先日「脳をみてみたい」、とブログした。実際外科というのは、手術がおもしろいのが醍醐味なのである。でも逆に、これはある意味、患者の不幸を願っているともとれる。
それで念願かなって、昨日と今日の当直と、十二分に脳とおつきあいすることになった。Aneurysm clippingとintracranial hematomaの助手。
とりわけ2件目は、産婦人科、移植外科、脳外科と長いあいだfollowしてきた患者さんなので、さらに妙な気分。別にストーカーじゃないんですけれども、なんだか僕がローテーションするとその科の疾患に罹ってしまうような。よりにもよって僕が脳外科当直の休日に、緊急手術が必要になるとは。2月に産婦人科を回っていた頃から入院しているのだが、人のいい旦那さんとかわいい幼児を残して、瀕死状態である。硬膜をあけたら、raspberry jamのような黒いドロドロが押し出されるようにして顔をのぞかせる。白く浮いているのはいうまでもなく、血腫によって圧死した脳片である。
もちろん、重篤な疾患で入院した患者さんにとっては、経験豊富な医師がそこにいることはなにより重要である。だが、やはり、人の死が仕事かつ醍醐味であるというのは、ちょっとヤクザっぽいことは否めない。重病人がいなければ、医師は育たないし、経験も積めない。その点基礎研究は、研究費さえ稼げれば、誰の不幸をも願わずして、自分の重要と思う仕事を進めることができる。とても無責任な考え方ではあるが。
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