2008年12月29日月曜日

IBS

relieved by defecation

2008年12月26日金曜日

鉛の部屋

大学病院のガン病棟。仰々しいエアロックに守られている(抗ガン剤によって白血球が少なくなっていると、くだらない黴菌にもかかりやすくなるのだ)。現実にはスタッフの出入りが激しいので、エアロックもあまり有効ではない気がするのだが、まあ、仰々しさには変わりない。で、そのガン病棟の一角にはさらに仰々しい、重い扉の病室がある。放射性同位体を服用して放射線治療を受けている患者を、隔離するためである。

毒をもって毒を制する。そこに、西医の原点が、あるのだ。

2008年12月20日土曜日

Double barium swallow

クリニックの放射線の先生が、戸棚からごそごそと、古いフィルムをとりだしてきた。
「このabdominal film、読んでみてごらん。」
そういって、渡された、フィルム。

今時、本当のフィルムなんて、田舎の病院から転送されてきた患者とか、古い先生の講義の時くらいしか、お目にはかかれないから、まず、方向を間違えて馬鹿をさらしたりしないように注意しながら、メディカルドラマかなんかでみるように、勢いよく、viewboxに差し込む。PACSで自動化されていると、よほど技師がドジでも、フィルムの方向が違うことは、ない。

でまあ、食道のあたりから順に下に追っていくと、おやおや、回腸に何か細いホースのような筋が。「Oh, he has a parasite!」と興奮気味にいったら、どうやら、学生でこれが分かったのは初らしい。高校の頃だか、巷ではやっていた寄生虫の本を読んで、おもしろいので目黒の寄生虫博物館に見物に行ったのを、思い出す。

で、回虫かなにかだと思われるその寄生虫の消化管にも、バリウム造影剤が通っているのが、よく見るとわかるのである。この患者は、メキシコ移民で、その昔、ある年の1月の、最初の患者さんだったという。「まあこういうのは、アメリカでは、once in a lifetimeというやつかもしれないね」と、インド出身のその放射線科のおじいさんは、いう。「二体分の読影で、倍額を請求しようかとも思ったのだが」、と冗談。

くさい試験

学生みんなして参考書を片手に歩いていたら、アイルランドからのレジデント曰く、「あんたらの国は、smellyな試験の国だからねえ」。USMLEのことらしい。

2008年12月19日金曜日

続けられる趣味を

ある指導医が、講義を始める前の雑談でいっていた。医師のように忙しい仕事だと、続けられる趣味を持つことが重要だ、と。その先生は写真だという。別段1月や2月サボったところで、まあ、大勢に影響はない。本人はいわなかったが、少しお金をかければ何とかなるような趣味、というのもポイントかもしれない。

なるほどな、と、押し入れでほこりをかぶっているヴァイオリンを思う。

2008年12月15日月曜日

The 7th Food Group

栄養学の、6つの食品群:穀物、果物、野菜、乳製品、肉魚、ナッツ豆類。
メディカルスクールでは、これにピザが加わる。

新入生との顔合わせ、といえば、ピザ。何科かの同好会(interest group)、といえば、ピザ。学級会(class meeting)、といえば、ピザ。全国団体の支部創設、といえば、ピザ。何でも「lunch provided」(ピザのこと)で、参加者を増やそうとする。

病院の昼のセミナーだって、運が悪いと、ピザ。製薬会社のスポンサーがついていて、その売っている薬が高収益だと、ピザではなくもっとまともなケイタリングが出たりもするわけだが、製薬業界の処方に対する影響を削減しよう、と、「タダ飯、NO運動」なるものがあり、来年からはペンも、ペンライトも、メモ帳も、昼ご飯も、消えるらしい(http://www.nofreelunch.org/)。すると、必然的に、ピザ。いやだから病院の食堂で食べよう、と思っても、手頃な値段のものは、ピザ。

それにしても、健康な食事を、と患者に推進すべき立場のお医者さんたちがこんなで、よいのであろうか。

2008年12月14日日曜日

Don't stand in front of a trach...

「まあね、経験なんてのはそんなものさ」と、一目で比較的複雑な患者も比較的正確にあててしまう、中年アテンディング。レジデントの頃からこの病院にいるから、この病院の患者層と疾患群を、熟知している。

今日の真珠は、「絶対に、気管切開の前には、立ちどまらないこと」と「触診の際、絶対に、見えないところには手を触れるな」。どちらも実感がこもっていた。そういうアクシデントが起きると、感染の危険がたとえなくたって、いくらシャワーを浴びても、気持ち悪いだろう。予防第一。

2008年12月13日土曜日

なんとか

まあ何とか学期修了。なんと3週間の休みがあるので、世界中を飛び回る予定。

2008年12月12日金曜日

Historic Alternans

Pulsus alternans(交互脈)というのは重度心不全のsignのひとつ。交互に強い心拍と、弱い心拍と。
Historic alternansは、全ての患者に共通した兆候。病歴をとる人によって、ハナシが変わる。

2008年12月11日木曜日

駐車場

駐車場は、病院に一番近いところから、埋まってゆく。で、遅く帰ると、病院に一番近いところの車が、まだ、残っている。多分同じ車?厳しい商売だ。

2008年12月10日水曜日

臨戦態勢

首都ワシントンは早くも臨戦態勢に向かっている.というのも、来月1/20のObama大統領就任式には、前代未聞の150万人の人が首都に押し寄せる見込みなのだ.

その規模を図るに、たとえば先月あった3万人の大学会である北米神経科学界、まあG20と重なってしまったこともあるのだがそれだけですでに、ワシントンの中心部はどこもホテル満室(ワシントンおよび周縁部のホテル部屋数は、合計95,000といわれている)、恐ろしい交通渋滞だらけであった.世界の首都であり、しかも学会・展示会開催都市でもあるのだが、物理的には意外とコンパクトで、すぐあふれかえる町でもある.

もちろん、周縁は遠くフィラデルフィアあたりまで(車で2時間位か?)、ホテルはすべて満室だという.で、アメリカ人は比較的簡単に自分の住居を人に貸すものであるが、たとえば少しはなれたところの一軒家は、就任式期間中、一週間の賃貸で$60,000(600万円)という値段がついているらしい.街中のマンション/アパートなども、300万近い値段がついていたりするようだ.



病院もその話題で持ちきり.その期間中、病院に出なければならない人はみな悲鳴.

おそらく町の中心部はすべて車止めの交通規制で、まず、病院まで行き着けるかどうか.次に、寒空の中歴史的な就任式に参加する人・人・人.その少なからぬ数は、持病をたくさん抱えながらも悲願の達成を見守ろうという老人たちであろう.東京も顔負けの地下鉄/バス混雑、そして普段歩く習慣のあまりないアメリカ人たちが、地下鉄から遠くまで歩く必要が生じる.また、就任式の期間中、街の飲酒法は一時的に緩和され、普段は1時前には閉じるバーも、夜通し営業するらしい.

そんなこんなで、ワシントン周辺の病院はあふれかえる見込み.幸い、僕自身は大学病院で小児科なので、徒歩通勤、しかも、あまり影響がないと考えられる.まあ、スリ/空き巣に注意するくらいだろうか?事前に食料を買いだめて、出歩かなくてよいように備えはするが.



Washington Strains for Inauguration
(By IAN URBINA, November 29, 2008, NY Times)

Got a Room? Inauguration Is a Windfall
(By KATHARINE Q. SEELYE, November 27, 2008, NY Times)

B12 deficiency

neuro sx refractory to folate tx

gout vs psuedogout vs infectious vs inflammatory...

External probe, US?

2008年12月9日火曜日

... and her name wasn't even Mary!

先月の外来の話。

ついて教わっていた、カソリックの女医おばさん曰く、「あ~ら、患者なんて信じちゃいけないのよ。Sexしていないとかいってもね、必要ならばhCGは必ずとらなきゃだめよ。処女懐胎というのもあるわけだから。こないだもそんなので陽性があったばっかりだわ...」

2008年12月7日日曜日

細かい気配り

近所のすし屋で、隣り合わせになった外交官夫婦と話していたら、こんなはなしに.今日、日系3世の退役陸軍大将、Eric Shinseki(新関)氏が、新オバマ政権の閣僚(?)に任命されたのだが、すし屋の外交官がいうには、12/7に発表したのは、決してaccidentではないらしい.そう、今日は真珠湾の日.オバマ氏、シンセキ氏ともに、ハワイ出身でもある.

誰かが、そこまで、気を配っているのだとしたら、たいしたものだ.

2008年12月6日土曜日

Su hígado está muy enfermo...

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

月末のチーム交替のどさくさで、レジデントから担当するように言われた、末期肝炎の南米労働者。栄養状態のあまりよくない所で育ったのか、小柄なのだが、体中まっ黄色で、おなかだけサンタクロース。いろいろお話をしていると、どうやら、妻子は国許に残して、出稼ぎに来ているらしい。景気も後退の折、出稼ぎ南米労働者のアル中は、とても多い模様。南米労働者なども住む地域のこの大病院は、まだ働いて3週目だが、このひとでもう3人目である。で、こっちの知人や国許の家族の電話番号が、思い出せないらしい。到底、退院できるような体でもないし。

一人、孤独に死にゆく彼にとって、破れかぶれのspanglishを話す日本人「先生」が、この世の唯一に近い会話相手ということに、なりかねない。チームの中でも、一番暇だし、ちょくちょく様子をのぞくのだが、一日中Univision(スペイン語チャンネル)を見たり、寝たりしている。

廊下でよく見かける、南米っぽい尼さんがいる。明日はこの患者さんに、chaplainコンサルトが欲しいか、聞いてみることとする。単語が足らないから、辞書を調べなくては。



少し前に骨髄の検査をやったあたりから、事態の深刻さについて理解し始めたらしい。まあ、穴の骨に14Gくらい(?つまり、コーヒーを掻き混ぜるストローもどきの太さ)のデカイ針を刺された日には、誰だって、そりゃたまらない。Kübler-Rossの段階で言うと、その検査あたりから「否認」を脱して、「もう、これは一生涯、二度と酒は口にしない」とかいっていた。まあつまり、「取引」というやつだろう。そして今朝の回診前の診察で、「新しい痛み、アルネ?」と聞いたときの答え、「El dolor está en mi corazón, doctor.(妻子に面目がたたない、ああ、今痛いのは、心ですよ、先生)」というのは、場合によっては「抑鬱」にあたるのかもしれない。しかしさすがはラテン系の人、病気で苦悶している最中でもさらっとそんなことが口から出てくるのだ。もちろん、冗談なんかじゃなく、本人は本気そのもの。



午後顔を出したら、すっとぼけた顔をして、「先生、どこが悪いんでしょうね、私の体」などと聞かれた。でも、肝臓という単語が思い浮かばない。「Liver」と英語で言って指差しても、よくわからないらしい。病院の世界にいると、体を外から指差しただけで、中の臓器や腹を切りあけたときの様子、画像検査で見る像、関連検査値など、膨大な連想ゲームなのだが、たしかに一般人に「ここ、ここ」とかいっても、あまり意味はないのかもしれない。「ちょっと待って」とナース・ステーションのネットで「hígado」と調べ、「Señor,あなた肝臓がとっても病んでいるアルネ」といったら、僕の発音を直しているのか、あるいは言葉の意味を反芻しているのか、神妙な面持ちで何回か丁寧に「hí-ga-do」と唱えたすえに、「フムフム」と得心した様子。「いや、酒っていうやつはね、1杯、2杯、すぐにバイバイなんだよね。ウム、この先、控えなければならん。」

「受容」しているんだか「受容」していないんだか。まあ「この先」が何日間であるか何週間であるかは、神のみぞ知る。でも、もちろん、「Señor、もう一生、no puede beberですよ、絶対。」

Mechanism of Kussmaul's sign

Measure with in vivo CV imaging (beads)

2008年12月5日金曜日

Helloといえる病院

病院によって、廊下ですれ違う人が挨拶する病院としない病院がある。お医者さんたちが、病棟看護師の名前を知っている病院と知らない病院がある。お掃除おばさんが、医学生に対して話しかけてくることのある病院と、そうでない病院がある。

もちろん、医者は人それぞれだし、どこの病院にも人生磨り減って人のことなど構っていられないような先生はいるし、同じ病院でも、病棟によって微妙に空気が違ったりする。でも入院する病院を選ぶ場合は、そこら辺の空気をみることも、意外と重要かもしれない。

SOB

Shortness of breath... 主訴、息切れ
(一般英語ではもちろん、son of a bitch)

患者の聞こえるところで、「あのエス・オー・ビーの患者さんね、...」などと誤解を招くようなことは、決して、いってはいけない。

2008年12月4日木曜日

Tic circuits

Tourette's OCPD
OCD TCA

チーム・ディナー

昨日は先月のチームみんなで、ディナーをした。中東タパスみたいなののしゃれたお店、Zaytinia。若い指導医が、レジデント3人と僕の4人をおごってくださった。アメリカでは日本のように気軽におごるということがないので、みんなで感謝。指導医含め、インターンの一人をのぞいては皆Georgetownの同窓生のチームだったので、和気藹々と先生方のうわさ話などに花が咲いた。

ディナーにはこられなかったが、先月のチームには口腔外科のレジデント(つまりは歯医者さん)も参加。研修中に1ヶ月、内科研修があるらしい。まあ、内科については僕の方がたくさん知っている様子だったが、ある患者が原因不明の発熱(いわゆるFUO、fever of unknown origin)の時、歯根が腐っていることを発見して、大手柄であった。さすが。「はい口を大きく開けて~」なんて毎朝一応はやるわけだが、歯までまじめには見ていなかった。見たってわからないかもしれないし。

ほかにも、チームのインターンだった一人は、皮膚科の1年目である。だからMedicineという科は、いろいろな人が出入りして、風通しがよいのかもしれない。

しかし今月のチームもラッキーだし、博士を終わらせて病院研修に戻ってからずっと、good karma続きである。

Amyloidosis

ICUを通りかかったら、ほかのチームのレジデントが、「ちょっとおいで」、と。「一目見ただけで診断できるでしょ?」

そこには、アミロイドーシス末期の患者さん。まるでNetter図譜の戯画のような状態で横たわっている。

小錦のような体型で、皮膚だけ若干萎縮させた感じ。すごい巨舌症、風船ガムを噛んでいるかのよう。黒人さんなのだが、それでも黄疸がはっきりとわかるくらい黄色い。顔や体中に、皮下出血の痣が。もちろん呼吸器である。Foleyからは血尿がしたたっているのだが、どこかに漏れがあるらしくて、床にも小さなピンクの水たまり、これがまた凄惨。

こういうのは、教科書では、絶対に勉強できない感触なのだ。はらわたのあたりに、刺さってくる。

2008年12月2日火曜日

肺癌

典型的な症例の患者さんが来ないか、などと変なことを思うと、願いが叶ってしまいかねない。今月は主に低所得者層の患者が多い大病院なだけに、無保険の患者がやたら多い。最後の最後まで医者にかからず、とんでもない状態にまで病期が進行する。で、最後に「典型症状」を呈して救急に転がり込んでくるのだ。救急では、無保険でも、見ざるを得ない。第3世界のような話だが、アメリカの大都市ではどこでもある話。そんなのをあまり知らずに、日本では、アメリカの医療システムが凄いと勘違いする節があるらしい。

30間年にもわたって毎日1パック吸っていたら、本人もうすうす感づくものだ。一ヶ月前くらいに「魚の骨」をのどにつかえたころから、息が苦しくなってきて、声もしわがれてきた。1ヶ月で10キロほど痩せたという。空気だけのはずの大動脈級の上、気管の真横に、大きな大きな何かが居座っている。ついでに帰ってきた血液検査は、歩いて入院してきたのが嘘のような低ナトリウム血症、肺の小細胞癌なんかではよくある、SIADHなのだろう。鎖骨上リンパ節は、転移しやすいわけだが、もちろんコリコリ。歩いて入ってきた患者さんに、もう数ヶ月もないかもしれない、と、誰が告げるのだろうか。

あともうひとり、黄色い水風船のような、末期腎不全の患者。南米移民にやたら多いようだが、アルコール中毒。もう今月、3人目である。この患者は若干、英語を話すからよい。血小板が限りなくゼロに近く、体中に痣。しかも、目が黄色いので、猫のようだ。この人、町のある大学病院の救急から、2,3度、ろくに治療を受けずに追い出されている(カトリックであるうちの大学では、もちろんそんなことはないのだが、だからこそ、経営不全で大変なのだ)。FAXで診療記録を取り寄せたら、ほとんど何もしていないのが手に取るようにわかる。そう、病院によっては、救急ですら、血でも垂れていない限り道端におっぽりだされるのだ。まあ、利益事業としての医療の、必然の帰結ではある。そして、宗教系の大学病院や今いる公益法人のようなところに、回り回ってくるのだ。この国、本当に、終わっている。

皆さん、今晩寝る前に、神でも仏でも親でも何でもいいので、感謝の祈りを捧げましょう。

Temporizing

「医学生君、患者のH&Pの途中でつかえたり、うまく鑑別が思い浮かばなくて何をきいていいのかわからない時なんかはね、カルテを読むふりをしながら次のステップを考えるといいよ。」
誰が言ったのかは、忘れたが、とりあえず手帳にメモしてあったので。

2008年12月1日月曜日

When tumor is the rumor...

When tumor is the rumor,
And cancer is the answer,
Tissue is the issue...

癌というのは基本的には、組織検査をしないとわからない。放射線科で代謝を量ったり、ものによっては血液検査などで様子がわかったりもするが、最終的には組織検査でどうしようかという方針が立つ。これをin vivoにて検査するためには、抗体以外の特異的な標識法が望ましいと考えられる。

2008年11月30日日曜日

70-30 rule

回診中の口頭試問で、「さてこれは何%の症例とで見られるでしょうか」などと聞かれて、全く見当のつかないときは、70-30 ruleの出番である。まあ、よくあることだと思えば、70と答える。それほどはなさそうだと思えば、30と答える。

だいたい上下10-15%は大目に見てもらえるとして、これでだいたい、30%の幅が稼げる。さらに上級編としては、70のところを間違えて30と答えた場合には、「Oh, I thought you meant how many AREN'T malignant...」などと質問をひっくり返して誤魔化せば、また30%、つまり合計で60%の範囲を、カバーできるのだ。

2008年11月29日土曜日

世情

恐ろしい。

政府支出によって成り立つ、首都ワシントンDCですら、道を歩いていても、寒風が吹きすさんでいる。治安も悪化。ドルは超インフレへ向けて、毎週のように新しい政府支出案が提示されている。年明けにはイランあたりで戦争をオッパジメそうな気配も。同世代の若手研究者はもちろん、全く関係ない業界の知人たちも、おしなべて別の国に引き上げ始めた。

もしも仮に2011年度にインターンをしたとしたら、どこの町にしても、相当どんぞこであろう。そしてアメリカの傾きかけた医療体制は、よくても立て直しのまっただ中、恐ろしい混乱状態の中で研修をすることになろう。悪くしたら、今の状況のまま、徐々にじり貧。でも、これから研究はもっと暗黒時代となることを考えると、免許くらいとっといた方がよかろうというのは確か。混乱と読んでいるのなら、なおさら免許を、とある知人はいう。正論ではある。

2010年、ないし2012年あたりにドイツに居着いたら、畑でも始めた方が良さそうだ。経済情勢に詳しい別の知人と会食していて、半分本気で、こんな話にすらなった。農学部時代にはトラクターを運転する実習もあったし、作物の肥料のNPK比とか、たぶん記憶の彼方をかき回せば、美味しいジャガイモくらいは作れるかもしれぬ。

Midazolam

Versed anterograde amnesia

2008年11月28日金曜日

Pager

感謝祭で、学生は、4日間休むことになっている。レジデントには当然いってあるのだが、インターンの一人に連絡を忘れていたようで、今朝、試験勉強していたら鞄の底からポケベルの呼び出し音が。本などに埋もれて、ほとんど聞こえない音量だったのだが、「ハッ」と気づいて、返信した。

インターンにもし進んだとしたら、さらに、このポケベルに追い回されることになるのだろう。

2008年11月27日木曜日

Trichotillomania

眼科のインターン。一年目は、インターンとして普通に内科で働いてから、3年間の眼科研修に進む。で、その眼科インターンの一人が、抜毛症なのである。内科セミナーで後ろに座って気づいたのだが、時折、右後頭部をなでて、何回かは抜毛も。髪の毛で隠れているのだが、よく見ると、500円玉くらいの禿たところがある。別のチームのインターンなのででよくわからないのだが、いつもネオン色の派手なネクタイを締めている以外は、ごく普通の人のようだ。

精神科の教科書だけの話では、ないのだなあ。

2008年11月25日火曜日

¿Tiene usted dolor?

恐怖の初スペイン語患者。翻訳電話を使えば、ちゃんと話すことだってできるが、まあ、だいたい片がついて、まあまずあり得ないmeningitisさえrule outすればOKな段階では、翻訳電話がなくても問題なかろう。

しかしこの患者、さぞかし心細いことだろう。もしも僕がドイツで病気になったら、似た状況になるかもしれない。もっともドイツ人の医者はみんな英語を話すが。でも、看護婦さんあたりは怪しい。翻訳電話もないだろう。

だからスペイン語どころの騒ぎではない、むしろ、ドイツ語を勉強すべきだ。

PGY - (-2)

PGY、post-graduate year。Medical schoolを卒業して1年目のresident(つまりintern)は、PGY-1(R1)、といった具合である。たとえば、内科研修3年目を終えて心臓血管内科fellowship3年目であったら、PGY-6になる。レジデント・フェローの給与はだいたいどの科も、病院によって、このPGY年ごとに決められている。

で、今日、新しい表現をきいた。PGY- -(マイナス)2。3年目医学生、普通は「third year」、「MS-3(medical student)」ないしは、出身校の頭文字(Georgetownの場合はGT-3)をとっていうのだが、出過ぎた真似をした医学生は、「PGY - (-2)」と称するらしい。

2008年11月24日月曜日

研究と病院と

1週間半にわたって、当地ワシントンでの大国際学会(北米神経科学学会、3万人以上!)で、ドイツの友人(日本語に直せば、後輩?)が泊まっていたので、大忙し。そのほかも日本の知人・友人、ドイツの知人・友人などを案内したり、ちょっと無理した感じ。本腰を入れて、3週間後のshelf試験勉強、開始。

で、毎晩のように研究の話題で話し合っていると、それが天職のようにも思われる。だが病院のほうも知識が1段、上達していて、面白いといえば面白い。日本の先生から、「医師免許は取っておいたほうがよい」という強いアドバイスをいただいて、いろいろ考えたりもする。

まあ、あと1年半はmedical schoolの卒業、そしてその後1年間はドイツでHumboldt財団研究員が決まっているので、そこら辺はいまから悩んでも致し方ない、というのが正論ではあろう。

2008年11月23日日曜日

On Call

日曜のコールだというのに、一人も入院患者が来ない。この関連病院は、ワシントン1の大病院だというのに。(関連病院、とはいっても、実をいうとこの病院の母体である公益法人が、大学病院を買収した関係にあたるのだが)

で、レジデントが、「先にかえっていいよ」と。

こんな時に不思議な気分になる。実をいうと、「珍病・奇病や、典型疾患でも重篤でclassical presentationの患者さんがこないか」などと、ふと、ふとどきなことを思ったりしてしまう。人の不幸を直接願っているわけではないのだが。でも、早く帰って、勉強しないと、3週間後の内科shelf試験が、ヤバイのも事実。

それが終わると、2週間、ドイツで、実験ができる。そんなクレイジーなこと、やめときゃいいのにね。

Rx... underpants, Disp... x1

チームのレジデントが、術後用のメッシュの下着の処方箋を書いた。患者から要求されたのだという。どうやら患者は、処方箋に書いてあれば何でも保険が通用すると考えている節があるのだ。

2008年11月17日月曜日

When you grow up...

What do you want to be when you grow up?
おおきくなったら、なにになりたいの?

レジデント・指導医が学生に志望科を訊くときは、こういう表現を使ったりする。

2008年11月16日日曜日

免許

土曜から水曜まで、北米神経科学界がワシントンで開かれている。普段なかなか会う機会のない友人・知人と話す絶好の機会なので、土・日だけ、参加。日本から2組、ドイツから2組を、少し郊外のレストランに案内。ワシントンは国際的な都市だけあって、各国の本格料理が、比較的やすく食べられるのだ。タイ料理、中華料理、韓国料理... もうしばらくは、ご飯と納豆で十分だ。

いつもアドバイスをいただいている、博士の指導教授つながりの従兄弟弟子の先生からは、日本に帰る気があるのなら、免許を取っておいた方がよいとのこと。だが、1年間の研修をアメリカでして、アメリカの免許を取得しないと、日本の国家試験は受験資格が生じないようだ。それでも、受験資格が生じるという保証も、ない。脂ののりきった実験屋の1年というのは、馬鹿にならないのが、困る。

だが、日本でサイエンスをしていると、ちょっとしたことで、だいぶ違うらしい。正論では、ある。

2008年11月15日土曜日

I'm Pulling Out Now

今日はクリニックの産婦人科の診療看護婦(Nurse Practioner、限定された医療行為を行う資格を取得した正看護婦さん)について、pelvic examを習った。医学部2年生の時、模擬患者で練習させられたが、オバアサンの模擬患者と、本物の若い女性では、考えてみれば当然だが、天地の差だった。

まあそれはどうでもよいのだが、speculum(膣につっこんで開くやつ)を抜くときに、「OK Ma'am, Try to Relax, It's Over, I'm Pulling Out Now」とかいったらしい。その患者が終わってから、うん、あなたこういったでしょ、「I'm removing the speculum」とかいう感じの方がいいよ、と指摘された。

もちろん、pulling outというのは性的なovertoneがあるから、こう指摘されたのだが、やっぱり無意識に使ってしまう言葉というのは、難しい。あとで普段ついているpreceptorのオバチャン女医さんに話したら、「あら、私ももしかしたらそういっちゃっているかもしれないわ。なるほど確かに気をつけた方がいいわね。」だそうだ。ということは、やっぱり、難しいのだ。

2008年11月12日水曜日

Primary Care

今日はある遺伝性hypercoagulabilityの患者さんだったのだが、ついている家庭医が愚痴っていた。「同じ患者さんでもね、内科医が診ると、初診45分、再診30分なのよ。私なんて、20分でしょ。こんな複雑な患者さんを20分ですべてマネージしろというのかしら。」

アメリカのプライマリケアは元来、じっくりと人間関係を築いて時間をかけてみるモデルなので、現代のマネージドケアでは、なかなかうまくいかない部分が多いようだ。と同時に、プライマリケアに一番、ツケがきているようだ(NEJM関連記事)。

帝王学

今月働いている外来クリニックのディレクターは消化器なのだが、管理職の合間、少人数ではあるがまだ患者さんを持っている。おもしろい患者さんがあると、「ちょっとケンタ」とかいって、普段ついて患者さんをみているお医者さんのところから、連行される。で、患者の前で冗談を言いながら口頭試問(いわゆるpimping)を交えて、いろいろ教えてくれる。

今日別れ際に一つ、どういう具合だか、帝王学を授かった。気に入ってもらっているのだが、毛並みがよいと勘違いされているのだか、どうして僕に対してそういう帝王学を授けてくださったのかははっきりしないのだが、でもいずれ研究室を統率もしたいので、ありがたい。で、大左がいうには、「下の人を褒めるときは、なるべく他人の前で。下の人をしかるときは、必ず、プライベートで。」

このディレクターはいろいろ勝手なことをしながらも、クリニックの若い丘率たちから老暈医たちまで、総じて慕われているようだ。それは指渾官という上下関係だけではなく、帝王学ができている、ということもあるのかもしれない。

薬の値段

頭痛治療の講義。

Sumatriptan/IMITREXといった類の薬は、実を言うと結構な値段らしい。今のご時世、患者によってはろくに薬をカバーしない保険も多いので(無保険の患者はどこの病院・医院でも、事務で追い払われるので、とりあえず心配しなくてよい)、薬の値段については神経を使わなくてはならない。かといって、片頭痛なんていうのは、ほかにはあまり手の打ちようがないようだ。

ePocratesを調べると...
  • 25 mg (x 9) $214.01
  • 50 mg (x 9) $199.25
  • 100 mg (x 9) $199.25

なぜか、弱い錠剤のほうが、高い。で、講義した先生。たとえば50 mgではじめる場合、以前は100 mg錠を処方して、患者に半分に切って服んでもらっていたという。つまり患者にとっては、半額セール。だが、薬屋さんもだまっちゃいない、錠剤を、切りにくい三角形に変更したのだそうだ。だから、この手は、もう、使えないという。

薬理学みたいのは医学生だから勉強するのが当然だろう。でもそれに加え、薬価、さらにどの薬がどの保険でカバーされるか、さらにさらに錠剤の形状まで把握しろ、というのか?

何かおかしい。

2008年11月9日日曜日

Georgetown内科 入院病棟の一日

今月は外来で、働いているクリニックはとても文化的にもおもしろいのですが、公的機関なのであまり具体的なことは書けない。木曜と金曜の午後はクリニック敷設の放射線科のeducation timeで老放射線家医と一緒に超音波とか読影を教わっているのだが、ブログはだいたい、その老先生のいったことなどが中心となっている。

なので今日は書き残していた、先月の話。



チーム構成
指導医、レジデント、インターン(1年目レジデント)、acting intern(4年生学生、subinternとも呼ばれる、事実上インターンと同じ仕事)、medical students(3年生)



   (04:30- 研究活動: 物書き、読み物、ドイツの学生さんとSkype、データ解析など。Blogを書いて時間つぶし。)
   06:00-08:00 その時の受け持ち患者の人数によって、病棟に出る時間が変わってくる。病棟に行って、朝の血液検査や血圧体温、I/Oなどを確認の上、簡単に診察。先日帰宅後の出来事(night floatのオーダーなど)や看護記録などに目を通す。看護婦さんが暇そうだったら、一晩の様子をきく(看護婦さんのシフトは19:00-07:00)。カルテに朝のprogress note(SOAP)を書く。(つまり、internとだいたい同じことをするのだが、internの来る前にnoteを終わらせてあって信頼されていれば、internは正式なノートを書かずに、付記として重要な所見とA/Pだけの簡略なノートを書いたりもできることになっているので、とても感謝される。あと、internにnoteについてコメントをもらったりする。)
   08:00-09:00 朝の学生症例検討会または、grand rounds講義。
   09:00-12:00 レジデントによるチーム回診。各患者について、昨日以来の状態や新しい検査結果について、30秒-120秒くらいで口頭プレゼン、その日のコンサルト・検査・薬の変更・attendingと打ち合わせるべき点などについて話し合うとともに、口頭試問・ミニ講義。患者に顔を見せて、簡単にレジデントも診察。日によっては、途中から指導医も合流して、口頭試問・ミニ講義の部分がもっと幅を占めてくる。
   12:00-13:00 昼のレクチャー(ラッキーな日には、薬屋さんの弁当。アンラッキーな日には、科から至急のピザ)
   13:00- 3rd yearの講義。1,2時間。
   14:00/15:00- チームの当直日ではない場合は、レジデントに返れといわれるまで、レジデント・インターンに言われた雑用をこなす。特別な検査などがある場合は、患者に付き添って一緒に行ったりするとおもしろい、科によってはいった先でいろいろまた教えてくれる。チームで一番暇なのが3年生の学生なので、いわゆる日本語で言うムンテラも、実をいうと、午後の重要な仕事。
   17:00/19:00- 帰宅後、試験勉強など

Cluster headaches

Very rare, who gets them? In episodic types (90%), when do they occur?
Unilateral lacrimation/flushing/nasal sx syndrome... functional colocalization?

Migraine aura

Keys to mechanistic understanding of population physiology
Prodrome up to -24 hrs?!
Aura (classic maigraine)
Physiological triggers

unilateral but not always consistently localized
(scotoma aura bilateral homonymous???)

2008年11月8日土曜日

月月火水木金金

先月の成績を見るためにたまたま、履修科目一覧を覗いたら、恐ろしいことに気づいてしまった。

05:00-21:00。月火水木金土日。
16時間 * 7日 = 週112時間労働。

Residentの労働時間は基本的に80時間キャップで、あまり派手に違反すると、研修プログラムの認定を取り消されてしまう。でも、medical studentの労働時間には、制限はないので、こういう恐ろしい記述がみられるのだ。現実には、一番ひどい外科とかでも週1くらいは休めるし、現在の外来ブロックのように、9時間*4日=週36時間(月曜は講義など)という、楽なブロックもある。もちろんこの記述は当直とかは勘定に入っていないところからしても、便宜上の記載ではある。でも、theoreticallyには、週112時間拘束されても、文句はない。

現在の体力で研究室で働いていると、100時間を超えたあたりで、実験のできや頭の冴え方に響きすぎて、悪循環におちいる気がする。ドイツでは、ヨーロッパ流にもっと悠々自適にやっていたが、意外とその方がproductiveだったものだ。

Autism concordance

MZ high but DZ low

Fibromyalgia and sleep disturbances

pain syndrome?

2008年11月7日金曜日

What is the most important organ in the body?

人体で一番重要な臓器は、患者の主訴の臓器なのだそうだ。たとえば、耳が痛いというのなら、耳。Physical examinationの教科書通り、系統だって頭から足まで順に診察したのでは、患者は無視されている気がするのだそうだ。そして主訴の部位について、すぐにpertinentな所見がすべてとれてしまった場合でも、主訴の部位については、もうひとしきり念入りに診察すると、患者の気が済むのだそうだ。

でそれを教えてくれたのはクリニックの老放射線家医で、現在ではほとんど患者に手を触れることはないのだが、たとえば腹部の超音波検査をする際などは、必ず患者に痛いところ・気になるところなどをきいた上で、そこにプローブを当てて始めるのだという。たとえそれが、主訴とは関係ないと思われる部位であっても、あるいは超音波では何も見えない部分だったりしても、まずは痛いところにあてて始めると、患者の気が済むのだそうだ。やっぱり医者は超級サービス業だ。

2008年11月6日木曜日

胸部X線写真の左右差

最新の単純X線写真は解像度が恐ろしいほど高い。筋肉や靱帯や、小腸のループまではっきりと見えてしまったりもする。一つには高解像度デジタルモニターでcontrast, brightness, zoomなどを自在に調節できる、というのもあるのだろうけれども、デジタルカセットや放射線源そのものも、少量の放射線でくっきりとした写真が撮れるよう、技術革新が進んでいるのだという。

で、こういう技術革新でわかることとして、正しく撮影されたCXRでは、lung markingは一般にいって男性の場合右、女性の場合は左の方が明るいらしい。右利きの男性は通常、右の大胸筋のほうが大きく、よって、右がより白く写るのだという。右利きの女性は通常左の乳房のほうが大きく、よって、左がより白く写るのだという。確かに、筋力トレーニングに凝っている男性患者で、表示設定によっては一瞬右側の浸潤と読みたくなるくらい左右差のある症例をみた。(そういえば以前も、大学病院のローテンションで胸部X線のミニ講義の際、右側のmastectomyによって左側全体の方が格段に白く、まるで教科書のような肺炎に見えるフィルムを読まされたが、そこに居合わせた10人くらいの学生で、右のbreast shadowがないことに気づいたものは、一人もいなかった。)

で、大胸筋・女房の左右差について教えてくれた放射線科医の老暈医は、女性の乳房左右差についてのdirty jokeをいっていたが、公の場ゆえここでは割愛する。いずれにせよ、優れた臨床家は、教科書や機械主義的な人体観には収まりきれないようなこういった人体生物学を、有していたりするようだ。

あと、そのおじいさんによると、academic medical centerの放射線科医は重病人の画像ばかり読んでいるため、ある意味では全体観が偏ってくるのではないか、という。彼によると、暈みたいなところにいると健康な画像をたくさん読むので、ある意味では画像に対する感覚が研ぎ澄まされるのではないか、という。

2008年11月5日水曜日

Wallet sciatica

財布を後ろポケットに入れる男性は、時として、これに関連した片側性の坐骨神経痛に罹患するらしい。

2008年11月4日火曜日

過誤保険、対象外

現在アメリカの開業医の間で話題の訴訟例。



障害者に対しては法律上、適切なコミュニケーションを供与する義務が、医療者に課せられているらしい。たとえば聴覚障害者なら、筆談でもよいのだが、それでは現代の20分診療でとても間に合わない。だから、聴覚障害の患者なら、手話通訳を手配する義務が、開業医に課されるという。(その患者がドタキャンでもしようものなら、手話通訳代は、完全に医院の赤字となる。)

で、ある開業医が手話通訳を雇わずに、聴覚障害者のSLEか何かを治療したそうだ。治療は適切で寛解にいたったのだが、治療とはまったく関係なく、「コミュニケーション措置不十分」、ということで、この開業医が訴えられて、敗訴したらしい。悪くしたことに、この「コミュニケーション措置不足」は医療過誤ではないため、過誤保険ではカバーされないのだという。



10分前にオバマの選挙勝利がほぼ確定したが、ここまでずたずたの医療制度では、「メシア」と称される彼にしたって、手も足も出ないかもしれない。財政も大赤字だし。

カルテは簡潔に(2)

カルテは記号だらけで、独特の言語である。Physical examなんて正常ならば、殆ど文字の羅列で書くことができる(一応、翻訳つき):

VITALS T 36°C Tm 36.5°C HR 80 BP 120/80 (115-125/75-85) RR 20 SPO2 98% (RA) (temperature (24 hour max), heart rate, respiratory rate, blood pressure (24 hour range), O2 saturation on room air)
GEN WDWN NAD (well developed, well nourished, no acute distress)
HEENT NCAT (Head, Ears, Eyes, Nose, Throat, normocephalic, atraumatic)
   PERRLA (Pupils equally round and reactive to light and accommodation)
  MMM (Mucous membranes moist)
  EOMI (Extra ocular movements intact)
NECK supple, full ROM (range of motion)
  ØJVD, ØLAD (no juglar venous distension, no lymphadenopathy)
CV RRR ØM/R/G (regular rate and rhythm, no murmurs, rubs, or gallops)
PULM CTAB (clear to auscultation bilaterally)
ABD NTND NABS (abdomen nontender nondistended, normoactive bowel sounds)
EXT Øc/c/e (extremities no cyanosis/clubbing/edema
NEURO CN II-XII intact (Cranial Nerves)

2008年11月3日月曜日

履歴書

先週は一緒にクリニックで働いた軍医学校の3年生の最終日だった。で、クリニックの所長につれられて、二人で敷地の案内を受けた。軍病院にマッチする彼にとっては、暈医からの推薦状が特に重要なわけであるが、彼はすかさず履歴書を渡していた。それはつまり、来年のマッチの時期には、推薦状をお願いいたします、という彼の意思表示である。

でひとつ、大左から彼に対してアドバイスがあったのは、こういう非公式な履歴書には顔写真を掲載するとよい、とのこと。「君はとびきり優秀だったから忘れないけれどもね、一般にいって、毎年何十人という学生さんがこのクリニックに来るわけでしょ。だから、履歴書も顔写真がついていると、推薦状を書くときに思い出すのが楽なんだよ。」

ついでに僕も「You should do this too, Kenta」と指令を受けたので、久しぶりに履歴書を更新。顔写真を入れた。

テーブルを囲んで

(挙げ忘れていた記事です、書き足すつもりだったのですが)

ここの精神科では、指導医は一応「Dr.○○」と呼んでいる。でも、みんなでテーブルを囲んで患者に関して話し合ているので、それ以外はヒエラルキーはほとんど感じられない。

放射線科では液晶画面を囲んで半円形だったので、これはトリエント・ミサの感じか?精神科は2次ヴァチカン公会議以降。

2008年11月2日日曜日

血糖

先日は、外来でついて教わっていたお医者さんが施設内の救急当番だったので、緊急出動した。たぶん糖尿病治療の不具合で低血糖、LOCの女性。あきらかなdeliriumだったのが、水飴みたいのをなめさせられて、それでやっと静脈がとれたのでD50を入れたら、注射が終わるか終わらないかのうちに、たちまち普通の会話をしだした。

こういうのだから、脳の研究は難しい。特に小動物であればあるほど、実験下、こういうhomeostasisは簡単に狂うのだが、脳を単独の機械のように考えていると、そういうのを見落としやすい。低血糖・低体温で結果がでなかったりするのはまだよいのだが、あきらかに過呼吸性の癲癇様波の実験結果を平気で出したりする人も、少なくはない。

白衣の重み(内科編)

別に、professionalism云々の話をしようというのではない。単純に、白衣にいろいろな本を詰め込んで、重い、という話。内科の入院病棟のローテーションは、誰でも、一番重いという。先日興味半分に量ったら、2.2 kgもあった。肩がこるわけだ。

  • Maxwell Quick Medical Reference... 検査標準値やカルテの記入事項、公式、採血試験管の色など、あんちょこ(ほとんどの同級生が携帯)
  • Pocket Medicine: The Massachusetts General Hospital Handbook of Internal Medicine... 内科あんちょこ(ほとんどの同級生が携帯)。回診の最中などに復習するのによい。
  • The Sanford Guide to Antimicrobial Therapy, 2008 (Sanford Guide)... 抗生物質あんちょこ(ほとんどの同級生が携帯)

  • 学校支給のPalm... ePocratesとUpToDateが入っている。ePocratesは薬が主だが、計算公式も、時々便利。UpToDateは回診の直前に、口頭試問されそうなことを読むのに、便利。蓄電池もPocket PCに比べて長持ちする。
  • 東芝 Genio... 学校で支給されたPalmは日本語ができないため、PDA機能はあまり意味をなさない。EMailは無理にしても、カレンダー・taskはすべて英語で書けばよいのだが、なんといっても漢字は面積あたりの意味内容の密度が高いので、やはり便利。あと、日々使用している暗記ソフトも、PocketPCでないと、動かない。

  • 学校支給のポケベル... これがないと病院では機能できない
  • 聴診器... 記名必須
  • ペン... 指導医に「ペンない?」と聞かれたとき、あるいは患者にものを書かせるときのために、安いペンをいくつか持ち歩く、これは手元に戻ってはこない覚悟。自分用には、書きやすいものを。学生は基本的には黒以外を使用してはならないという、暗黙の了解がある。指導医だと青いペンを使ったりする人もある。
  • メモ用のノート(小)
  • メモ用のindex card/付箋... 人に渡す場合に便利
  • 定規
  • pocket light... 一応PERRL(pupils equal and round, reactive to light)と書くのに必要
  • reflex hammer... 先日ある先生に、「neurologyに少しでも興味があるのなら、もう少し重量感のある、ましなreflex hammerを使うべきだよ」といわれてしまった。その先生の重いのを使うと、確かに、腱反射がとてもとりやすい。でも、肩が...
  • 手袋
  • 消毒用アルコールガーゼパック... USMLEの規定では、聴診器の使用後は毎回アルコール消毒するか、ないしは、聴診器のあたまに手袋を被せて、患者に直接触れないようにしなければならない。そんなことを普段する人はいないわけだが、この消毒ガーゼ、食後の手拭きなどとして、意外と便利。
  • GUAIACカード... 1,2枚ポケットに忍ばせておいて、損はない。

  • Clinician's Pocket Reference... いわゆるScut Monkey Handbook。検査内容、手技など、Maxwell よりもだいぶ詳しいが、重いので携行はやめようかと思う。急に、「ちょっとparacentesis」とかいうときに、復習に便利。
  • Bates' Pocket Guide to Physical Examination And History Taking... 週に1回くらい、見たくなるが、これもちょっと不必要であろう。

というので現在は、腰巾着みたいなのを買って、白衣の下に装着している。肩への負担は、だいぶ減った。

2008年11月1日土曜日

Normal Values

臨床の現場でも、全国共通のshelf exam*についても、USMLEについても、検査のreference rangeをおおよそ覚えている必要がある。ShelfやUSMLEではreference rangeの一覧が与えられるが、時間制限が甘くはないので、いちいち参照していてると見直しなどの時間などがとれない。Roundsなどで、CBC/Chem-7/LFT以外の検査でも覚えていないと、いちいちMaxwellなんかを参照することになって、恰好わるい。

以下20頁などを参照。
http://download.usmle.org/2009step2ck.pdf

*shelf exam... 各科のローテーションの最後に行われる試験、USMLEと同じ協会が発行している

Osteopathic Medicine

アメリカの医師には、二種類いる。一番ふつうなのは、allopathic physician (MD)。これは、歴史的には蝦蟇の油売りのような流れに端を発する。もう一つ、人数は少ないが、osteopathic physician (DO)。これは、歴史的には、整体のような流れに端を発する。現在ではDOは主に、家庭医療に携わっている。

木・金と、クリニックの老軍医の外来で働いた。DOである。血圧とか高脂血症とか、そういうのはMDもDOも同じ治療をする。でも、mechanicalな背部痛とかになると、豹変。もちろん神経の圧迫や心血管系その他の危急な鑑別は除外するのであるが、musculoskeletalな背部痛については触診で、どの筋・どの靱帯が痛んでいるのかと、骨格の歪み・癖を特定してから、整体が始まる。どの筋・靱帯を治療するかによって、患者はいろいろな風に腕を組まされたり、俯せ、仰向け、いろいろである。小柄でやせた老軍医が患者の上にまたがるようにして体重をかけると、ボキボキと音がしたりする。で、「ああ、うまく外れたでしょ。感じる?」

2日でそんな患者さんが5,6人は、いた。変化のなかった1人をのぞいては、皆、急に楽になったので、驚くとともに感謝していた。西洋医学は澄まし顔をしていることが多いが、その反面、どんどん生身の患者からは遠ざかっている。血液検査と完備された薬局がなければ何もできないような、そういう医者も多い。レジデントの中には、さらに、専門コンサルトがなければ本当に何もできないのではないか、と疑わしい人もいる。しかしDOにせよ、MDにせよ、年配の医者と働くと、そういう傾向は医学の重要な本質を見失っているのだということが、肌で、感じられたりする。

現代の、多忙で高度専門化した医療システムの中で、そういう医者を目指そうとしたら、それこそ、時代の流れに抗うライフワークであろう。とても、研究の片手までできるような、生半可な営みでは、ない。

Diagnosing the Untreatable

「おそらく臨床研修には進まない」などということをいうと、いろいろと説明が面倒なので、志望科を聞かれたときは、「神経内科がもっとも可能性が高いけれども、まだわからない」と答えることにしている。春先あたりになってきたら、この答えでは通用しなくなるのが、考えただけで面倒くさい。

で、そのstandard answerをいったら、「Oh, a neurologist, eh? You want to diagnose the untreatable, and treat the undiagnosable, OK。治療できない疾患を診断して、診断できない疾患を治療しよう、ってやつね。」とからかわれてしまった。

脳の研究に従事すればするほど、この言葉が真実をついてる部分があることは、否めない。神経内科の疾患というのは、診断がついた頃にはもう根本的には治療できないものと、脳の複雑性から発するために単純な化学療法では手も足も出ないようなもの(あるいは金槌で時計を修理するようなもの)が、ほとんどである。

2008年10月30日木曜日

Rigor mortis

今日は月末で、給料日恒例の寿司の日。近所の寿司屋の若大将と話していたら、プリプリした鮮度のいいホタテの話から、魚の鮮度と死後硬直の話になった。

貝類は総じて、死後すぐにぬめぬめして食感が失われるという。一方魚は、取れたてしばらくは死後硬直が激しくて、むしろ食感が悪いそうだ。で、凍らしたり、脊髄に針金を通したりすると、死後硬直の具合がまったく変わるという。

基本的には神経細胞は比較的すぐに死んでしまうのだが、殺してすぐに脊髄に針金を通すことで死後硬直が変わってくるとしたら、神経科学の観点からも面白い可能性がある。それは、脊柱の神経を瞬時に抹殺することによるのか、それとも、末梢神経をうまい具合に発火させることによるのか。あと、僕自身学部の出身が農学系なので、いずれ暇があったら、畜産・水産とからめてそんな死後硬直の研究をするのも、若干morbidだが面白いかもしれない。文献を探して、先行研究がなければ、の話ではあるが。

2008年10月29日水曜日

旅医者

今日は外来クリニックで働いている家庭医のおじいさんと昼食をした。20年間開業医をしてから、計20年ほど世界中で働いた。南米、アフリカ、フィリピン、西欧、ロシア、オーストラリア、日本にも行く可能性があったそうだ。医者ならではの人生といえよう。

臨床をするのだったら、そんな生き方も面白いのだろう。

2008年10月27日月曜日

Hospice 訪問

今日はhospice訪問。Social workerといっしょに患者訪問に出かけた。「死にゆく人を助ける」というのは、何とも不思議な営みだ。まあでもある意味、人は全て、terminalな訳であって、医療の本質がそこにある、ともいえなくもない。生活習慣病などは特にそうだが。

保険が下りるよう、腕の外周などを注意深くカルテに記録するそうだ。体重が増え始めると、保険会社から支払いが止まるのだそうだ。Hospiceを始めると病状の進行が小康状態となることがあるが、そういうふうに明確に下り坂ではない人は、hospiceの対象にはならない。それも、保険会社からの支払いが止まってしまう。だから経済的にはまるで、病状の進行が目的、のような本末転倒な状態にもとれてしまう。まあ、市場主義的保険制度にあっては、無理もない話だが。

2008年10月26日日曜日

アメリカ、大丈夫?

これからアメリカは、当面、先の見えない闇に突入する。金融危機と貯蓄率の低さによる国家財政危機は、いうまでもない。自由市場主義による国内産業の空洞化による、失業率の高騰も、まあ、当然のことである。

暫く収拾のついていた治安悪化だが、これも、これからどうなるかは知れている。ただでさえ、日本や諸先進国とは比較するとまるで冗談のように世情の不安定な国である。たとえばワシントンDC。国会議事堂のすぐ裏手、町の南東の一角は事実上、立入禁止地区である。その一角に迷い込んで射殺されたとしても、だれも、同情してはくれない。これ、まさに、第3世界である。



問題はそれらのみですむわけではない。医療システム・教育研究システムも、危機に瀕している。だが、数ヶ月前の金融界と同様の状況であって、医療システム・教育研究システムの危機には、気づかない人・気づかないふりをしている人が、ほとんどなのではある。

医療。国民の6.5人に一人が、無保険者。残りの85%とて、中産階級以下では、ろくな保険ではない人がほとんど。たとえば卑近な話、奨学金とともに支給されている学生保険は、大病をしたら、すぐに吹き飛んでしまうような支払い上限だ。より深刻な問題としては、完全市場主義的な保険から、予防医療に対する社会的な取り組みがほとんど皆無であることも、これから、つけとして跳ね返ってくる問題である。金融の行き詰まりと、構図は酷似する。

すでに、前兆は、はっきり現れている。たとえば、昨今の経済混乱の下、病院の半数以上は、破産または破産寸前の状態にあるという。無保険者が救急に転がり込んできたり、あるいは保険のある患者でも、民間保険会社の、医療機関に対する支払い率の低さから、まあこの病院倒産も、不思議はない(保険会社が、手前勝手に、値引きしたりするのである)。だが、医療という行為は、本質的に、金儲けという行為とは、矛盾している、だから社会単位で補わなければ、話にもならない。

しかも、この惨状は、ほかの先進諸国に比べ、国民あたり2倍近い出費をした上でのはなしである。本質的に、根腐れしているのだ。



教育研究。アメリカの教育は世界に冠たるものとされるが、それは、大学・大学院の話。高校以下は、一部の私学や裕福な自治体を除いては、燦たる状況である。だから、アメリカの研究教育を支えているのは、あくまでも、ガイジン1世・2世である。この状況は、戦中に逃亡してきたユダヤ人学者たちに始まり、アメリカン・アカデミア勃興の、陰の姿ではある。で、このたびの金融危機で科学研究費が大打撃を受けることは目に見えているので、この象牙の塔も、意外ともろく崩れ去る可能性すら、ある。

たとえば、生物系の研究費のほとんどを支給しているNIHは、このたび、研究費の再提出回数を、今までの2回から、1回に削減した。研究費申請がどんどん博打化するなかで、本質的に意味のある研究が廃れゆくことは、目に見えている。ノーベル賞にしても、アメリカが遠ざかっていくのも、無理はない。アメリカの賞とて、過去の爺様ばかりである。本質的に意味のある研究は、研究費につながるような「打ち上げ花火型」の研究とは、異なる次元にあるのだ。この傾向が進む可能性も、強いと見る。



こうして、アメリカの世紀は、終わってしまうのであろうか。

あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。

2008年10月25日土曜日

薬品名しりとり

製薬会社が新薬を発表するときには、商売の都合上、brand nameは覚えやすく、generic nameは覚えにくいような命名をしているという。Genericは製薬会社の天敵なのであろう。そんなこともあって、臨床の現場では、よほどacademicな人をのぞいては通常、薬品はbrand nameで呼ばれている。患者に対するテレビ広告(!!!)や啓蒙(?)資料なども、すべて、brand name。

だが、academicな場では、必ず、generic nameが使われる。治験論文やUSMLE、shelf試験などは、generic nameを知らないと、話にならない。よって、哀れな医学生は必ず両方を頭にたたき込まなくてはならない。

特に売れ筋の薬(つまり慢性病で一生涯死ぬまでお客さんの薬)は、flashyな命名だしいろいろな競合薬が飛び交って、大変である。たとえば高脂血症の薬(atorvastatin/LIPITOR, lovastatin/MEVACOR, pravastatin/PRAVACHOL, rosuvastatin/CRESTOR, simvastatin/ZOCORなど)、睡眠薬(zolpidem/AMBIEN, zalepon/SONATA, eszopiclone/LUNESTAなど)、insulin製剤(HUMALOG, NOVOLOG, HUMULIN, NOVOLIN, ULTRALENTE, LANTUS)、セロトニン再吸収阻害抗鬱薬(citalopram/CELEXA, escitalopram/LEXAPRO, fluoxetine/PROZAC, fluvoxamine/LUVOX, paroxetine/PAXIL, sertraline/ZOLOFTなど)。こんな類のよく使われる薬はどれも、口をついて「generic⇔brand」翻訳できなくてはならない。当然それぞれの特質についても概要を知っていないと、困ったりもする。

さらに困ったことに、brand nameは国際的にほとんど統一されていないし、最近では混合製剤に新たに名前をつけたりしているから、これは、大変なことだ。向精神薬を服んでいなくとも、薬屋に、頭をはちゃめちゃに掻き回されているのだ。

PITA

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

中近東の平たいパンのことではない。Pain In The Ass (用例、That patient is such a PITA!)。

2008年10月24日金曜日

Burqaと骨粗鬆症

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)


イスラム教の女性の伝統衣装、burqa(hijab)。これを生涯まとっている女性は、日光の作用のもと皮膚で合成されるビタミンDが不足して、恐ろしく悪性のburka osteoporosisになるらしい。

こんなのが臨床でみられる、アメリカという国は、実に、坩堝である。

1st finger ≠ index finger

第一指、第二指、などという呼称は、推奨されていないらしい。というのも、たとえば第一指といわれて、間違えて親指ではなく人指し指を切断した外科医が、実存するというのだ。いるばかりではなく、手術箇所の間違いの6割以上が、指のとり違いだという。だから、指はthumb, index finger (forefinger), middle finger, ring finger, little fingerと呼ぶことが、一般に推奨されているらしい。

○○につける薬は?

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

あのね、林檎アレルギーがあるのならね、林檎は食べない方がいいんじゃない?
あのね、貧血気味で月のものが多いんだったら、献血はしない方がいいんじゃない?
あのね、膝の靭帯炎なんだったらさ、マラソンはよしといた方がいいんじゃない?

アメリカ人たちの中には、時折、恐ろしく非常識な人が混じっていたりするらしい。 この外来にくる人たち、自分を不死身の鉄人と思いこんでいるふしがある。そういうのは、心理学の枠組みでは、思春期の思考形態に、属する。あっ、そうか、このひとたち、実年齢もほとんどまだ、思春期だったりも、するのだ。

2008年10月22日水曜日

Dr. Takagaki

大学病院内科チームのレジデントは、博士課程を始める前の、メディカルスクール1,2年の同級生。で、新患の回診の時には、「こちら学生のDr. Takagaki」と紹介している。まあたしかに博士はとったので、technically correctではあるのだが、100% correctではない。普通は「student doctor」という誤魔化しかたがもっとも一般的だが(あるいは開き直って「medical student」)、「student doctor」とて、ちょっと違う。まあ、日本で学生を「先生」と呼ぶのと、同じようなものだと考えればよいのか?

内科外来

今月は内科外来。クラスの一人一人が地域の医院などに散らばって、働いている。僕はメトロ(ワシントンDCの地下鉄)に乗って、ある公的施設の付属医院に通っている。公的施設はどこもそうだが、毎朝、機関銃の間をかいくぐって、飛行場も顔負けの荷物検査。いろいろと面白い1ヶ月になりそうだが、ここに書くのはよします。そんなこんなで、今月は殆ど、過去の書き残しの記事だけになるかもしれません。

2008年10月21日火曜日

チーム医療の限界

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

今日は緩和医療のコンサルト・サービスと回診した。

で、ある患者さんのカルテを見ていたNPが、あら、降圧薬、また○○に変えたわ。この人の血圧には効かないのにね。もう3回目だわ。

何ヶ月も居座っている患者さんだと、病棟チームの交代のたびに同じような試行が繰り返されたりするようだ。Sign offがいくら丁寧でも、無理なものは無理だし、忙しい中、細かいことまではかまっていられない。

Clinical websites

アップデートしました

Cardiology
●●●●○ http://www.blaufuss.org/... EKG, heart sounds
●●●●○ ECG Web-Maven

Radiology
●●●●○ Learning Radiology
●●○○○ Lieberman's eRadiology

General
●●●●○ Medfools... メモ用の雛形など
●●○○○ Learners' TV
●○○○○ Connecticut Tutorials

2008年10月20日月曜日

カルテは簡潔に

指導医にHistory and Physicalの講評をいただいた。

丁寧によくかけているが、文学的すぎるとのこと。「学生のノートはたいてい、一番丁寧によく書けていて、historyとかも意外な発見があったりするんだけれども、長すぎると誰も読まないでしょ。」だから、次は、文章をぎゅっと必要最小限に引き締めることが、目標だそうだ。

NEJMのケースレポートなんかは、複雑な症例をうまく簡潔にまとめているから、日頃から読んで参考にするとよいそうだ。

Better gastric pacing

Ham O/D

ハム中毒。Christmas(やThanksgiving)にハムを食べ過ぎて、塩分で心不全が悪化する。

2008年10月17日金曜日

大学病院内科 最終日

今月は多くのことを頭に詰め込んだ。別に病人は、嫌ではない。学生でも少々は役に立つ、特に病人に近い目線だし、受け持ちも少ないので時間をかけて話を聞けるし、いろいろと説明したり、考えたりもできる。それも、悪い気はしない。

だが、ひとつよくわかったことは、僕にとっては研究室で研究をしていないことは、限りない苦痛である、ということ。大学に入って以来、研究室から遠かったことは、一度もない。親の背中を見ながら研究室を駆け回った少年時代も含めると、その空気なしには息苦しくなることも、不思議ではない。

で、本質的に重要な基礎研究と、臨床をすることとは、本質的に矛盾する。そこらへんはいずれゆっくり議論をまとめたいところだが、まあ、哲学的な矛盾はさておき、競争の厳しい現代における、しかも情報爆発の渦中にある若いキャリアにおいては、まず、時間的制約からして矛盾している。

あきらかに現代は、人間の手に負えない情報量があふれかえっている。でも、それに対応すべき新しい医学も、新しい科学も、未だ生まれてはいない。基本的には、かつての老人たちと同様な振る舞いで、何十倍という情報量を繰ることが、一線では求められるのだ。特定分野において、それが無理であれば、二束のわらじは、さらに、無理というもの。

女学生 vs. ナース

女子学生たちと立ち話していたら、「XX病棟の看護婦さん、意地悪だよね~」とかいうはなしになった。「そうかなあ、僕はいい経験しかないんだけれど。」とかいったら、ほかからも次々と、意地悪された経験談が次々と出てくる。

ふと気づいたように、「あら、きっと、高垣君は男だからじゃないかしら、看護婦さんは女子学生とは対抗意識があるんじゃないかしら、きっと」(激的意訳)「そういえば、男子の医学生には、媚びているような気がするわ。」女子学生一同、得心。

そんなもんなんだね。「看護婦さんみんな親切~!」なんていうのは相当脳天気だったらしい。一回だけ、オバチャン看護婦さんに変なことを言われたが、素知らぬ顔をして質問を続けたら、いつの間に普通の会話に変わった。体から発する気(qi)が重要なのかもしれない。

そういえば今日患者さんと病室で話していたら、消化器内科回診のご来光があった。指導医が先頭に立っていたのだが、僕には一言もいわないのだが、気で患者との会話をinterruptされて、かつ、押しのけられてしまった。まあ、こんな感じのほうが、「メディカルスクール」っぽいわけだが、学生とか看護師とか、「下々」に対して気配りのない医師が、必ず、ある一定数は、いる。病気で参っているところに、こんな人にオシリからカメラを突っ込まれた日には、かなわない。

疲労

早朝はドイツと研究の打ち合わせなど、夜は勉強、朝から晩まで病棟。よく考えれば、一日4時間を切っていた。それは疲れるわけだ。月曜からは外来なので、おそらく9時5時チックな日々になろう。同じチームの学生に、もうちょっと寝た方がいいんじゃないの、と、3回もいわれたら、間違いなく、体がついて行っていないのだろう。

ああそういえば、糞詰まりだったドイツ第1号論文が、not badなジャーナルに通り気味の気配。本質的にはmethods paperで、分野全体の実験手法の重大な落とし穴を指摘した挑発論文としては、上出来。

2008年10月13日月曜日

Antiemetic vagal nerve stimulator

Subdonal Hematuna

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

大学病院のシステムでは、名前とともに一行で主な病名が表示されるようになっている。ただ、病棟の事務員が入力するので、恐ろしくいい加減なことがある。先日は、subdonal hematunaの患者を担当した。こういわれると、硬膜下出血も、美味しそうな感じ。日本の病院の事務だったら、絶対にそんないい加減なことは起きない気がするのだが。

あと、文字ではなくICD-9コードが出ていたら、たいてい、Stigmaのある疾患。たとえば042で始まるコードはHIV/AIDS。どうしても患者の目に触れてしまう可能性があるため、病名は伏せてあるのだろう。

2008年10月12日日曜日

病院って不潔

ポケットにいろいろ詰め込んで一日中走り回っていると、白衣がすぐに薄汚くなってしまう。注意深くみると、一週間で相当汚い(図)。

この汚れ、なかなかとれないし、白衣は意外とアイロンも難しい。でも、クリーニングに出すと「ジャケット」という値段、8ドルくらい取られる。だからクリーニング代も馬鹿にならない。レジデントでも、注意深くみると、そこに気を払っている人と気を払っていない人と、一目瞭然である。

今週の総括

今週はしんどかった。ちょうど、いかに無知であるかがわかる程度にいろいろ知恵がついてきた感じ。で、夜遅くまで勉強しすぎて、昼のカンファレンスなどでは居眠り連発。

あと、アメリカの国状とともに世界が、どんどん凋落の一途である中、世界の首都におけるZeitgeistもただならぬものがある。缶詰を買い込んだり。アメリカ人は貯蓄率が低くてその日暮らしが多いので(あるいは、カード暮らし?)、外食産業などはじめ、急に相当な不景気だという。別に店をやっていなくても、肌で感じる。そういうのって、関係ないようでいて、意外と精神衛生を害する原因となる。

あと、PalmにUpToDateを導入したので、回診中や移動中など、少しずつ勉強できて好適ではあるが、研究の方もミニbreakthroughになりそうなお膳立てができたので、本当はそっちにももっとエネルギーを費やしたい。

USMLE Step1 廃止(3)

USMLE Step1 廃止
追、USMLE Step1 廃止

当座、臨床への興味が薄れてきたので、最近の動きをあまりフォローしていなかったのですが、コメントがあったのでUpdateです。改革計画は少々遅れをとりながらも検討は着実に進んでいるようです。いまのところでは、改革は早くとも、2012年、ということになっているそうです(以前は2011年以降から、ということであった)。今までのカリキュラムのなかで、Step 1は重要な役割を占めてきたため (たとえば、Step 1を進級判定にもちいたり、マッチの脚きり基準となったり)、なかなか、容易には変更できないのが、現状のようです。

変革の要点は特に、臨床と基礎の複合問題を多く作成することと、Step 2 CSが医学生に強いている財政負担を軽減することに焦点が当てられているようです。1点目については、USMLEの問題作成にかかわっている先生方も、徐々にそういう動きが準備されているようです。

また、情報が手に入れば、ご報告します。



参考リンク
USMLE サイト
解説記事 1
解説記事 2

2008年10月10日金曜日

Rectal exam

恐怖のdigital rectal exam。

触診と、潜血のGUAIAC検査。5年前の模擬患者を使った実習以来、実をいうとやったことがないので、練習したい気持ちもあったにはあった。だが、患者が強硬に拒んで、レジデントと相談してGI Bleedの可能性が低いのでまあいい、ということになったので、若干ほっとした。

2008年10月9日木曜日

Volume Overload

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

粘土のような浮腫。Pitting edema 5/4(???)。脚はもちろん、腰や背中まで。肺尖でもはっきりとcrackleが聞こえる。

お・そ・ろ・し・や

2008年10月6日月曜日

Russell viper venom time

今日は抗リン脂質抗体症候群の話があった。

Russell viperという毒蛇の毒液はある凝固因子を活性化するのだが、ある種の抗燐脂質抗体があると、この凝固反応が遅延される。よって、この蛇から採取した毒液が、dRVVTという検査に用いられる。

その話をしている先生がHarry PotterのSnape先生のような髪型であることも相俟って、なんだかHarry Potterのような気分になった。

2008年10月5日日曜日

Litigious zone

胸部X線の、心臓の上の中心部から肺尖にかけては、小さなnoduleを見落としやすく、よって胸部X線のlitigious zone(訴訟部位)というらしい。

2008年10月4日土曜日

If you hear it, it's above grade 3...

Medical schoolの3年生に聞き取れるmurmurは、必ずgrade 3以上なのだそうだ。だから、カルテに2/6などと書いてはいけない...

Pain Syndromes and Psychoses

Both "frontal" syndromes with fixation/perseveration on otherwise unremarkable stimuli. Relief with psychphysically designed distraction measures.

治る病気とConsumptionと(追)

追、この患者、まだよくわかっていないらしい。

発表した患者担当の4年生によると、それはそうだよ、W先生はrheumatologistだから、SLEになるに決まっているでしょ。いろいろな科のconsultをとっているけれども、どの科もだいたい、その科の疾患が濃厚、ということになるわけで、だって。Specialistはどうしても、視界が狭まってしまうのだろうか。

Multisystemic Diseases

今朝のmedical studentの症例検討会は、おそらくWegener granulomatosisが濃厚、ということに。で、取り仕切っている先生が面白いことをいっていた。

曰く、USMLEやshelf試験は、どの臓器が何%、という出題基準が細かく決まっているので、複数の臓器がかかわってくる疾患が好まれるのだ、と。Wegenerとか、SLEとかはだから特に、好まれるのだ、と。一問で、複数のノルマを満たせるらしい。まあ、いわれてみれば当たり前だが、この先生はrheumatologistなので、ほんのちょっと、眉唾。

2008年10月1日水曜日

煉瓦がひとつずつ...

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

脳・肝臓・骨、癌はもう、体中に巣食っている。「体の煉瓦がひとつずつ崩れていく気がする...でも米国市民になったばかりなので、オバマに投票するのが楽しみでしょうがない。」

今日朝のpreroundで形どおり呼吸音などを聞いていたら、「無視してようと思って、誰にも言わなかったんだけれどね」と、頸部リンパ腺が腫れていることを明かされた。「治してくれるかしら?」

そんなこといっても、元も子もないことは、僕も、その患者さんも、周知の上。暫く考えた挙句、苦し紛れに「今、感染症がないかどうか検査で調べているので、もしもそれだったら、抗生剤で腫れは引くかもしれませんよ。」主訴と関連して、何種類かの培養なども出してあるから、うそではない。本音でもないことは、僕も、その患者さんも、周知の上だと思う。体中のリンパ節にも、きっと、癌が巣食っている可能性は、高い。

こんなときに、「なんて恐ろしい生業に足を突っ込んでしまったのだ」と、感じる。もう20年以上も学校教育を受けて、ここまで辿り着いたのだ。患者さんはまさに、生死を、ともに分かち合ってくれている。それでいて、「研究のほうが楽しいもんね~!」なんていうのが、許されるのだろうか。

2008年9月30日火曜日

Salary

今日はレジデントたちの交替の日。明日からはまたもや、同級生レジデントである。

で、今晩は一緒に回っている3年生とレジデントと、3人でご飯を食べに行った。皆ほとんど同い年なので、和気藹々と飲んでいたのだが、最後におごってくれるという。アメリカでは、日本のように簡単におごったりはしない。「給料をもらっているのは、僕だけだからさ。」

実をいうと僕も給料(奨学金)をもらっているのだが、言い出しにくくて、若干uncomfortableな一瞬であった。明日からまた、がんばらなくちゃ。お金をもらっているのだから、少々働いたって、文句はなかろう。

2008年9月29日月曜日

r/o coprocephaly

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

いろいろな意味で偽病の疑いの強いある患者が、急に湿疹を起こした。レジデントが忙しいのは知っていたが、どうしてもオピオイドを出せとうるさいので「患者XY、右上腕にrubor/calor(確認済み)、Percoset希望、r/o malingering」とポケベルで報告した。

また同じようなことがあったら、「r/o coprocephaly」を使ってみようか知らん。(coprocephaly=shithead)

治る病気とConsumptionと

今日の学部生の症例検討会は、アフリカ帰りに謎の高熱と喀血のある患者について、4年生AIが発表した。昨日入院したばかりで、まだ診断は下っていないというもの検査結果も現在形でどんどん更新されていて、エキサイティングであった。結果はきっと、熱帯病かなにかによって誘発されたSLEの発症がもっとも可能性が高い、ということになった。

で検討会のとりまとめをしていたrheumatologistの先生によると、その昔、不治の病で喀血のあるものはすべて、consumption(結核)ということになっていたそうだ。癌だろうが、SLEみたいなのだろうが、本当の結核だろうが。「半世紀前だったら、この検討会は10秒で終わっていたかもしれないね、肺結核・不治、ということで。」

将来、精神疾患などについても、同じようにいわれるときがくるのであろうか?

2008年9月28日日曜日

いすに腰掛けて

実習で殆ど朝早くから晩遅くまで病棟につめているのだが、時々同時に内科病棟を回っている10人程度で集まって、講義がある。先日は患者とのコミュニケーションについて、緩和医療をしている先生が講師だった。

遅刻ぎりぎりで病棟から内科のセミナー室に駆けつけたら、最前列に座る羽目になってしまった。でなにやら、患者がどうたらこうたら言っているのを、眠いのをこらえて聞いていたら、いきなりセミナー室を歩き回りながらはなしていた先生が、僕の真前、ひざも触れ合うくらいの位置に立ちどまった。こっちはいすに座っているから、居心地が悪いたらありやしない。

「何じゃこれは」と思いきや。1分ほどそのままの状態で話を続けてから、話の流れで、「ね、こう話されると、嫌な感じでしょ。」だってさ。で「患者の病室を回診する際も、こんな感じになりがちなんだよ」と。患者はベッド、医者は近くにたったら、まさに、そのとおりである。「だから、朝の忙しいときでも、必ず、いすを見つけて座って話すように心がけるといいよ。」ですって。「いすがどうしてもなかったらね、患者さんの許可を得て、ベッドに座るのだって、私はいいと思いますよ。」

だから今日入院をした患者から病歴を取るときには、いすに座って話を聞いた。確かに、いすを見つけるのは10秒と違わないが、患者さんにとってはだいぶ違うのだろう。あと、code statusのとり方(緊急時の蘇生の有無などについて、事前承諾を得る時の話術)についても話していたが、これは相当な高等編。僕にはなかなか難しい。

2008年9月27日土曜日

TB, sarcoid, SLE

いいこと聞いてしまった。

Attendingに「他に鑑別は」と聞かれて、まったく思い浮かばなかった場合、TB・sarcoid・SLEあたりをいえば、たいてい片がつく、というはなし。

全身、殆ど、なんでもOK!

2008年9月26日金曜日

I'm a poop doc this month

知り合いのレジデントが、今月は消化器を回っているらしい。「今月は、ウンコ先生さ。」

以前は、内科でマッチして、博士の脳科学から、消化器関連(腸管神経系)の研究に転向しようかと思っていた頃もあった。でもないかは忙しすぎて、癌は別として基礎研究をやっている医者の割合は極端に低いし、医療報酬上、内科という科は、基礎研究を全面的にサポートする余裕は、基本的にあまりない。だから、僕はpoop docにはならない。

流行の靴

このclogというのが、やたらと病院中ではやっている.3人に一人はこんな感じの靴をはいている.女の子たちから仕入れた情報によると、一番人気は、Danskoというブランドらしい。

チームがエレベーターを使わない人たちで、しかも今、受け持ちは一般病棟の2階~7階、さらに少しはなれた外科病棟やICUなどにも散らばっているため、現在はいている革靴では夕方ころには足がすれてくる.

土曜日は休みなので、モールに靴でも買いにいこうか知らん.

2008年9月25日木曜日

チームの年齢構成

内科の現在のチームは、レジデントが27歳。インターンは28歳。もう一人の学生も28歳。僕は29歳になったばかり。逆ピラミッドの、まったく変な話だ。

ジョークでドクターと呼ばれたり。まあ確かに博士だからドクターなのではある。まあそんなこんなで、人手が足りなくて忙しくしているが、和気藹々と毎日やっている。

2008年9月23日火曜日

カルテ研究の難題

保険が降りるように相当幅を持って診断などは記載されていたり。これではカルテ研究にはならない。

If you haven't been sued, you will

ある朝、カルテ記載の略語に関するミニ講義後、指導医いわく。「まだ医療過誤訴訟を起こされていなければね、そのうち回ってくるから」

Suicide by cop

警察官を挑発して、射殺される、という自殺方法。

2008年9月22日月曜日

Harveyとその弟子たち

今日は学年全体の大講義があった。ASによるCHFの症例検討会だったのだが、大教授たちが何人も参加していた。その大教授たちはみな、先年亡くなった心臓(特に心音診断)の大家、Proctor Harveyの弟子たちである。この人、半世紀以上にわたってGeorgetownの名物教授。患者・学生などに対して、人柄がよいので有名だった。弟子たちはみな相当思い入れがあるらしい。

今の同級生たちは、Harveyの講義は受けていないらしいのだが、4年前に1,2年をやったときは、physical diagonsisの心臓と、生理学も教えていた気がする。授業中に心音のCDをかけて、「これが即座に診断できなくちゃね、外科だろうが精神科だろうが、医者を名乗る資格はないよ」とかいっていたような気がする。これはきっと、研究医を目指す僕にも当たる言葉のような気がする。何についても、一通り知っているのが、医者なのだから。

で授業の最後に、今年末に刊行される心音と心臓病の診察に関するHarveyの遺書の抜き刷りと、その本の付録である、数限りない心音を録音・解説したDVDが配られた。

Harvey型聴診器

LibriumとLithium

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

精神科志望のAI(4年生インターン)。大手柄であった。

重度のアルコール依存症で、withdrawalで入ってきた患者だが、本来は内科に入院すべきなのに、他の合併精神疾患で精神科入院病棟の常連さんなので、ERは精神科病棟に送ってきた。アルコールのwithdrawalは、場合によっては致死性である。

で、AIが何度掛け合っても、指導医同士で掛け合っても、内科はコンサルトだけして、引き取ろうとはしない。「そんなにたいしたことはない。Librium(chlordiazepoxide)をやっとけば大丈夫。」の一本やり。通常量の倍近いLibriumでやっと症状が治まっているにもかかわらず。コンサルトもお粗末で、カルテでLibriumとLithiumを書き間違えたり(いや確かに、Lithiumも服用しているのだが)、ひどいものだった。

3日目。多分何もでないけれど、と、念のためにAIが血液検査を取ったら、入院時は正常であったALT/ASTが800。内科であわてて引き取っていった。毎日患者を見ているこっちのチームのほうが、重篤度についてはよく判断できるに決まっているのだが、この内科チームはきっと、精神科を医者とは見ていないのだろう。

その後、コンピュータで毎日その患者の予後を見守っていたのだが、原因不明の肝機能障害で酵素はさらにうなぎのぼり。内科の言うとおりLibriumを処方して退院させていたら、大変なことになっていただろう。

来年の今頃、これほどにまで、患者のケアについて貢献できているのだろうか。

Is Ms. B a Mouse?

チームのAI(4年生インターン)。一生懸命患者の治療に関連した科学論文を調べてきたのだが、「is Ms.B a mouse?」と一蹴されてしまった。指導医は冗談で言ったのだが、ことの本質を実についている。特に脳はそうだが、他の臓器についても実は、同じことが言える。

あと、指導医が言うには、「糖尿病の基準などと、DSMの精神病の基準は、基本的には同じこと。治療方針を決める上で、ある線を引いて患者を分類しなければならないのだが、その基準である。ただDSMの場合は評価基準が主観的になるだけで、本質的な相対性については内科の診断基準と大差ない」

確かに検査とかも病院やとる人の出来不出来によって変わってくることも考え合わせると、そのとおりではある。

2008年9月20日土曜日

Podría morir...

...あんた死ぬかもしれないよ

いやまあ、文字通りなんだけれども、教養ではこんないいまわし、さすがに登場しなかったな。ということで一生懸命、「医療従事者のためのスペイン語」というCDをMP3プレヤーに入れて、通勤中に練習している。本当はドイツ語の方がやばいのだが。


ある病院で産婦人科をやると、患者の大半が英語を話さない移民らしい。少しくらいできないと病歴も全くとれないよ... と同級生から聞きつけて、また少し、スペイン語でも復習してみようかというわけ。なんたるサービス精神。でも、やることの数を少し削減しないと、パンクしちゃいますね。

科学と医学

ずっと考えていることだが、試験勉強をしながらいろいろ考えた結果、基礎研究と医学の根源的な相違点が、少しはっきりした気がする。



極端に煎じ詰めると、科学というのは、結果は実をいうとどうでもよいのである。もちろん、生物やら物質やらの真理についてわかった気がするのは大変結構なことだが、それが本質的な目標ではない。ことの本質は逆に、「分からない」という状態と、その状態への対処法なのである。

たとえば、「視覚野の細胞はこれこれしかじかの刺激を受けると、これこれしかじかの反応をする」といったstatement自体は、実をいうと生理学の本質ではない。というのも、このstatementは実に多くの前提を含んでいるのだ。たとえば、どの動物種・亜種・個体を用いたか、麻酔下であるか、麻酔の有無にかかわらず記録時の睡眠サイクル、与えた刺激の詳細、刺激した際の瞳孔の状態、体温、性別、月経周期、ストレス反応などなど。あるいは、電極の種類や電極を刺す方向によっても、見つかる細胞種や記録される信号には、いろいろなバイアスがかかってくる。たとえば、「視覚野の神経細胞」と電気生理学者が言った場合は通常、大きめの錐体細胞のうち、記録条件下である程度の自発発火を有するものを指す。電極を単に刺していって探すと、そういう細胞が圧倒的に多く、捕まるからである。

この「いろいろ複雑な条件がありすぎてよくわからない」という状態への対処法が、科学の本質であろう。場合によっては実験計画を工夫することによって、あるいは場合によっては実験条件によらない因子を使っていろいろな単純かを試みつつ、仮構たるストーリーを構成する営みこそが、科学なのである。抗癌薬が発見されたり、そういうのは、ラッキーで実用的ではあっても、科学の本質ではない。



また極端に煎じ詰めると、医学というのは、結果以外は実をいうとどうでもよいのである。もちろん、生理学や薬理学の原理にかなった考え方をした方が、完全なる出鱈目よりも結果につながりやすいことは間違いないのだろうけれども、仮に仕組みはよくわからないけれどもある状況下で「治る」薬があれば、仕組みは二の次なのである。極端な例、精神科の薬なんて、大局的にみればすべてこの部類である。個体レベルで総括的に仕組みの説明できる向精神薬など、一つもないのだ。それだって、治るものは治るので、それはそれでよい。

精神科に限った話では、決してない。たとえば、アメリカ東部の郊外白人男性を対象とした心臓病研究が、どれほど、日本女性に適応できるかは、実をいうと、注意深い吟味の対象たるべきなのである。でも、それは、「研究が足りない。だから日本女性を対象とした同様の治験もしよう。」という短絡思考でおさまる問題ではない。人間が研究室のラットたちのように均質ではないところに、その問題の根源があるわけで(近親交配ラットだって多様な面もあるのだが)、まして気の遠くなるほど交絡因子を有するヒト個人を対象とする限り、根本からいうと、頭でっかちの単純化をとおして解消できる問題では、決してないのだ。100万人を対象に治験を行っても、100万と1人目の人も、治療しなくてはならない。



仮に試験でたとえれば、A-Eのうち、「もっとも適切と考えられるものを選べ」というのが医学、かならず一つの真理に到達しなければならない。一方、「A-Eのそれぞれの真偽について多角的に検討せよ」というのが科学なのだろう、真理が一様であるとは限らない。

手元にあるエビデンスに照らし続けるにせよ、「最終的に何をするのかという決断」、つまり見切り発車こそが、医学の本質である。ところが、いろいろなエビデンスをいつまでも集め続けて、「ああでもないこうでもない」と結論を引き延ばすことこそ、科学の本質である。



ある研究医の中国人友人は、中国では、医者を大工に喩えるのだという。その状況その状況で、もっとも適切な棚なら棚を時間内にこしらえるのが、その職人技。もちろん棚の出来不出来は腕により異なるが、使える棚ができることが、一番の要請である。

そのたとえでいけば、科学はもっと前衛芸術のようなものなのであろう。使えるものができるかどうかは、はっきり言って、どうでもよいのだ。いつになったら完成するのかわからないそのオブジェの全体像が、人間の美感にかなっていることこそ、重要である。

2008年9月19日金曜日

精神科入院病棟 最終日

チーフレジデントが、ベーグルとコーヒーを買ってきて、病棟チームみんなで朝の引き継ぎ前に朝食パーティー。とっても充実した一ヶ月であったし、色々学ぶことができた。また、教室で精神科の授業を受けるのと違い、目の前に患者がいて、薬を出したりしていて、やっと精神科では何をやっているのか、わかってきた気がする。その意味では、学習目標達成といってよかろう。あとは、試験。

2008年9月18日木曜日

Manic first break ambulatory EEG

catch gradual process of mood stabilization and sleep

2008年9月17日水曜日

Personality disorders

患者と接することの多い病棟スタッフは、瞬時にpersonality disorderやtraitを診断することができる。きっと町中を歩いていても、そんなことがいつも頭をよぎったりするのではないだろうか。

だから学生とかも瞬間的に好かれたり嫌われたりするのだろうか。

Hepatic encephalopathy

昼夜逆転

2008年9月16日火曜日

Self-pleasure mode

On callのポケベルは、一番うるさい着信音に設定してある。ある忙しい日に、鳴り続けていてとうとう頭にきたレジデントが、チーフレジデントに向かって、「これ、いつもうるさいわよね。ねえ、self-pleasure modeに変えちゃだめ?」だって。ヴァイブ設定のこと... 精神科の入院病棟チームは今、完全に男一人なので、時々、まるで女子校の教室にぽつりと一人座っているような気分になる。

あと、いろいろなポケベルのメロディーにそれぞれ、お下品な替え歌があるらしい。内科のインターンでポケベルに追われて当直をしていると、そういう替え歌が頭に浮かぶのだそうだ。

ニューヨークあたりはいま...

アメリカ経済(国際経済?)は倒壊の瀬戸際をうろうろしているが、今日病棟で投資銀行の人たちが話題になった。

「あら、大学の同級生でもいたわ、投資銀行に勤めるんだといって浮かれていた人。」
「今頃になってみんな首だわ~!」
「医者は10年近くもトレーニングが必要な割には給料も高くないし、勤務も厳しいけれど、職業の安定としてはやっぱり一番かもしれないわね。」
「今頃、ニューヨークあたりの精神科はこれから大変じゃないかしら?Lehmanとかに勤めていたnarcissistたちがみんな一斉に鬱とかになるでしょうから。」

これ、このままいくと、ニューヨークに限った問題で収まるかは、まったく不明ではあるが。

そういえば、時事的な発症とか、時期的な発症とかはよくあるみたい。たとえば僕らの精神科の一ヶ月はちょうど8月末から9月末で、ちょうど新学期にあたった。だから、躁のfirst breakの症例もいくつか見ることができた。あと、開業精神科医は8月あたりに休暇をとることが多く、普段の精神科治療が途切れてしまったことから悪化して入院する患者も何人か、いた。

FD12

常連患者。極端な人格障害で、地域中の精神科病棟を遍歴して暮らしている、という意味では悲劇的でもある。「テディーベア兆候」陽性(人格障害に伴う子供帰りというか、人格形成不全というか)。もう何10回も入院していて、前回は二ヶ月近く居座ったという。Suicidal ideationさえ示せば、いつまでも居座れることを知っている。もっとも、すでに何回も相当深刻な自殺未遂を行っているので、冗談とばかりにはいかない。

でもさすがに病棟のルールを取り締まろうとするスタッフを蹴ったり、相手にしてもらえないからと朝から晩まで阿鼻叫喚して病棟のほかの患者の精神衛生を乱したりすると、チーフレジデントが黙ってはいない。容赦なく、あっけなく、FD12という強制入院手続きを済ませて、securityの守衛さんたちによって担架に括り付けられて、haldolを打たれて、地域の精神科強制入院病棟を有する病院に送られていった。

チーフレジデントによると、ありとあらゆる境界性人格のなかでも、もっともひどいという。日がな大声で嗚咽が聞こえてくるのは、いかにも「精神科入院病棟」といった1日半ではあったが、病棟中みんなぴりぴりしていて、いやだった。

納豆

納豆の朝食はおいしくて体にもよいが、ちょっと控えた方がよさそうだ。今日は一日中、朝の歯磨きにもかかわらず、口から枯草菌のにおいが。一生懸命ガムを噛んだり、うがいをしたりしていたのだが、口に納豆味ガムの感覚が残る。

2008年9月15日月曜日

ラッキー

来週からの内科チーム割り当てが発表になった。また別の、同級生レジデントになりそうだ。あと、精神科の入院病棟で今も一緒の美人同級生と二人でチームに配属。

Manic episodes and sleep

What about the manic brain state allows homeostasis with less sleep?

2008年9月14日日曜日

Autism and lateralization

Physically, autistic children have a variety of soft neurological signs and primitive reflexes, an excess of non-right-handedness, and an apparent failure to achieve normal cerebral dominance of language functions in the left hemisphere.

Myelination disorder.

ゆく川の流れは絶えずして

金曜日早朝、ドイツの共同研究者とデータについてSkypeしていて気づいたのだが、まだ、ドイツから帰国して、1ヶ月しかたたない。実感としてはもう、数ヶ月はやっている気がする。短いような、長いような、不思議な一年になりそうだ。

今週は病棟が暇だったので、いろいろな知り合いの先生のところを回って、相談などした。話すにつけ、やっぱり、僕は、たぶん、基礎研究がしたいのである。

2008年9月13日土曜日

Asshole NOS

ある患者の退院書類を準備していて、レジデントに、最終診断は何にしましょう、と聞いたら、「Asshole NOS」だって。ワッハッハ。(NOS=not otherwise specified、DSM分類の中で、たとえば診断のはっきりしない情緒障害は、mood disorder NOSなどとなる)

本当に今週はしんどかった。この患者、悪性の覚醒剤の長期乱用で、脳はきっとどろどろに溶けているのだ。でも、人間というのは恐ろしいもので、一見するとふつうに振る舞えるのだ。じっくり込み入った話を聞き出してはじめて、妄想などの酷さがわかる。あと、回診の時は必ず、30秒以内に泣き出す。あまり科学的ではないとらえ方をすると、大脳による制御が解けて、動物的な原初感情があらわになっているのかもしれない。

で、チーム全体で一生懸命よかれとしていることも、あまり受け入れない。覚醒剤で頭どろどろのくせに、出した薬は「頭がおかしくなるから」と拒む。確かに向精神薬はある意味、怖い部分もあるのだが、薬というのは一般的にどれも怖いわけで、それを承知の上で、何もしないよりはよっぽどましだから、と出しているのだ。もうしばらく安定させてからの退院、という予定だったのだが、AMA(against medical advice医者の勧めに反しての退院)で出て行くという。まあ、voluntaryの病棟なので、強制的に入院を継続させたり、ベッドに縛り付けたりするようなことは、しない(できない)のだ。

完全に頭をやられているならいざ知らず、時々、健常に見えるだけに、僕のようなナイーヴな医学生は頭と気持ちを撹乱されて、しんどいのかもしれない。

でなんとか、物質依存の治療施設を紹介して、たぶん処方した薬についてもその重要性をわかってもらえた気はするのだが(気の遠くなるほどの回数、説得した挙げ句)、できる限りのことはした今となってはもう、悪いけれど、さっさと出て行ってほしい。本当はこういう患者じゃなくて、愉快な躁患者とかを、受け持ちたいのだ。

Passive Death Wishはおあり?

朝の引き継ぎで、レジデント・看護師・学生が集まって話しているところに、病棟の経理係のオバチャンがきた。入院患者の一人について、保険屋が払わないと言いだしたらしい。

アメリカの崩壊した医療保険システムでは、病院から健康保険会社に対して請求した医療費が、すべて帰ってくるとは限らない。保険屋によっては、勝手に値引きしたり、これとこれは払わない、などと勝手なことを言い出す。まあ、民間の保険会社は商売なのだから、重病人には死んでもらうのが一番いいに決まっているのだが、商売ではなく医療に携わる病院側としては、そういうわけにもいかない。特に精神科については、偏見が根強いようで、保険交渉も一般病棟とは別だったりして、支払い率が低いようだ。

だから、経理のおばちゃんによると、「カルテを書くときは、もしも物質依存とそのほかの精神疾患が合併している場合は、かならず一番目の診断は精神疾患の方にしてくださいね」だって。物質依存は、分裂病や鬱や躁鬱などに比べ、一段と蔑視の度合いが高いのだという。

「あと、できることなら、passive death wish(求死願望とでもいうのか?自殺するほどではないけれど、事故か病気か何かで死んでしまえばいいのにな~と思うこと。)も聞き出せると最高ですわ」と。もちろん冗談。みんなでワッハッハ。でも、日がな保険会社とfightしていると、そんな冗談の一つもいいたくなるのだろう。

2008年9月10日水曜日

Brahmsの鑑別

大体BrahmsのCDをかけ始めると、軽躁気味の兆候。あるいは、コーヒーの飲み過ぎなだけかも知れない。
麻酔科・外科のカルテを使った臨床研究などが、頭の中を駆けめぐる。

Physical examinationビデオ講義

早くも後1.5週間で精神科は終わり。次なる関門は、3ヶ月の内科。Georgetown入院病棟で1ヶ月、地域の医院で外来1ヶ月、関連病院の入院病棟で1ヶ月。

精神科から救急に送られて、ざっと診察するだけでもあたふたしているのに、このままだと内科はヤバイ。第一、聴診器とかそういう授業はM2でやったが、もう、5年近く前の話。で、Georgetownの内科は特に診察に関しては厳しいといわれる。そこら辺、何とかしなくてはならない。



ちょっと前に知ったのだが、便利なことに、Physical Diagnosisの手ほどきビデオが無料で視聴できる。ごく普通のphysical diagnosisの講義だが、復習にちょうどよい。あと日本の学生の方は、留学の際に特にこういうのが参考になるのかもしれない。

あと、医学部で学んだことのない方は、解剖のビデオとかもあるので、おもしろいと感じる方もあるかもしれない。ただ、あの臭いと、人体がモノとなった触感は、なかなかビデオでは伝わらないのではあるが。

2008年9月9日火曜日

怖い話

今日は指導医が急な外来か何かで遅れる、というので、朝のシフト交代から10時頃まで暇だった。ので、チームみんなで食堂にいってゆっくり朝食をした。

で、ちょっと変な病歴の患者が入ってきていたので、そこから発展して、いろいろとおもしろい話を聞くことができた。チーフレジデントが、こういう話、とっても好きなのだ。ビール瓶を飲み込んだ患者の話や、膣部にナイフを挿入して自殺を図った患者や、trazodone(Desyrel)による持続勃起症によって救急に運ばれた患者(海面体へ、epinephrine注射?!)の話や、経尿道的な性交の話になった。

この経尿道的な性交、もちろん異常性癖ではあるが、同性愛男性に時々みられるらしい。解剖学的に考えて、どうしたらそんなことができるのかはちょっと不明だが(「うん、きっと、Foleyの延長なんでしょ。首長族とかみたいに、少しずつだと思うわ」)、尿路感染症・尿失禁など、大変なことになりそうだ。で、チーフレジデント以下、僕以外全員女性なので、それに関するジョークはちょっとキツかった。精神科にいると、変な行動をいろいろみる、というのと、冗談でも言っていないとこっちのバランス感覚がおかしくなってしまう、という面もあるだろう。

そういえば、チーフレジデントは今日チーム全体をさして、間違えて、「ladies」だって。もちろん、普通に「guys」とかいうのも本来は男性なわけだが、現在では中性用法も一般化している。それを考えると、女性の方が多いので「ladies」でもよいのだろうけれど、まあチーフレジデントは僕と目をあわせるなり、慌てて「and gentlemen」と付け加えた。

プラスチック社会(追)

長くいて患者をよく知っている看護師によると、この患者はクレジットカードを使って町中のホテルに泊まり逃げをしているらしい。住所もないのに、クレジットカードを手に入れることができる。もちろん、カードは払わずに使い倒し。

どう考えても、全く、変な話だ。

アル中

10日間、朝から晩まで飲み続け。飲んでは倒れ、飲んでは倒れ。ついにお金がつきて、うがい薬(アルコール25%)。

これ、正真正銘の、dependence。

2008年9月8日月曜日

プラスチック社会

ホームレスの人がナースステーションで持ち物を広げていたら、クレジットカード(信用卡)が10個くらい、バラバラ、と出てきた。それ、どういうこと???

Parole officer

PO

「 PO=per os 経口投与 」かと思いきや、ankle bracelet云々。よく読むと、「PO = Parole officer(仮釈放囚人の監視官)」ということらしい。囚人の居場所を監視するために、踵に追跡のための電波発生ブレスレットをしている、ということ。

2008年9月6日土曜日

Path, Neuro, Radiology

同級生レジデントと話していたら、どうやら僕は、病理・神経内科・放射線科のタイプなのだそうだ。

2008年9月4日木曜日

Homicidal Ideation

入院病棟の隣のチームのattendingがお休みなので、精神科の他のattendingがカバーしている。ところがこの代理attending、回診が恐ろしく遅く、評判がとても悪い。でこの問題のattending、宗教上の理由から、妊娠中絶を希望する妊婦を、他殺企図とみなしているらしい。

もちろん、カトリックの教えに従えば、受精の時点から生命が始まるので、中絶は殺人に当たる。事実、うちの大学はカトリックなので、大学病院では中絶目的のD&Cは行っていない。でも今日はresidentたちが顔をつき合わせて、「あのattending、中絶希望の患者を他殺企図あり、ということで強制入院しようとしている...」と本気で心配していた。これ、果たして、合法なのだろうか?

その勢いでいったら本来、今、共和党の党大会で国粋主義的なスローガンを唱えている馬鹿たちも、強制入院させるべきかもしれない。しかもこちらは、石油利権だかなんだかをめぐって、胎児ばかりか、一般市民、婦女をも殺そうという人たちである。

まあ宗教的な原理主義者にありがちなように、そのattendingはたとえば離婚しているのだ(これまたカトリックの教えに大幅に反する)。アメリカには、人間の性悪な面と、善悪の相対性をまったく理解しない馬鹿が、実に多すぎるのだ。本当はそういうのは、中学高校あたりで、卒業すべきであろう。

救急にて

ちなみに今日は午後、PGY-2のレジデントたちが講義でいなくなったこともあって、恐ろしく忙しかった。で、救急に患者を入院させにいったのだが、そこでも4年前の同級生を一人目撃。立派にレジデント然としてふるまっている。この先、こういうこともたくさんあるのだろう。



その救急の患者さんは、いわゆる「frequent flyer」。飛行機会社のマイルではないが、要するに、精神科病棟の常連さん。コカインとアルコールでハッピーになって入ってきた。まあ、ヒトのよいハッピーなオッチャンなのだが、電子カルテに載っている分だけでも10回ちかく入院している。なんだかhopelessな気がして、レジデントに入院の治療目標をたずねたら、「安楽死」ですって。もちろん、冗談。でもこのレジデントは人一倍思いやりがあって、患者のあしらい方もうまくて、しかも患者の人気も高いのだが、それだからこそ、そういう冗談でも言っていないとやっていられない。その気分が、少しだけれどわかる気がする。何度ケアしても同じ状態で戻ってくる。これでは、どうしても、むなしいよね。

まだハッピーなだけ、よい。これが鬱とか、もっとひどいのはcluster Bっぽい人格障害たっだりすると、もうやってられない。

でそのハッピーなオッチャンは薬の密売場所(クラック・ハウス)の見張りをすることで、コカインを手に入れるのだという。そんな怖い職業では、麻薬のひとつもやっていないと気が狂ってってしまう。(あれ、なんだか話が親子丼に?でも疲れていて考える気力がわかないから、とりあえずそういうことにしておく)

Borderline

入院患者の数も徐々に増えてきて、いろいろ仕事が増えてきた。

退院の際に社会福祉団体やグループホームなどの世話をしなければならない患者が多い(つまり社会的に機能できない患者で家族のサポートがない場合)。で、そういう仕事は金にならないから病院経営側はきちんとしたケースマネージャーを病棟につけない。結局は医学生が奔走することになる。



あと昨日は何人かいるborderlineの患者の一人がroundsの際に特にひどく、attendingに噛み付いた(not literally)ので、もちろんattendingはクールにうまくあしらったのだが、慣れないこちらは気分が悪くてしょうがない。あるいは、何食わぬ顔で偽病の患者など。信じちゃったよ。はじめはattendingやresidentが偽病だと決め付ける理由が、わからなかった。

でちょっとあまりに気分が重いので、大学院の友人を誘ってのみにいっちゃった。今日はおかげでちょっと眠いけれども気分は晴れた。

2008年9月3日水曜日

病院禁煙

来る11月20日より、大学病院全体が禁煙となるらしい。駐車場含め、構内すべて。指定喫煙所も、すべて取り壊し。

これは患者を退けることになるのではないか、と心配もある。たとえば、分裂病患者のように、自己投薬のような意味での喫煙率が非常に高い疾患群もいくつかあるのだが、そんなこんなで精神科では特に心配していた。

あと、医者とか看護士とかでも、意外と多いんですよね。

2008年9月2日火曜日

同級生レジデント

今日からレジデントのシフト交替である。今度うちのチームのレジデントは、実をいうとメディカルスクールの1,2年の時の同級生(2006年卒)。内科研修を1年やってから精神科に転向したので、卒業3年目でも、精神科ではPGY-2。しばらく当時の同級生の話などをして、不思議な気分であった。

アメリカでは、家族の地理的な事情などがない限りは、大学を卒業して研修はよその大学に移るのが普通で、理想とされる。でもまあ当時の同級生の何人かは居残っているので、これからもレジデントとして師事することになるだろう。

MD/PhDというのは、こういう面でもちょっと不思議だ。

2008年9月1日月曜日

今後の予定

Humboldt財団の研究員に任命されたので、また来年夏には、ドイツに数ヶ月戻れそうである。金曜に学生部長(?)みたいな教授と話したら、実に前向き。ただ、2010年度のマッチは、参加できないことになりそうだ。これから、学生委員会にまたカリキュラム変更のrequestを書かなければならない。

で研究がうまくいっていたら、そのまま2010年夏~秋に卒業後、そのままポスドク。研究がうまくいっていなかったら(仮にその時点での筆頭著者引用点数が、30を超えない見込みだったら、と定義しよう)、2011年のマッチに参加することになる。

もしも2011年のマッチに参加する場合は、2010年度は一年間、ぼちぼち研究とレジデンシーの面接を進めながら、サマーコースやAway Rotation三昧でいろいろな科、いろいろな大学を体験できることになりそうだ。日本でもどこか、1ヶ月くらい置いてもらえないだろうか。あるいは、ドイツも面白いかもしれない。

本当は研究が一番したいのだが、↑も結構、面白いかもしれない。

2008年8月31日日曜日

Labor Day Weekend

明日は「Labor Day = 勤労感謝の日」で3連休なのだが、今日は休日出勤で「勤労の日」になってしまった。といっても、僕自身プライベートでこれといって特に何もないので、なるべくほかの同級生が休みを取れるようにと、立候補したのではあるが。

で、朝は少ない入院患者をround。入院病棟の2チームと病院内コンサルトをすべてカバーしたので、いろいろな患者について、ゆっくり面接することができた。

2008年8月30日土曜日

My name is Kenta...

...and I'm a caffeine addict.

本当はDSM-IVでは、caffeineに関してはdependenceは定義されないのだが、まあ、そこら辺は話をおもしろくするために、大目にみよう。一端dependenceの診断を受けたら、一生、その物質に関しては依存状態にあると定義される。

だから仮にcaffeineに関してdependenceが存在したとしたら、僕は、「dependence with sustained partial remission」ということになるだろう。大学の頃は、まさしくこの通りだった...



A maladaptive pattern of substance use, leading to clinically significant impairment or distress, as manifested by three (or more) of the following, occurring at any time in the same 12-month period:
  1. tolerance, as defined by either of the following:
    (a) a need for markedly increased amounts of the substance to achieve intoxication or desired effect (該当)
    (b) markedly diminished effect with continued use of the same amount of the substance (該当)
  2. withdrawal, as manifested by either of the following:
    (a) the characteristic withdrawal syndrome for the substance (refer to Criteria A and B of the criteria sets for Withdrawal from the specific substances) (該当)
    (b) the same (or a closely related) substance is taken to relieve or avoid withdrawal symptoms (該当)
  3. the substance is often taken in larger amounts or over a longer period than was intended (該当)
  4. there is a persistent desire or unsuccessful efforts to cut down or control substance use (該当)
  5. a great deal of time is spent in activities necessary to obtain the substance (e.g., visiting multiple doctors or driving long distances), use the substance (e.g., chain-smoking), or recover from its effects (該当)
  6. important social, occupational, or recreational activities are given up or reduced because of substance use (該当せず...自覚がないだけだったか?)
  7. the substance use is continued despite knowledge of having a persistent or recurrent physical or psychological problem that is likely to have been caused or exacerbated by the substance (e.g., current cocaine use despite recognition of cocaine-induced depression, or continued drinking despite recognition that an ulcer was made worse by alcohol consumption) (該当)

Sex Addiction

X-FilesのDavid Duchovnyが、「sex addiction」でリハビリ入院したそうだ。DSM-IVには、こんな診断はないのだが、レジデントによると「sex addction」は、性障害NOSではなく、衝動制御障害NOSと分類されるのではないか、という。性に関連した障害があるわけではない。今日はまた入院患者がほとんどいなかったので、そこら辺の雑談から入って、衝動の制御に関連した疾患と診断基準のミニ講義となった。指導医がきてのroundsでも、そこらへんのdiscussion(雑談?)が続いた。

一つ学んだことは、DSMの診断は、必ずしも実体のあるものではなく、それこそ、仮「診断」(とそれに基づく治療・病態研究)と「統計」の「手引」なのだ。もちろん、いろいろな症例で繰り返し同じような現象がみられることも、驚くべきほど多く、その意味では仮診断でも相当的を射たものがあることは、間違いない。でも、病理機序についてはっきりとした結論が全くない以上、それは仮の分類に過ぎないことも、確かなようだ。

2008年8月29日金曜日

ブログランキング

久しぶりにブログランキングを覗いたら、最近になって急浮上している。どなたか、リンクでもいただいたのでしょうか。いずれにせよ、ご投票ありがとうございます。もしも面白い記事があったら、今後もどうぞ、右欄のリンク(→)からご投票ください、よろしくお願いいたします。

はじめに」でも書いたとおり、主目的はエッセー執筆のためのメモなのですが、お読みいただいている以上はなるべく意味が通じるようにいたしたいと思います。略語などなど、引っかかる部分があれば質問などもどうぞ。あと、書く者としてはコメントもとてもうれしい限りです。

2008年8月28日木曜日

Axis V

DSM-IV分類のAxis Vは、Global Acessment of Function (GAF)、つまり、精神の総合評価、100点満点。

レジデントによると「GAFは無意味だからテキトーに書いてもらっていいんだけれど、患者が保険をはじかれないように、必ず30点以下にしておいてね」だって。あと、もちろん細かく点数の分布が決められているので、試験では多分何かしら聞かれるのだろう。精神科修了のためには全国共通のshelf examに合格しなければならないのだけれども、この試験、相当難しいらしい。

そういえば、薬についても「ziprasidone(GEODON)は、もし試験で聞かれたら<QT間隔延長を引き起こしやすい>というのが正解だけれども、それは過去の研究から生じた評判で、最新の治験によるとそうでもなさそうなんだよね」とか、そういうたぐいのpearlもどきも、日常茶飯事のようだ。

医学は、保険屋と試験のために存在しているのかもしれない。

Lithium subpopulation physiology

State-dependent memory

2008年8月27日水曜日

Medical SchoolのSOAP

チームのレジデントによると、Medical School 4年間の臨床教育は、だいたいSOAPに沿っているという。

1年目... Subjective (病歴聴取)
2年目... Objective (physical diagnosis、診察)
3年目... Assesment
4年目... Plan

だから今年は、きちんと患者の病状を把握・記述・プレゼントして、鑑別診断を挙げられることが一番重要ですよ、と。それができないと、治療計画など立たないから、当面はPはあまり心配しなくてよいのだそうだ。

The First Lesson

入院していた患者の退院もほとんどすませて、あとは長期入院の二人。昨日の晩も今日も新患は、内科から転送された一人のみで、もう一つのチームが拾った。だから、2時になったらレジデントが、「今日はもういいよ」といってくれた。

さすがに2時は早い気がしたので、「じゃああと少し残って今日は早めに帰ります」といったら、「third yearで学ばなきゃならない1番目のことはね、レジデントに帰っていいといわれたら、帰ることだよ!」

なるほど、ふむふむ、「Auf Wiedersehen~!」

2008年8月26日火曜日

F/U

カルテにはいろいろな略語があるが、なれていないと時々、変に読んでしまう。たとえば「F/U」。Follow upということなのだが、どうしてもFu*k youに見えてしまう。

で、昨日HI/SI(他殺企図あり、自殺企図あり)といっていた患者さんは、精神科入院病棟に飽きてグループホームに帰りたくなったらしく、今日はHI/SI/PDW全くなしとのこと。以前はデイプログラムの作業療法に通っていたのだが、グループホームの係の話によると、健康保険の削減で、デイプログラムにいかれなくなったという。それでデイプログラムをやめて以来、月に2,3回は地域の救急に現れて、HIとかSIとかいって入院するらしい。要するにattention seekingの偽病なわけだが、こちらとしては致し方ないから、レジデントに習いながら午後、無事退院させた。

ERとか精神科病棟への入院は、社会全体のレベルではとても費用が高くつくわけで、それでもデイプログラムを中止させられてしまうあたりに、アメリカの民間保険の破綻の一端が見られる。いわれてみれば当たり前だが、「貧乏な病人は死んでしまえ」というのが、収益機関としての民間保険の本質なのだ。当然だが、人の幸せなんて、どうでもよい。

ようするに、F/U。

2008年8月25日月曜日

Takedowns

そうそう、今朝大学病院内の病棟割り当て(入院病棟、精神科コンサルト、外来デイプログラム)のとき、どれでもいいので希望を言わずにいたら、チーフレジデントに「Oh, we definitely need a guy on inpatient for the takedowns」とかいわれて、入院病棟に割り当てられた。

Takedownというのは、患者が暴れだして経口の鎮静剤を拒否した場合、押さえ込んでhaloperidolかなにかを筋注するやつ。で、男手が必要だとのこと。確かに病棟に行ってみると看護婦さんもレジデントたちもみんな女性、一緒に配属された学生もみんな女の子。そんなこんなで早朝からビビっていたのだった。多分、冗談だったのだと思うのだけれど...

精神科初日

今朝はどこに行ったらいいのかわからなくて、だいぶばたばたしてしまった。でも幸運この上ない。よくわからないし、精神科の教育係にも連絡がつかないので、まあいいやと大学病院の病棟に出頭したら、すばらしいチームに割り当てられた。精神科入院病棟で、チームのresidentもattendingも教育熱心。しかもよくありがちなお節介でいろいろな課題を押しつけるような教育熱心ではなく、もっとlaid backな感じ。これはのびのびと勉強できる1ヶ月になりそうだ。

で、あとから聞いたら、本当は僕は、退役軍人病院(VA)に割り当てられていたらしい。朝から車の運転も面倒くさいし、第一、腕力が強くてしかも重篤な精神疾患を抱えている退役軍人が相手では、空恐ろしくていろいろ勉強しているどころではなかったかもしれない。こっちの精神の方がどうかしてしまいかねない。

Georgetownは精神科入院病棟といっても、voluntaryだけなので、まだまだ穏やかであるし、しかも肉体的に脅威となるような患者は、とりあえず今のところいないので、まあ心配ではない。でも最初の受け持ち患者さんからいきなりカルテにHI(homocidal ideation、他殺願望)とあって、ちょっと最初から小便をちびってしまいそうだったが、実際に会ってみるとそれほどでもないし、安全対策も万全だ。

2008年8月24日日曜日

おいおいおい

明日から開始の精神科実習、4週間。

以前渡されていた資料では、明日8:30に科の会議室に集合、とあったのだが、先ほど突然、明日は9:00に割り当てられた病棟に直接出頭せよとのメール。前日の夜ですよ。

しかも、しかも、僕は病棟が割り当てられていないようだ。もう嫌になっちゃう。

まあ、いろいろカリキュラムの融通を利かせてもらって変則的なスケジュールなので、少々手違いがあっても文句はいえないのかもしれない。

明日の朝は早朝から、事務はじめいろいろと駆け回ることになるだろう。ああしんど。

末期症状

洗濯が間に合っていなくて寝間着がなかったので、そこら辺に転がっているscrubs(手術着?)で寝てしまった。もちろん衛生的には問題ないのだが、ちょっとはやくも末世的。まだそんなには忙しくないでしょ。

しかしてアメリカでは一般的にこのscrubsを着て外を歩き回ることが行われるが、何となく衛生的ではない。外科系や看護師に多い。白衣にしたってそうだ。食堂に白衣を着ていったら、白衣の意味がないと思うのだが、そういうことはあまり深く考えてはいけないのだろう。

2008年8月23日土曜日

海外医学生のAway Rotation

アメリカのmedical schoolの最終学年(4年)は通常、内科のassistant internship(subinternship、研修医の予行演習のようなもの)1ヶ月などといったごく少数の必修研修を除いては、選択実習となる。この間、全米各国のmedical schoolに出て行って、1ヶ月単位のaway rotationをすることが盛んだ。多くの場合、これは研修でマッチしたい病院に出向いてのオーディションも兼ねていたりする。

アメリカ国内でのこうしたaway rotationはシステムがそろっていて、比較的簡単にできるし、全米メディカルスクール協会(AAMC)の内規で、費用も$100(1万円)程度である。ところが、海外からとなると、とたんに難しい。公式には海外学生を受け入れない学校も多く、受け入れる学校でも$2000以上の月謝をとったりする。



ドイツの友人に頼まれて、ちょっとそこら辺の事情を調べた。かれは、$2000(しかももちろんその上に、旅費と滞在費が重なる)はちょっと無理なようで、何とかならないか、と。

調べたところによると、この$2000は大部分がmalpractice insurance(医療過誤保険)代に充てられるようだ。臨床に関わる医学生だって医療過誤訴訟の被告となりうる。別段責任の重さにかかわらず、もしも金持ちだったりして医療過誤弁護士に目をつけられたら、いくらでも、医療過誤の訴訟の被告となりうるのだ。米国内留学の場合は、AAMCの申し合わせで、基本的には、在学のメディカルスクールが過誤保険を準備することになっているため、費用も安い。

でドイツの友人に話を戻すと、彼は英語もほぼ完璧だし、ドイツの学校の過誤保険と追加保険で海外もカバーされているというので、場合によっては何かうまくアレンジできるかもしれない。ドイツでも世話になった悪友なので、もしも探ってみたいというのなら、うちの大学だったら僕でも学長陣や事務方に掛け合ったりはできる。もしきたら、アメリカのまずいビールを飲みながらまたあることないこと語り明かすことになるだろう。

で、アメリカのシステムでうまく融通を利かせるこつを伝授した。まずはコネが重要。必ずしも強力なコネでなくても、地元の教授にお願いして、行きたい先の知り合いに一言入れてもらうだけでも違うと考えられる。この根回しによって、医学部の事務は無碍には握りつぶせなくなる。その上で、その○○先生とコンタクトをとっていることと、さらに過誤保険が不要であることを明示した上で、願書と履歴書を送付すべきであろう。

公式には海外学生を受け入れない、という学校でも、○○先生とコンタクトをとっていることと、過誤保険が不要であることを明示して、英語力の証明となる材料とともに履歴書を送付して問い合わせたら、閉じた扉が開く可能性もないわけではない。ドイツや日本では絶対にそういう融通は利かないが、アメリカというのは、そういう社会なのである。



日本の医学生の場合は、英語力と過誤保険の両方が問題となるため、またおそらく5,6年生のスケジュールが欧米各国のように融通の利く臨床ブロックではなく時期的にも難しく、だから学校で組織してもらった海外実習以外というのは、相当難易度の高い離れ業かもしれない。

参考リンク
AAMCの学外実習データベース

2008年8月22日金曜日

病院インターネット

レジデントと話していて、Dubinという、みんなが一度は読む心電図の教科書の話になった。このDubin氏、小児虐待だか猥褻だかで免許剥奪になった医者だというのは有名な噂だが、この噂の審議やいかに、という話題になった。

じゃあ、インターネットで調べようということになったのだが、レジデントは「molestation」とかそういうキーワードはまずいだろう、と「dubin child」を調べた。企業とかはよく、社員のインターネット利用を監視しているというが、病院のインターネットで変なのを調べてもやはりまずいのだろう。研究者とかは、そういう保身の態度はふつう全くないので、ちょっとカルチャーショック。病院という所は、研究室のような遊園地ではなく、本当の職場なんだな。

Black Pearls

臨床上のちょっとした知識の断片をPearl(真珠)と称する。医学はこうしたPearlを、基礎知識の上に並べていく修行なのだと思う。

で、ガセねたの知識をBlack Pearlと称するらしい。「I don't want to give you black pearls, but if I remember correctly, the main indications for CABG over stenting are ...」てな感じ。(放射線科だと、たとえ内科のインターンをしても、こういうことは忘れてしまうのかもしれない。まして、研究医をや。)

2008年8月21日木曜日

Unclear Medicine

今日は核医学(Nuclear Medicine)をまわった。放射性同位体によってラベルされた多種の化合物を投与して、その動態を追うことによってさまざまな臓器の機能や病態を調べる。でも、autoradiographicな方法はPETにしても普通の撮影とかにしても、もやもやな像しか得られないから、unclear medicineだってさ。



放射線科はあまりヒエアルヒーがしっかりしていないようだが、聞くところによると、ほかの科から転入するレジデントが多いらしい。途中で外科の激務がいやになったり、内科の研修を終えてからさらに専門として心血管の介入などを行う場合など、様々な人がいる。だから、X年目レジデントといっても、メディカルスクールを出てだいぶ経つ人もいたりして、その上でもさらにそれぞれが、専門を持っている。あるレジデントによると、「私たちはそれぞれ、勝手に自分の道を歩いているのよね。最低限みんなができなきゃいけないことははっきり決まっているけれども。」

だからかもしれないが、レジデント同士や指導医ですらファーストネームで呼び合っている。で廊下を歩くときも、別に外科のように教授から順に並んで歩くわけではないみたい。時々誰かのワークステーションの前にわっと集まって、症例についてdiscussionしたり、突然パワーポイントを出してきて発表しあったり。

2008年8月20日水曜日

乳癌外来

今日は放射線科のMammography外来を見学。来週からは精神科で、見学ではなく実際に患者を受け持たなければならないという。せいぜいゆっくりしようと、今日もまたプールで30分ほど泳ぐ。

で、乳癌外来だが、先生はmammographを読みながら、時々診察室に出て行っては超音波。その超音波が実に上手で、世間話をしながら何気なく検査している。はじめはちょっと心配そうな患者も、これだったら安心できる感じ。でも、一緒に検査をしていたレジデントはどうしても、画面に集中してしまう。後で、「確かにはじめは集中しないと読めないけれどね、そういうときは患者さんに、『ちょっと集中して読みますけれども、心配しないでくださいね』ってちゃんといった方がいいよ。そうしないとしかめっつらをみて、心配しちゃうでしょ。」だって。うん、これはまさに接客業だ。

外科とか、普通の放射線科とか、病理とか、そういう変なところにでもいかない限り、患者とうまく世間話ができるのは重要でしょう。で男性相手だったらどうしても、野球とかアメフトの話ができた方がよい。といっても、どちらも興味はないし、そんなためにスポーツ面を読んだりするほど熱心でもない。恐ろしい高給取りの選手たちが球を投げるののどこがおもしろいのだか。

2008年8月19日火曜日

Interventional Radiology

今日はinterventional radiologyをまわった。X線透視化での、子宮動脈塞栓などに立ち会った。ちょうど選択で1ヶ月やっている4年生に面倒をみてもらったのだが、来年あたりに自分がこれほど状況を把握できているかどうかは、実に不明。その4年生は、4年目のレジデントの指図を受けながらやっていて。その後ろで部長教授が、時々、アドバイスやご託宣を述べる程度。

廊下で教授先生がある指導医と立ち話していて、「うん、J(4年目レジデント)はだいぶ仕上がってきたね、ほとんど任せておいて大丈夫。これからは、slave laborとしてこき使うphaseだね。」だって。

もちろん冗談なのだが、100%の冗談じゃない。

しかし、プシュっと造影剤を注入して、ぱっと動脈が染まるようなのをみて、若干だが感動してしまった。目の前の生きた患者さんの、生きた解剖学である。本で読むのとは、だいぶ違う。

2008年8月18日月曜日

MRI物理

今朝は研修医向けのMRI物理学の講義につきあわされた。講義をしたその指導医、おおよその仕組みはわかっているようでいて、よく聞いていると相当いい加減な部分がある。かくいう僕とて、別にMRを使って博士研究をしたわけではないし、物理とかは必ずしも得意ではないのだが、脳科学においては現在MRによる脳血液酸素測定が過剰に幅をきかせているため、博士課程でちょっとは勉強せざるを得なかった。

まあもちろん、比喩的で大雑把な理解でも、臨床現場においてはさして困ることはないのだろうけれども、こういうことがあると、ちょっと怖くなる。僕の理解のとうてい及ばない分野においても、きっと出鱈目な科学もどきがまかり通っている部分は、多いのではないだろうか。

だから結局、医学の本質は、科学とは縁遠いのではないのではないかと思う。もちろん、科学的な「説明」がついていた方が、いろいろな細かい臨床の手順を暗記しやすいことは間違いないが、結局は手順を暗記することが目的で、科学的な本質は、それ自身においては意味をなさないのではないか。高度かつファジーなheuristicこそが医学の本質で、病人が目の前にいたときに何をすればいいかという方針さえ立てば、あとは、実をいうとどうでもよいのではないか。

日常生活では、地球を平たいと考えた方が都合がよい。医学でも、「実際に何か手を打たなければならない」という要請に従って、科学を単純化・歪曲・誇大解釈する気質があるように思われてならない。でもそのつもりで地球の際を見つけようとしたりすると、時々、馬鹿を見ることもやむを得ないのか。

ニンニク(II)

以前も書いたが、ニンニクが好きで好きでしょうがない。

週末、買い物ついでに、Washington DCのタイ人たちが一番おいしいというThai Squareで、ニンニク風味の豚肉炒めを食べた。この店、安いけれども、いつもおいしい本格派である。米帝国の首都は世界中の人が一時的に暮らす妙な都市だから、こうした手頃で小さな本格派各国料理が多い。各国出身者を捕まえて尋ねると、大抵、おいしいのにありつける。

それはそうと、盛りつけがあまりに多くて一人では食べきれないものだから、doggie bag 1 を頼んで、半分持ち帰った。そこまではよいのだが、それをそのまま今日の弁当にしたのは、ちょっとまずかったかもしれない。容器のふたが緩かったこともあって、朝のカンファレンス中、鞄の中からニンニク臭が部屋中に立ちこめてしまった。昼はちょっと時間があったので、晴天の中庭で人目(人鼻?)を気にせず食べたが、その後、ガムで口直しをするのも一苦労であった。




1.ドギーバッグ... 米国の中級以下のレストランで食べた場合、食べきれなかった料理を使い捨て容器に詰めてもらって持ち帰る。これをdoggie bagというのだが、実際は犬にやるのではなくて、ふつうは、人が食べる。

2008年8月17日日曜日

強迫性人格障害

再来週からは精神科。ちょっと予習(復習?)と思ったら、早速Medical Student Syndromeに罹患してしまったようだ(医学生心気症症候群、自分がいろいろなビョーキだと思いこむやつ)。



DSM IV Criteria
Obsessive Compulsive Personality Disorder


A pervasive pattern of preoccupation with orderliness, perfectionism, and mental and interpersonal control, at the expense of flexibility, openness, and efficiency, beginning by early adulthood and present in a variety of contexts, as indicated by four (or more) of the following:
  1. is preoccupied with details, rules, lists, order, organization, or schedules to the extent that the major point of the activity is lost. 該当
  2. shows perfectionism that interferes with task completion (e.g., is unable to complete a project because his or her own overly strict standards are not met) 該当
  3. is excessively devoted to work and productivity to the exclusion of leisure activities and friendships (not accounted for by obvious economic necessity)該当
  4. is overconscientious, scrupulous, and inflexible about matters of morality, ethics, or values (not accounted for by cultural or religious identification) 該当せず
  5. is unable to discard worn-out or worthless objects even when they have no sentimental value該当
  6. is reluctant to delegate tasks or to work with others unless they submit to exactly his or her way of doing things該当
  7. adopts a miserly spending style toward both self and others; money is viewed as something to be hoarded for future catastrophes 該当せず
  8. shows rigidity and stubbornness該当

2008年8月16日土曜日

風邪

風邪を引きそうな感じ。読影室にほとんどこもっているので、別に病院だから、というものでもなさそうだ。楽な科のはずなのに、やっぱりストレスがたまっているのだろうか。葛根湯でも呑んであしたは一日ゆっくりした方が良さそうだ。

2008年8月15日金曜日

1万カロリー

今日は指導医もフェローも女性だった。で一緒に回っているのは女子学生ときたものだから、なんだか一人、取り残された感じ。

なんでもマイケル・フェルプスは相当へんな食生活らしく、一日1万キャロリー近く、食べているらしい。「あら~、私も1日1万カロリーであんな体格がほしいわ!」「そうね、スタート前のプール際に並ぶ一瞬だけでも、オリンピックは見た甲斐があるわ。」でさすがに放射線科だけあって、マイケル・フェルプスのsurface anatomyに話は移ったのだが、もうこっちは居心地が悪いったらありやしない。

女性って、陰ではいつもこんな話をしているのだろうか?あと立場が逆転したら、立派なセクハラでしょう。まあ公平を期するに、彼女らはビーチ・バレーのビキニの話もしてはいたのだが。僕は、トーテムポールの最下位である医学生として、無視されているのか、それとも、男性として、無視されているのか。いずれにしても、何だが「嫐」とか「姦」とか、変な漢字を思い出してしまう。

2008年8月14日木曜日

あんたちょっと、Azyxxiにログインしてくれない....

...家から使っていたら、なんだかブラックリストかなんかに載せられたみたいで、私のアカウント入れなくなっちゃったの。なんとかしなくちゃね。

とかいわれて、指導医のかわりに患者情報システムにログインすると、病院中の患者の検査結果やら手術の記録やらが、画面からあふれる。もちろん読影している患者さんも入っている。そんな医学生にね、全部筒抜けでOKなのかしらん。こんな時に、なんだか医療を供給する側にたったことを実感する。



「ほら云わんこっちゃない、Hep C陽性でしょ、この肝硬変はそれと、酵素とかもみてごらん、きっとアル中だから」

診察で皮膚の外側から体を探るのはまあ、一つだが、これは中まで筒抜けだ。

2008年8月12日火曜日

読影

ただの胸部Xせんからだけでも、恐ろしい情報量が読み取れるものだ。あるのかないのかわからないような線とかでも、「で、NGチューブがここからこうきてちゃんと胃にいっているでしょ」とか、「このtrachはちょっと位置が高すぎるかもね」とか、「あほら、これはbreast implantね」とか、「これは皮膚のしわ」とか立て続けにいわれて、どうしてそういう風に読んだか教えてはくれるし、確かにそういわれるとそんな気もするけれども、ファジーさが怖くて、何かにすがりたくなる。こんなのコンピュータには無理無理。

2008年8月11日月曜日

放射線科1日目

放射線科の選択実習2週間は、殆ど休日のようだといわれていたが、そのとおりのようである。8:30に病院に出て半日musculoskeletalの読影を見学して、それから指導医のレジデント向けの講義、レジデントの学生用講義、指導医による学生用講義と3時間で解散。学校のプールが夏の改装で今週閉じているのが、残念。少し川沿いでも走ってやろうか、そして来週は思いっきり泳いでやろう。



● それにしても、解剖なんて多かったり足りなかったり、結構いい加減なところもあるのだということが、知ってはいたが実感する。あとこの写真はちょっと撮り損ね、とか、この角度からはちょっといいけれないからまた撮り直し、とか、まあ判別はつかないけれどもどっちにしても良性だからまあ適当にごまかしておこう、とか、いろいろと複雑なものだ。これだから、完全な自動化はできない。自動翻訳と一緒で、結局、人間の眼・人間のpsycheを通してではないと、人間世界で有用な情報の摘出はできないのかもしれない。

● 恐ろしく高解像度の写真が、各医師の前に6台ずつ並ぶ大画面液晶に映し出されていて、圧巻。カルテはすべて電子形式、紹介状などの紙文章はすべてスキャンされている。

● カルテの書き込みはコンピュータシステムにdictationしていたし、見学していたレジデントは「手のCTは症例が少なくてちょっと苦手なんだ」とかいいながら、コンピュータシステムに組み込まれている解剖図版などを参考にしながら読んでいた。まあ、そういう人間の判断を支援する半自動化は、どんどん進むのだろう。



これは心して、次の精神科4週間と、それよりもその後に控える内科3ヶ月に向けて予習すべきであろう。つい、怠けてしまいそう。

白衣

今日から病院。おかしいくらいに、別段緊張はない。まあ、お金をいただいているんだから、一生懸命働いてあたりまえだし、最悪、退学になったって、研究員に戻ればいいだけの話でもある。そう思えば、別に馬鹿をさらすことも、無知でしかられることも、ちっとも怖くない。しかも、Dean達との相談で、楽な放射線科から始まるようにスケジュールを組んでもらった。

それにしても解剖、一つも覚えていないぞ... 2002年、何年前の話だ?MD/PhD課程は、そこらへんが、相当しんどい。

2008年8月9日土曜日

伊達めがね

体液などがが飛散して目に入るのが怖くて、今日は新車のフィットを繰り出してモールの眼鏡屋さん。0度のレンズ(レンズとはいわないか?)の入った伊達めがねを購入。

一時サルの実験をしていたときは、安全規定でそれこそ宇宙服のような装備だった。もちろん、実験眼鏡も必須。アトランタの猿研究所で以前、サルの小便が目にはねて、異種感染の脳炎で技官が死んだのだそうだ。

しかも病院では、病気とわかっているヒトを相手にするのだから、それ以上の装備でもよいようなものだが、さすがに、実験用の眼鏡では、仰々しい。

それにしても、ちょっと以前よりも賢そうに見える。あと、20代前半くらいの感じに若返りか?

2008年8月7日木曜日

病院実習は結構離れた病院にも行かねばならない可能性があって、アメリカだから当然公共交通では、無理。ヨーロッパで稼いだユーロと、その前に医学英語の翻訳で稼いだ貯金をはたいて、新車のFitを購入。値段なんてあってないようなもので、面倒くさい話だ。週末はドライブにでも行こうかな、一人で静かに。

HIPAA研修

患者情報保護法の研修。廊下で、大声で、患者について話し合ってはいけない。
なるほど。フムフム。守りますよ。署名。

2008年8月6日水曜日

ポケベル

ポケベル、PDAを受け取る。中学校くらいの頃だったか、日本でポケベルがはやったのは。僕を呼び出したってしょうがないのにさ、一応ベルトに引っかけると、それっぽい。SMSなんてものが、世にはあるのだが、まあよしとする...

PDAはなぜか学校指定はPalm。いろいろなあんちょこソフトも供給された。今時Palmを使っている人なんてそうはいないでしょ。しかも日本語が不可。メールはもちろん、そのほかについてもそれではちょっと使えない。今まで使っている東芝Genio e830とどう組み合わせるか、考えどころだ。

2008年8月5日火曜日

帰国

ワシントンDCに帰国。1年間のドイツ研究員生活も無事いったん終了。ただ、幸いにドイツ政府のHumboldt財団の研究員に内定したので、またとおからずドイツに戻ることになる。

で、病院実習は多分忙しいことも多いので、なるべく細かく日記にて所感を書き留めることを目標とします。



「世界の首都」は道が悪い。Autobahnと比べては悪いのかもしれないが、それにしても穴だらけ。穴だらけのインフラは道だけではない、スーパーなどの物価も1年で1.5倍近くに急騰。

これは斜陽か。

2008年2月22日金曜日

交渉

今夏からまた、メディカルスクール再開である。しばし休暇を取って、ワシントンにてそれらのアレンジなどをする。

カリキュラム担当の副学長との面談。

折衝の結果、どうやら、3年次の開始を、通常の7月1日から、8月後半にまで延期できそうだ。3年次は忙しいが、4年次に入ったら、「選択実習」の名目で半年近くまたドイツに戻れそうでもある。

3年次のうちに決めなければならないのは、臨床研修を行うかどうか。今の時点ではどう考えてもそのままポスドクに戻りたいのだが、副学長によると、PGY-1だけやって免許だけちゃんと取る、というのも考えたらよいとのこと。3年次の終わり当たりには、臨床研修の出願が始まるので、それまでに決断を迫られるというわけ。まあ、病院実習がよっぽどいやならば、迷うことはないのだが、そこら辺がneutralであったとして、難しい計算になる。一方では、実験屋として働き盛りの時期だし、でも、他方では、医師免許を持っていることはとても力になるし研究費も取りやすくなるであろう。