2009年2月28日土曜日

Medical Expertise

医療と関係ない知人と話していて、思ったのだが、プロとしての医学者を目指す立場というのは「全体観」をはぐくむことである気がする。

たとえば、「予防接種の添加物によって自閉症のリスクが高くなるかもしれない」という情報を考えた場合、その事象自体については誰だってネットを引けば「情報」を入手できるわけだが、その情報の評価については、もうすこし専門的な見知が要求される。たとえば、<この自閉症リスクについては非常にquestionableな結果しか出ていないこと>と、一方で、<予防接種を受けないことによる感染リスク・感染死亡リスクは疑いの余地なく確立されていること>などを、総合してとらえなければならない。

臨床一般についても、その教育の要は、こうした情報のstratificationとcontextualizationにあるような気がしてきた。そして、contextを理解した上でstratificationがしっかりしていないと、行動の優先順位はたたない。



まあ、こうした「全体観」というのはどういう職業にしても、プロとしては必要なものであろう。だが一方で、アメリカ人のyuppie層には、根強い情報信奉主義があって、何でも調べればプロになれると考えている節がある。

このたびの経済危機で、この机上の情報のもろさがはっきり露見したわけだ。情報は、その文脈がしっかりしていないと、意味をなさない。いくら経理上儲かっていても、きっと、経済全体を俯瞰する立場を持つプロにとっては、あんなバブルは不可能、というcommon senseがあったのではないかと思う。



最近全く脳関係の読み物をしていないこともあって、脳科学観は伸び悩んでいるわけだが、もう一回り上位の、<人体という文脈の中での脳という現象についての理解>はあるいみ深まってきた気もするのである。希望的観測ではあるが。

2009年2月27日金曜日

Bless me Father, but have I sinned... ?

今日は、緊急D+E(中絶)の準備手伝いで駆け回っていた。母親が死んだら当然赤ん坊も死んでしまうような在胎齢だし、医療上も絶対的に必要である。でも、カトリックの大学病院では、絶対に必要でもなかなか倫理委員会の許可がおりない。書類や道具も調っていないし、第一、普段からこれをやっている指導医がいないので、関連病院から指導医を招くことになった。とても人のいい大柄の産婦人科医が、道具を担いでやってきた。

どでかい吸引カテーテルで掃除機のように吸い出してから、残りをきれいに削り取る。残渣があると、出血や感染の元になりかねない。そして最後の残渣を「キュッ、キュッ、キュッ」と削り取る、この子宮の音を、uterine cryと呼ぶ。子宮の泣き声。

別に、僕自身、罪の意識は全くない。バラバラ状態になった16週くらいの胎児が机の上に並べられても、全く動じなかった。先週超音波をごろごろ転がしていって、病棟でみたときには、元気に泳ぎ回っていた胎児だ。そして全く動じない自分に、むしろ、動じたくらいだ。

2009年2月26日木曜日

緊急手術

赤ちゃんなかなか降りてこない。そして、心拍がどうも怪しげ。よって緊急の帝王切開となった。真夜中ちょっと過ぎに出てきて、はじめは「オギャア」がなかなか出ないので心配でもあったが、どうやら元気そうだ。

不思議なもので、母子ともに(笑顔のとれないお父さんも含め)、こんなに人の一生に近く寄り添うことなんて、他人としてはありえない体験だ。

2009年2月24日火曜日

Sausage工場

「○○はソーセージと一緒。どうやって作るかは、知らない方がいい」というのは、米語ではごく使い古された言い回しである。○○には法律、とか、いろいろなことばを当てはめてよいが、「赤ちゃん」というのは、どうだろう。

映画Alien。Ridley Scott監督は感染者の腹部からエイリアンが孵化するシーンを創造するにあたって、どう考えても、人間の出産をイメージしているとしか思えない。血や羊水が飛び散る中で、どう考えても出てくるはずのない穴から、母胎を破壊しながら赤ん坊は生まれてくる。しかも元気がよかったりすると、まさにalienのような叫び声を出す。

しかも現実は映画よりもグロテスクなのである。生きるというのは決してきれい事ではない。ヌメヌメ、ドロドロした穢い営みという側面は必ず、そこにある。それを実感する周産期病棟の毎日だ。

2009年2月23日月曜日

Pregnancy is an STD

ある他科の指導医曰く、「妊娠は、STD(*性感染症)の一種だからね。」確かに、不都合な症状から重篤な合併症まで、いろいろ厄介ではある。母親には、頭が、あがらない。

*sexually transmitted diseaseという用語を直訳すると「性行為によって伝播する疾患」ということなので、感染には限らない。だから、このジョークが成り立つのである。

2009年2月22日日曜日

死と生の狭間で

周産期病棟にいるので、普段は産婦人科のコンサルトは関係ないのだが、休日当直のクロスカバーで、ある患者さんと関わることになった。肝臓あたりの静脈に血栓ができてしまうような症候群で、妊娠3ヶ月なのにまるで6,7ヶ月くらいのおなかの膨れよう。

あさ、超音波をころころ転がしてレジデントと一緒に診察、胎児が泳ぐのを生まれて初めて目撃。周産期病棟ではもう大きすぎて、頭だけとか足だけとかしか見えない。でもこのくらいの胎児だったら、超音波画面いっぱいに泳いでいるのがわかる。上に、下に。でんぐり返し。

妊娠中絶の反対論については、以前から動機がわからずにいたが、これをみると、理解はできる。でも、お母さんの治療のために、きっと、この赤ちゃんは犠牲になるのだ。3ヶ月では、お母さんが死んだら胎児も死ぬわけで、選択の余地はまあ、なさそうだ。第一、比較的元気そうなこのお母さんも、容態の悪化は着実に進んでおり、来週まだ生きているかですら不明。

コンサルトの目的は、胎児の健康を考慮した治療計画と、進行性の貧血が膣にたまっていないかなどの評価だったのではあるが、これは「胎児の健康」などといっている余儀はない。基本的には傍観のコンサルト経過となりそうだ。

小児科もそうだが、普段喜びが大きいだけに、こういうことがあると、心に響く。

2009年2月20日金曜日

Cheerios

学齢前くらいの子供の診察。指導医と一緒に外来に出て行ったら、お腹を触診するときに、「じゃあ、朝ご飯何食べたか、調べるね... Cheeriosでしょ。」

Cheeriosは人気のシリアルなのだが、これでいくと、結構当たるらしい。「違うの?じゃあ、聴診器で調べるからね。」

小児科の診察は、子供の年齢相応に、対応するのが、肝心らしい。

略語の嵐

産婦人科は、特に、ひどいようだ。

Mrs. Smith is a 35 yo G6P4025 who is PPD#1/POD#0 s/p VAVD + LTCS with IVF di/di twins. Prior pregnancies were all NSVD with no complications, prior course was uncomplicated except for well-controlled GDM and GBS+. She presented Wednesday noon at 35 2/7 WGA with PROM, both twins were vertex per US. Abx ppx was started yesterday morning. Twin A was delivered yesterday night at 10 via VAVD, and twin B via STAT LTCS at 2 this morning 2/2 CPD/AOD and NR-FHT, complicated by PPH. Oxytocin was given and lochia is since minimal, afebrile + HR/RR/BP WNL, PP H/H = 8/24 w no Ssx and UO 500 ml/4hr via FC. Fundus U -1 finger-breath and firm.

結構複雑な患者でも、これで大体、様子がわかるというやつ。それをすらすら読めるのが、おそろしい。

2009年2月19日木曜日

レジデントの妻

他科のレジデントが妻の帝王切開。その他科レジデントがどの先生の外来に来るかをみると、実に、目の付け所がよい。当然だが。外科は結構簡単に、腕の差が、わかってしまう。

2009年2月18日水曜日

産婦人科

レジデントも、アテンディングも、みんな親切。でも、子供が生まれるというのは実に汚く苦しい営みなのだということを初めて実感。お産にしたって帝王切開にしたって、羊水と血が飛び交ってあまりきれいなものではない。

今まで回った科は、これを一生やっても、いいかもしれない、と思うことも時々あったが、産婦人科はこういう気持ちにはなれなさそう。興味深いながら、最低限医師としてMDを名乗るのに恥ずかしくない程度の+α、が目標かな。

2009年2月15日日曜日

検査室

Attending 曰く、

検査結果がなかなか戻ってこない。というので、検査室に電話するときは、
  「× I'm wondering if you have this result back yet...」
ではなく、
  「◎ I'm still waiting on the results for...」
とか
  「◎ I assume these results are back already...」
などとassertiveな感じでなければない、というのだ。

必要なものは必要、そうしないと戻ってこないのならまあしょうがないが、こうして社会の喧噪が増していくという、悪循環。ドイツの技官たちが、こいしい。お願いしたら、いったとおり以上の結果がいつもきちんと返ってくる。

新生児健診

新生児健診は、猿と一緒で、気をつけないとひっかけられる。あと、newborn nurseryは猿小屋と一緒で、一人が暴れ出すと(泣き出すと)、皆蝉時雨のように泣き出す。で、こんなのが2,3年もすると人間らしくなってきて、20-30年もすると大概は一丁前のヒトとなるわけだから、不思議なものだ。その目まぐるしい動的な個体進化に寄り添う小児科というのは、実に、奥が深い。

2009年2月14日土曜日

Presentation

小児感染症科。Attending3人だけの小さな部門だが、患者数もコンサルト数も少ないだけに丁寧に診ることができて、attendingもみんなとても教育熱心で楽しいローテーションであった。

で、最後にプレゼンテーションをしろというから、PANDASという、連鎖球菌咽頭炎(あるいは皮膚感染)後に起きる自己免疫疾患としての、痙攣みたいなの(tic)について発表した。10年くらい前にとてもはやったテーマだが、機序(と現象の信憑性すら)なかなかはっきりしないため、最近はちょっと下火の模様。

で都合のよいことに、僕自身の脳研究の生涯テーマ、神経細胞の中間ネットワークレベルでの集合活動を考える上で、とても興味深い。将来できのいい医学生が研究室に来たら、このネタで共同研究をしたいものだ。それまでに、文献を広く下読みしておかなくてはならない。第一チックみたいのが、齧歯類で本当に起きるかどうかすら、実をいうと疑わしい。人間で固有に発達した大脳による中脳以下の制御系統の疾患とみる節があるが、そうだとしたら、猿ですら、大脳によって本能を抑制することは実をいうと人間ほどにはないのだ。



まあいずれにせよ、「大脳の疾患の多くは、実をいうと感染症と絡んだ自己免疫疾患の要素があるかもしれない」というsubtextのプレゼンテーションをしたら、部長先生が最後に、「うん、神経内科も精神科も、全部、実をいうと感染症だ、っておはなしね。おもしろいおもしろい。」と、的確に楽しんでもらえたようで、何より。

(もしも内分泌を回っていたら、きっと、精神疾患はすべて内分泌疾患だ、という話をしていたかもしれない。その意味では、ややintellectual prostitutionの面もあるが、まあ、こんな法螺の一つも吹けなければ、実験をさぼって医学の勉強をしている甲斐がない、というものだ。)

まあ、嘘ばかりではない。実をいうとアルツハイマーだって、スピロヘータの感染巣が核になってプラークが形成される、という、昔からfloating aroundしているお話もあるし、そのほかだって。しかも、神経内科系・精神科系の慢性疾患の罹患率は長期的な上下や地域的なばらつきが激しいが、それは社会や気候の変化・製薬会社の陰謀にだけ、帰着できるものとは限らない。たとえば予防摂取率の上下によって自己免疫疾患系神経症の罹患率が変化している、なんていう疫学結果がもしも出せたとしたら、疫学だけだってノーベル賞級である。

で小児科だからがんばって、カラフルなパワーポイントの雛形をつかったのだが、ある先生に言われたことは、「君はまじめな学生だから、無理してクレヨンとかそういう馬鹿みたいなことをしなくても、いいんじゃない?みんなそういう風にしているのは分かるし、きっと君は君でそういう風に頑張ってみたんだろうけれど、まあ子供だましならそれもしょうがないけれどね、学者は学者なりに胸を張って中身の勝負をすべきだと思うよ。」

おっしゃるとおり。

2009年2月11日水曜日

Pus doc

現在、小児感染症科をまわっているのだが、昨日回診の時、指導医曰く、「pus doc(ウミ先生)をやっていると、こういうの困るんだよね、と。」鼻水一つでコンサルトを出してくるような無責任な人のこと。

しかして、このpus doc。

Poop doc、ウンコ先生(消化器科)と似たような話だろう。そうしたら泌尿器とか腎臓はpiss doc(ションベン先生)なのだろうか?

2009年2月10日火曜日

In the beginning, there was an egg and a sperm...

指導医曰く、
「カルテのノートには二種類ある。トルストイと、電信と。」

複雑な床例でよくわからないときには、それこそトルストイのように事細かな長編ノートを書かなければならない。でも通常の床例では、いかに簡潔に、言葉を省きながら重要事項を伝えるかが肝心。

「医学生は大抵、どんな患者でもトルストイになりがちなんだよね。」

でも、場合によっては本当に、創世記ではないが、卵と精子から始めるべきことだってある。たとえば、人工授精の子供で網膜芽細胞腫(retinoblastoma)が多いとかいうような話は有名だが、これから人工授精の子供がどんどん大きくなって行くにつれ、いろいろな成人型の腫瘍が問題になってくると考えられる。(「卵の採取の際に母胎が受けるホルモン療法が、欄に悪影響を与える」、という話に今のところはなっているようだ)

だから真の意味で医学者たろうと思ったら、ときとしてトルストイになることも、必要なのである。

2009年2月9日月曜日

PANDAs

Maybe autism, parkinson, alzheimer too.
(anything with geographic/developmental tropism)
ms anybody?

Don't forget Borrellia story...
What about hypomania, dysthymia, etc.

How many lives did #you# save today?

半ばやけっぱちにも聞こえるが、内科の外部病院のattendingいわく。

ビジネススクールにいった同級生とかと会ってね、毎週末ゴルフをしていて、優雅なナイトライフを送っていて、そんなライフスタイルとかが羨ましくなったら、一言訊くといいんだよ、
「俺は今日、3人の命を救った。お前は何人、救ったのかね?」

まあ、business school卒をうらやむ時代は、終わったのかもしれないが。

2009年2月8日日曜日

Mosaisism

Do not need constant recombination for variability in neuronal genome
Like t21 phenotypes

2009年2月7日土曜日

元気な赤ちゃん

「胎動が激しくて、胎児が母親をとても盛んに蹴って困る」、という場合のはっきり同定できる鑑別の上の方に、「胎内での禁断症状」があるそうだ。お母さんがドラッグをしていて、しばらくせずにいると、母親より先に胎児が禁断症状を引き起こす...

恐ろしい国(街?)だ...

tics again

can tic and impulse disorders exist in species with no inhibition of premonitory urges?

2009年2月5日木曜日

rubella autism

like pandas?

2人目以降

最近大学病院では胎内CMVの赤ちゃんが立て続けに何人もNICU(新生児集中治療室)にかかっているらしい。現在小児感染症コンサルトの回診に参加しているのだが、4年生がそのCMV新生児の一人をプレゼンしていたら、指導医が、「この子何人目?」と聞いた。「G2P2(2回妊娠、2回出産)、2人目です」というと、指導医は、「そうなのよ、大抵CMVは2人目以降、つまり上の子がどこから持って帰ってきて、それが母親の一次感染源になったりするんですよ」と。

こういうのは教科書を見てもなかなか書いていないが、有機体としての病気の、一面である。だから、病気の研究をするのであれば臨床経験は欠かせない。幸い、脳の病気は基本的には基礎研究・生理学の手には負えないものばかりだから、その点、あまり心配はないような気はするのだが。



そういえばNICU。小児感染症チームに配属になって初めて立ち入ったが、熱帯雨林とか東南アジアのように、蒸し暑くしてある。そのなかにジャングルのように機械が並んでいる。大きな機械、小さな赤ちゃん。外来では健康な新生児をたくさんみることができたが、小この子たちは様子が違う。より、有袋類などの早生動物の赤ちゃんに近い。まあ、発生学上、当然といえば当然だが。

早生児や奇形児、そのほか、どこまで積極的に治療するか、というのは、実に難しい選択である。「見捨てろ」という人もいないし、「何でもよいから管だらけの針刺し状態にして心臓だけは鼓動を続けるように維持せよ」という人もいない。でも、その両極端の間のグレーが、とてつもなく、広いのだ。

2009年2月3日火曜日

中耳炎

外部病院の回診。時々地域の退職した小児科医たちが、回診に参加する。である日、中耳炎が話題になった。「この時期子供が救急に行くと、たいてい中耳炎ということで抗生物質をもらって帰ってくるんだよね」と。特に小児科や小児救急ではなく、一般救急医が子供もみるような病院に、多いらしい。「子供の感覚がない人は、何か抗生物質を出しておかないと、不安なんだろうね。」「まあ、抗生物質さえ出しておけば、救急から追い払って大丈夫だと、勘違いしている節もあるし。」

泣き声

外来を終えて、今日からまた、大学病院に復帰。

朝病棟を歩いていると、かぼそいけれども空気を切り裂く、薬缶の笛のような鳴き声がしてきて、瞬時に、3週間前に盲腸炎できていた女の子を思い出した。そして、入院チームのsign-out(チーム患者の一覧)をみると、見事、その子がいるではないか。

その子、どうも普通の盲腸炎ではなかったらしい。僕がいたときにはperfはしていたものの一応内視鏡手術も無事終えて、収束に向かっていた。でも、回診で触診させてくれない。聴診器を乗せただけで、例のか細い笛のような鳴き声を発して、看護婦さん・お母さんといっしょに、困っていた。何も聞こえやしない。僕は僕なりにprogress noteも書かなきゃならないし、ナースステーションからシールなんかをとってきてそれで釣ろうと努力などもしたが、腹部は触らせてくれない。触診しようにも、腹筋をリラックスしてくれないと、どうにもならない。

内視鏡手術はたいてい、様子が落ち着いたらすぐ退院。熱などもないのだが様子がおかしいから、退院を引きずらせる方向で何日かプレゼンしたり努力したのだが、チーム交替で外病院の外来にいってしまってからは、結局どうなったのかは知らなかった。でも、声だけは、覚えている。

いったん出て、また戻ってきたらしい。

2009年2月2日月曜日

あの人、使えない

人を見て色々と学ぶことは多い。看護婦さんとか、ソシアルワーカーとか、「あの人使えないのよね」みたいなことを、ぽろっと漏らしたりすることが、時々ある。確かに過労でいると、使えない人が職場にいるのは困るのだろう。でも、これはもしかしたら、口外してはいけないことなのではないか、という気がする。

もちろん、上司にはそのことを陰に陽に伝えねばならない。でも、外にはそれを見せないのが、プロなのだろう。

2009年2月1日日曜日

社会の礎

外部病院での外来実習中、Grand Roundsで、Every Child Matters教育財団の方が講演をしていた。今回の景気刺激策だが、銀行の尻ぬぐいもよいが、将来の人材たる子供に投資してはどうか、というのだ。何でもアメリカは世界人口の5%なのに、世界の囚人の25%はアメリカの牢獄にいるらしい。そしてその囚人には多くの場合、子供がいるのだという。
  • 健康保険 無保険の子供... 800万人
  • 虐待を受けている子供... 300万人
  • 親が牢獄に入っている子供... 200万人
  • 貧困水準以下の子供... 1300万人

こうして、犯罪層・貧困層は再生産されてゆくのだ、この悪循環を断ち切らないと、社会はどうしようもない、とその活動家はいう。もう、どうしようもないのかもしれない。社会の基盤がなっていないとはこのことだ。この国は、やはり、終わっているのかもしれない。