2008年12月29日月曜日

IBS

relieved by defecation

2008年12月26日金曜日

鉛の部屋

大学病院のガン病棟。仰々しいエアロックに守られている(抗ガン剤によって白血球が少なくなっていると、くだらない黴菌にもかかりやすくなるのだ)。現実にはスタッフの出入りが激しいので、エアロックもあまり有効ではない気がするのだが、まあ、仰々しさには変わりない。で、そのガン病棟の一角にはさらに仰々しい、重い扉の病室がある。放射性同位体を服用して放射線治療を受けている患者を、隔離するためである。

毒をもって毒を制する。そこに、西医の原点が、あるのだ。

2008年12月20日土曜日

Double barium swallow

クリニックの放射線の先生が、戸棚からごそごそと、古いフィルムをとりだしてきた。
「このabdominal film、読んでみてごらん。」
そういって、渡された、フィルム。

今時、本当のフィルムなんて、田舎の病院から転送されてきた患者とか、古い先生の講義の時くらいしか、お目にはかかれないから、まず、方向を間違えて馬鹿をさらしたりしないように注意しながら、メディカルドラマかなんかでみるように、勢いよく、viewboxに差し込む。PACSで自動化されていると、よほど技師がドジでも、フィルムの方向が違うことは、ない。

でまあ、食道のあたりから順に下に追っていくと、おやおや、回腸に何か細いホースのような筋が。「Oh, he has a parasite!」と興奮気味にいったら、どうやら、学生でこれが分かったのは初らしい。高校の頃だか、巷ではやっていた寄生虫の本を読んで、おもしろいので目黒の寄生虫博物館に見物に行ったのを、思い出す。

で、回虫かなにかだと思われるその寄生虫の消化管にも、バリウム造影剤が通っているのが、よく見るとわかるのである。この患者は、メキシコ移民で、その昔、ある年の1月の、最初の患者さんだったという。「まあこういうのは、アメリカでは、once in a lifetimeというやつかもしれないね」と、インド出身のその放射線科のおじいさんは、いう。「二体分の読影で、倍額を請求しようかとも思ったのだが」、と冗談。

くさい試験

学生みんなして参考書を片手に歩いていたら、アイルランドからのレジデント曰く、「あんたらの国は、smellyな試験の国だからねえ」。USMLEのことらしい。

2008年12月19日金曜日

続けられる趣味を

ある指導医が、講義を始める前の雑談でいっていた。医師のように忙しい仕事だと、続けられる趣味を持つことが重要だ、と。その先生は写真だという。別段1月や2月サボったところで、まあ、大勢に影響はない。本人はいわなかったが、少しお金をかければ何とかなるような趣味、というのもポイントかもしれない。

なるほどな、と、押し入れでほこりをかぶっているヴァイオリンを思う。

2008年12月15日月曜日

The 7th Food Group

栄養学の、6つの食品群:穀物、果物、野菜、乳製品、肉魚、ナッツ豆類。
メディカルスクールでは、これにピザが加わる。

新入生との顔合わせ、といえば、ピザ。何科かの同好会(interest group)、といえば、ピザ。学級会(class meeting)、といえば、ピザ。全国団体の支部創設、といえば、ピザ。何でも「lunch provided」(ピザのこと)で、参加者を増やそうとする。

病院の昼のセミナーだって、運が悪いと、ピザ。製薬会社のスポンサーがついていて、その売っている薬が高収益だと、ピザではなくもっとまともなケイタリングが出たりもするわけだが、製薬業界の処方に対する影響を削減しよう、と、「タダ飯、NO運動」なるものがあり、来年からはペンも、ペンライトも、メモ帳も、昼ご飯も、消えるらしい(http://www.nofreelunch.org/)。すると、必然的に、ピザ。いやだから病院の食堂で食べよう、と思っても、手頃な値段のものは、ピザ。

それにしても、健康な食事を、と患者に推進すべき立場のお医者さんたちがこんなで、よいのであろうか。

2008年12月14日日曜日

Don't stand in front of a trach...

「まあね、経験なんてのはそんなものさ」と、一目で比較的複雑な患者も比較的正確にあててしまう、中年アテンディング。レジデントの頃からこの病院にいるから、この病院の患者層と疾患群を、熟知している。

今日の真珠は、「絶対に、気管切開の前には、立ちどまらないこと」と「触診の際、絶対に、見えないところには手を触れるな」。どちらも実感がこもっていた。そういうアクシデントが起きると、感染の危険がたとえなくたって、いくらシャワーを浴びても、気持ち悪いだろう。予防第一。

2008年12月13日土曜日

なんとか

まあ何とか学期修了。なんと3週間の休みがあるので、世界中を飛び回る予定。

2008年12月12日金曜日

Historic Alternans

Pulsus alternans(交互脈)というのは重度心不全のsignのひとつ。交互に強い心拍と、弱い心拍と。
Historic alternansは、全ての患者に共通した兆候。病歴をとる人によって、ハナシが変わる。

2008年12月11日木曜日

駐車場

駐車場は、病院に一番近いところから、埋まってゆく。で、遅く帰ると、病院に一番近いところの車が、まだ、残っている。多分同じ車?厳しい商売だ。

2008年12月10日水曜日

臨戦態勢

首都ワシントンは早くも臨戦態勢に向かっている.というのも、来月1/20のObama大統領就任式には、前代未聞の150万人の人が首都に押し寄せる見込みなのだ.

その規模を図るに、たとえば先月あった3万人の大学会である北米神経科学界、まあG20と重なってしまったこともあるのだがそれだけですでに、ワシントンの中心部はどこもホテル満室(ワシントンおよび周縁部のホテル部屋数は、合計95,000といわれている)、恐ろしい交通渋滞だらけであった.世界の首都であり、しかも学会・展示会開催都市でもあるのだが、物理的には意外とコンパクトで、すぐあふれかえる町でもある.

もちろん、周縁は遠くフィラデルフィアあたりまで(車で2時間位か?)、ホテルはすべて満室だという.で、アメリカ人は比較的簡単に自分の住居を人に貸すものであるが、たとえば少しはなれたところの一軒家は、就任式期間中、一週間の賃貸で$60,000(600万円)という値段がついているらしい.街中のマンション/アパートなども、300万近い値段がついていたりするようだ.



病院もその話題で持ちきり.その期間中、病院に出なければならない人はみな悲鳴.

おそらく町の中心部はすべて車止めの交通規制で、まず、病院まで行き着けるかどうか.次に、寒空の中歴史的な就任式に参加する人・人・人.その少なからぬ数は、持病をたくさん抱えながらも悲願の達成を見守ろうという老人たちであろう.東京も顔負けの地下鉄/バス混雑、そして普段歩く習慣のあまりないアメリカ人たちが、地下鉄から遠くまで歩く必要が生じる.また、就任式の期間中、街の飲酒法は一時的に緩和され、普段は1時前には閉じるバーも、夜通し営業するらしい.

そんなこんなで、ワシントン周辺の病院はあふれかえる見込み.幸い、僕自身は大学病院で小児科なので、徒歩通勤、しかも、あまり影響がないと考えられる.まあ、スリ/空き巣に注意するくらいだろうか?事前に食料を買いだめて、出歩かなくてよいように備えはするが.



Washington Strains for Inauguration
(By IAN URBINA, November 29, 2008, NY Times)

Got a Room? Inauguration Is a Windfall
(By KATHARINE Q. SEELYE, November 27, 2008, NY Times)

B12 deficiency

neuro sx refractory to folate tx

gout vs psuedogout vs infectious vs inflammatory...

External probe, US?

2008年12月9日火曜日

... and her name wasn't even Mary!

先月の外来の話。

ついて教わっていた、カソリックの女医おばさん曰く、「あ~ら、患者なんて信じちゃいけないのよ。Sexしていないとかいってもね、必要ならばhCGは必ずとらなきゃだめよ。処女懐胎というのもあるわけだから。こないだもそんなので陽性があったばっかりだわ...」

2008年12月7日日曜日

細かい気配り

近所のすし屋で、隣り合わせになった外交官夫婦と話していたら、こんなはなしに.今日、日系3世の退役陸軍大将、Eric Shinseki(新関)氏が、新オバマ政権の閣僚(?)に任命されたのだが、すし屋の外交官がいうには、12/7に発表したのは、決してaccidentではないらしい.そう、今日は真珠湾の日.オバマ氏、シンセキ氏ともに、ハワイ出身でもある.

誰かが、そこまで、気を配っているのだとしたら、たいしたものだ.

2008年12月6日土曜日

Su hígado está muy enfermo...

(著注:本ブログは多分に脚色を含み、詳細は、現実の症例やできごととは対応しない。)

月末のチーム交替のどさくさで、レジデントから担当するように言われた、末期肝炎の南米労働者。栄養状態のあまりよくない所で育ったのか、小柄なのだが、体中まっ黄色で、おなかだけサンタクロース。いろいろお話をしていると、どうやら、妻子は国許に残して、出稼ぎに来ているらしい。景気も後退の折、出稼ぎ南米労働者のアル中は、とても多い模様。南米労働者なども住む地域のこの大病院は、まだ働いて3週目だが、このひとでもう3人目である。で、こっちの知人や国許の家族の電話番号が、思い出せないらしい。到底、退院できるような体でもないし。

一人、孤独に死にゆく彼にとって、破れかぶれのspanglishを話す日本人「先生」が、この世の唯一に近い会話相手ということに、なりかねない。チームの中でも、一番暇だし、ちょくちょく様子をのぞくのだが、一日中Univision(スペイン語チャンネル)を見たり、寝たりしている。

廊下でよく見かける、南米っぽい尼さんがいる。明日はこの患者さんに、chaplainコンサルトが欲しいか、聞いてみることとする。単語が足らないから、辞書を調べなくては。



少し前に骨髄の検査をやったあたりから、事態の深刻さについて理解し始めたらしい。まあ、穴の骨に14Gくらい(?つまり、コーヒーを掻き混ぜるストローもどきの太さ)のデカイ針を刺された日には、誰だって、そりゃたまらない。Kübler-Rossの段階で言うと、その検査あたりから「否認」を脱して、「もう、これは一生涯、二度と酒は口にしない」とかいっていた。まあつまり、「取引」というやつだろう。そして今朝の回診前の診察で、「新しい痛み、アルネ?」と聞いたときの答え、「El dolor está en mi corazón, doctor.(妻子に面目がたたない、ああ、今痛いのは、心ですよ、先生)」というのは、場合によっては「抑鬱」にあたるのかもしれない。しかしさすがはラテン系の人、病気で苦悶している最中でもさらっとそんなことが口から出てくるのだ。もちろん、冗談なんかじゃなく、本人は本気そのもの。



午後顔を出したら、すっとぼけた顔をして、「先生、どこが悪いんでしょうね、私の体」などと聞かれた。でも、肝臓という単語が思い浮かばない。「Liver」と英語で言って指差しても、よくわからないらしい。病院の世界にいると、体を外から指差しただけで、中の臓器や腹を切りあけたときの様子、画像検査で見る像、関連検査値など、膨大な連想ゲームなのだが、たしかに一般人に「ここ、ここ」とかいっても、あまり意味はないのかもしれない。「ちょっと待って」とナース・ステーションのネットで「hígado」と調べ、「Señor,あなた肝臓がとっても病んでいるアルネ」といったら、僕の発音を直しているのか、あるいは言葉の意味を反芻しているのか、神妙な面持ちで何回か丁寧に「hí-ga-do」と唱えたすえに、「フムフム」と得心した様子。「いや、酒っていうやつはね、1杯、2杯、すぐにバイバイなんだよね。ウム、この先、控えなければならん。」

「受容」しているんだか「受容」していないんだか。まあ「この先」が何日間であるか何週間であるかは、神のみぞ知る。でも、もちろん、「Señor、もう一生、no puede beberですよ、絶対。」

Mechanism of Kussmaul's sign

Measure with in vivo CV imaging (beads)

2008年12月5日金曜日

Helloといえる病院

病院によって、廊下ですれ違う人が挨拶する病院としない病院がある。お医者さんたちが、病棟看護師の名前を知っている病院と知らない病院がある。お掃除おばさんが、医学生に対して話しかけてくることのある病院と、そうでない病院がある。

もちろん、医者は人それぞれだし、どこの病院にも人生磨り減って人のことなど構っていられないような先生はいるし、同じ病院でも、病棟によって微妙に空気が違ったりする。でも入院する病院を選ぶ場合は、そこら辺の空気をみることも、意外と重要かもしれない。

SOB

Shortness of breath... 主訴、息切れ
(一般英語ではもちろん、son of a bitch)

患者の聞こえるところで、「あのエス・オー・ビーの患者さんね、...」などと誤解を招くようなことは、決して、いってはいけない。

2008年12月4日木曜日

Tic circuits

Tourette's OCPD
OCD TCA

チーム・ディナー

昨日は先月のチームみんなで、ディナーをした。中東タパスみたいなののしゃれたお店、Zaytinia。若い指導医が、レジデント3人と僕の4人をおごってくださった。アメリカでは日本のように気軽におごるということがないので、みんなで感謝。指導医含め、インターンの一人をのぞいては皆Georgetownの同窓生のチームだったので、和気藹々と先生方のうわさ話などに花が咲いた。

ディナーにはこられなかったが、先月のチームには口腔外科のレジデント(つまりは歯医者さん)も参加。研修中に1ヶ月、内科研修があるらしい。まあ、内科については僕の方がたくさん知っている様子だったが、ある患者が原因不明の発熱(いわゆるFUO、fever of unknown origin)の時、歯根が腐っていることを発見して、大手柄であった。さすが。「はい口を大きく開けて~」なんて毎朝一応はやるわけだが、歯までまじめには見ていなかった。見たってわからないかもしれないし。

ほかにも、チームのインターンだった一人は、皮膚科の1年目である。だからMedicineという科は、いろいろな人が出入りして、風通しがよいのかもしれない。

しかし今月のチームもラッキーだし、博士を終わらせて病院研修に戻ってからずっと、good karma続きである。

Amyloidosis

ICUを通りかかったら、ほかのチームのレジデントが、「ちょっとおいで」、と。「一目見ただけで診断できるでしょ?」

そこには、アミロイドーシス末期の患者さん。まるでNetter図譜の戯画のような状態で横たわっている。

小錦のような体型で、皮膚だけ若干萎縮させた感じ。すごい巨舌症、風船ガムを噛んでいるかのよう。黒人さんなのだが、それでも黄疸がはっきりとわかるくらい黄色い。顔や体中に、皮下出血の痣が。もちろん呼吸器である。Foleyからは血尿がしたたっているのだが、どこかに漏れがあるらしくて、床にも小さなピンクの水たまり、これがまた凄惨。

こういうのは、教科書では、絶対に勉強できない感触なのだ。はらわたのあたりに、刺さってくる。

2008年12月2日火曜日

肺癌

典型的な症例の患者さんが来ないか、などと変なことを思うと、願いが叶ってしまいかねない。今月は主に低所得者層の患者が多い大病院なだけに、無保険の患者がやたら多い。最後の最後まで医者にかからず、とんでもない状態にまで病期が進行する。で、最後に「典型症状」を呈して救急に転がり込んでくるのだ。救急では、無保険でも、見ざるを得ない。第3世界のような話だが、アメリカの大都市ではどこでもある話。そんなのをあまり知らずに、日本では、アメリカの医療システムが凄いと勘違いする節があるらしい。

30間年にもわたって毎日1パック吸っていたら、本人もうすうす感づくものだ。一ヶ月前くらいに「魚の骨」をのどにつかえたころから、息が苦しくなってきて、声もしわがれてきた。1ヶ月で10キロほど痩せたという。空気だけのはずの大動脈級の上、気管の真横に、大きな大きな何かが居座っている。ついでに帰ってきた血液検査は、歩いて入院してきたのが嘘のような低ナトリウム血症、肺の小細胞癌なんかではよくある、SIADHなのだろう。鎖骨上リンパ節は、転移しやすいわけだが、もちろんコリコリ。歩いて入ってきた患者さんに、もう数ヶ月もないかもしれない、と、誰が告げるのだろうか。

あともうひとり、黄色い水風船のような、末期腎不全の患者。南米移民にやたら多いようだが、アルコール中毒。もう今月、3人目である。この患者は若干、英語を話すからよい。血小板が限りなくゼロに近く、体中に痣。しかも、目が黄色いので、猫のようだ。この人、町のある大学病院の救急から、2,3度、ろくに治療を受けずに追い出されている(カトリックであるうちの大学では、もちろんそんなことはないのだが、だからこそ、経営不全で大変なのだ)。FAXで診療記録を取り寄せたら、ほとんど何もしていないのが手に取るようにわかる。そう、病院によっては、救急ですら、血でも垂れていない限り道端におっぽりだされるのだ。まあ、利益事業としての医療の、必然の帰結ではある。そして、宗教系の大学病院や今いる公益法人のようなところに、回り回ってくるのだ。この国、本当に、終わっている。

皆さん、今晩寝る前に、神でも仏でも親でも何でもいいので、感謝の祈りを捧げましょう。

Temporizing

「医学生君、患者のH&Pの途中でつかえたり、うまく鑑別が思い浮かばなくて何をきいていいのかわからない時なんかはね、カルテを読むふりをしながら次のステップを考えるといいよ。」
誰が言ったのかは、忘れたが、とりあえず手帳にメモしてあったので。

2008年12月1日月曜日

When tumor is the rumor...

When tumor is the rumor,
And cancer is the answer,
Tissue is the issue...

癌というのは基本的には、組織検査をしないとわからない。放射線科で代謝を量ったり、ものによっては血液検査などで様子がわかったりもするが、最終的には組織検査でどうしようかという方針が立つ。これをin vivoにて検査するためには、抗体以外の特異的な標識法が望ましいと考えられる。