそれほどでもないし、安全対策も万全だ。

2008年8月24日日曜日

おいおいおい

明日から開始の精神科実習、4週間。

以前渡されていた資料では、明日8:30に科の会議室に集合、とあったのだが、先ほど突然、明日は9:00に割り当てられた病棟に直接出頭せよとのメール。前日の夜ですよ。

しかも、しかも、僕は病棟が割り当てられていないようだ。もう嫌になっちゃう。

まあ、いろいろカリキュラムの融通を利かせてもらって変則的なスケジュールなので、少々手違いがあっても文句はいえないのかもしれない。

明日の朝は早朝から、事務はじめいろいろと駆け回ることになるだろう。ああしんど。

末期症状

洗濯が間に合っていなくて寝間着がなかったので、そこら辺に転がっているscrubs(手術着?)で寝てしまった。もちろん衛生的には問題ないのだが、ちょっとはやくも末世的。まだそんなには忙しくないでしょ。

しかしてアメリカでは一般的にこのscrubsを着て外を歩き回ることが行われるが、何となく衛生的ではない。外科系や看護師に多い。白衣にしたってそうだ。食堂に白衣を着ていったら、白衣の意味がないと思うのだが、そういうことはあまり深く考えてはいけないのだろう。

2008年8月23日土曜日

海外医学生のAway Rotation

アメリカのmedical schoolの最終学年(4年)は通常、内科のassistant internship(subinternship、研修医の予行演習のようなもの)1ヶ月などといったごく少数の必修研修を除いては、選択実習となる。この間、全米各国のmedical schoolに出て行って、1ヶ月単位のaway rotationをすることが盛んだ。多くの場合、これは研修でマッチしたい病院に出向いてのオーディションも兼ねていたりする。

アメリカ国内でのこうしたaway rotationはシステムがそろっていて、比較的簡単にできるし、全米メディカルスクール協会(AAMC)の内規で、費用も$100(1万円)程度である。ところが、海外からとなると、とたんに難しい。公式には海外学生を受け入れない学校も多く、受け入れる学校でも$2000以上の月謝をとったりする。



ドイツの友人に頼まれて、ちょっとそこら辺の事情を調べた。かれは、$2000(しかももちろんその上に、旅費と滞在費が重なる)はちょっと無理なようで、何とかならないか、と。

調べたところによると、この$2000は大部分がmalpractice insurance(医療過誤保険)代に充てられるようだ。臨床に関わる医学生だって医療過誤訴訟の被告となりうる。別段責任の重さにかかわらず、もしも金持ちだったりして医療過誤弁護士に目をつけられたら、いくらでも、医療過誤の訴訟の被告となりうるのだ。米国内留学の場合は、AAMCの申し合わせで、基本的には、在学のメディカルスクールが過誤保険を準備することになっているため、費用も安い。

でドイツの友人に話を戻すと、彼は英語もほぼ完璧だし、ドイツの学校の過誤保険と追加保険で海外もカバーされているというので、場合によっては何かうまくアレンジできるかもしれない。ドイツでも世話になった悪友なので、もしも探ってみたいというのなら、うちの大学だったら僕でも学長陣や事務方に掛け合ったりはできる。もしきたら、アメリカのまずいビールを飲みながらまたあることないこと語り明かすことになるだろう。

で、アメリカのシステムでうまく融通を利かせるこつを伝授した。まずはコネが重要。必ずしも強力なコネでなくても、地元の教授にお願いして、行きたい先の知り合いに一言入れてもらうだけでも違うと考えられる。この根回しによって、医学部の事務は無碍には握りつぶせなくなる。その上で、その○○先生とコンタクトをとっていることと、さらに過誤保険が不要であることを明示した上で、願書と履歴書を送付すべきであろう。

公式には海外学生を受け入れない、という学校でも、○○先生とコンタクトをとっていることと、過誤保険が不要であることを明示して、英語力の証明となる材料とともに履歴書を送付して問い合わせたら、閉じた扉が開く可能性もないわけではない。ドイツや日本では絶対にそういう融通は利かないが、アメリカというのは、そういう社会なのである。



日本の医学生の場合は、英語力と過誤保険の両方が問題となるため、またおそらく5,6年生のスケジュールが欧米各国のように融通の利く臨床ブロックではなく時期的にも難しく、だから学校で組織してもらった海外実習以外というのは、相当難易度の高い離れ業かもしれない。

参考リンク
AAMCの学外実習データベース

2008年8月22日金曜日

病院インターネット

レジデントと話していて、Dubinという、みんなが一度は読む心電図の教科書の話になった。このDubin氏、小児虐待だか猥褻だかで免許剥奪になった医者だというのは有名な噂だが、この噂の審議やいかに、という話題になった。

じゃあ、インターネットで調べようということになったのだが、レジデントは「molestation」とかそういうキーワードはまずいだろう、と「dubin child」を調べた。企業とかはよく、社員のインターネット利用を監視しているというが、病院のインターネットで変なのを調べてもやはりまずいのだろう。研究者とかは、そういう保身の態度はふつう全くないので、ちょっとカルチャーショック。病院という所は、研究室のような遊園地ではなく、本当の職場なんだな。