2009年2月22日日曜日

死と生の狭間で

周産期病棟にいるので、普段は産婦人科のコンサルトは関係ないのだが、休日当直のクロスカバーで、ある患者さんと関わることになった。肝臓あたりの静脈に血栓ができてしまうような症候群で、妊娠3ヶ月なのにまるで6,7ヶ月くらいのおなかの膨れよう。

あさ、超音波をころころ転がしてレジデントと一緒に診察、胎児が泳ぐのを生まれて初めて目撃。周産期病棟ではもう大きすぎて、頭だけとか足だけとかしか見えない。でもこのくらいの胎児だったら、超音波画面いっぱいに泳いでいるのがわかる。上に、下に。でんぐり返し。

妊娠中絶の反対論については、以前から動機がわからずにいたが、これをみると、理解はできる。でも、お母さんの治療のために、きっと、この赤ちゃんは犠牲になるのだ。3ヶ月では、お母さんが死んだら胎児も死ぬわけで、選択の余地はまあ、なさそうだ。第一、比較的元気そうなこのお母さんも、容態の悪化は着実に進んでおり、来週まだ生きているかですら不明。

コンサルトの目的は、胎児の健康を考慮した治療計画と、進行性の貧血が膣にたまっていないかなどの評価だったのではあるが、これは「胎児の健康」などといっている余儀はない。基本的には傍観のコンサルト経過となりそうだ。

小児科もそうだが、普段喜びが大きいだけに、こういうことがあると、心に響く。

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