2008年8月31日日曜日

Labor Day Weekend

明日は「Labor Day = 勤労感謝の日」で3連休なのだが、今日は休日出勤で「勤労の日」になってしまった。といっても、僕自身プライベートでこれといって特に何もないので、なるべくほかの同級生が休みを取れるようにと、立候補したのではあるが。

で、朝は少ない入院患者をround。入院病棟の2チームと病院内コンサルトをすべてカバーしたので、いろいろな患者について、ゆっくり面接することができた。

2008年8月30日土曜日

My name is Kenta...

...and I'm a caffeine addict.

本当はDSM-IVでは、caffeineに関してはdependenceは定義されないのだが、まあ、そこら辺は話をおもしろくするために、大目にみよう。一端dependenceの診断を受けたら、一生、その物質に関しては依存状態にあると定義される。

だから仮にcaffeineに関してdependenceが存在したとしたら、僕は、「dependence with sustained partial remission」ということになるだろう。大学の頃は、まさしくこの通りだった...



A maladaptive pattern of substance use, leading to clinically significant impairment or distress, as manifested by three (or more) of the following, occurring at any time in the same 12-month period:
  1. tolerance, as defined by either of the following:
    (a) a need for markedly increased amounts of the substance to achieve intoxication or desired effect (該当)
    (b) markedly diminished effect with continued use of the same amount of the substance (該当)
  2. withdrawal, as manifested by either of the following:
    (a) the characteristic withdrawal syndrome for the substance (refer to Criteria A and B of the criteria sets for Withdrawal from the specific substances) (該当)
    (b) the same (or a closely related) substance is taken to relieve or avoid withdrawal symptoms (該当)
  3. the substance is often taken in larger amounts or over a longer period than was intended (該当)
  4. there is a persistent desire or unsuccessful efforts to cut down or control substance use (該当)
  5. a great deal of time is spent in activities necessary to obtain the substance (e.g., visiting multiple doctors or driving long distances), use the substance (e.g., chain-smoking), or recover from its effects (該当)
  6. important social, occupational, or recreational activities are given up or reduced because of substance use (該当せず...自覚がないだけだったか?)
  7. the substance use is continued despite knowledge of having a persistent or recurrent physical or psychological problem that is likely to have been caused or exacerbated by the substance (e.g., current cocaine use despite recognition of cocaine-induced depression, or continued drinking despite recognition that an ulcer was made worse by alcohol consumption) (該当)

Sex Addiction

X-FilesのDavid Duchovnyが、「sex addiction」でリハビリ入院したそうだ。DSM-IVには、こんな診断はないのだが、レジデントによると「sex addction」は、性障害NOSではなく、衝動制御障害NOSと分類されるのではないか、という。性に関連した障害があるわけではない。今日はまた入院患者がほとんどいなかったので、そこら辺の雑談から入って、衝動の制御に関連した疾患と診断基準のミニ講義となった。指導医がきてのroundsでも、そこらへんのdiscussion(雑談?)が続いた。

一つ学んだことは、DSMの診断は、必ずしも実体のあるものではなく、それこそ、仮「診断」(とそれに基づく治療・病態研究)と「統計」の「手引」なのだ。もちろん、いろいろな症例で繰り返し同じような現象がみられることも、驚くべきほど多く、その意味では仮診断でも相当的を射たものがあることは、間違いない。でも、病理機序についてはっきりとした結論が全くない以上、それは仮の分類に過ぎないことも、確かなようだ。

2008年8月29日金曜日

ブログランキング

久しぶりにブログランキングを覗いたら、最近になって急浮上している。どなたか、リンクでもいただいたのでしょうか。いずれにせよ、ご投票ありがとうございます。もしも面白い記事があったら、今後もどうぞ、右欄のリンク(→)からご投票ください、よろしくお願いいたします。

はじめに」でも書いたとおり、主目的はエッセー執筆のためのメモなのですが、お読みいただいている以上はなるべく意味が通じるようにいたしたいと思います。略語などなど、引っかかる部分があれば質問などもどうぞ。あと、書く者としてはコメントもとてもうれしい限りです。

2008年8月28日木曜日

Axis V

DSM-IV分類のAxis Vは、Global Acessment of Function (GAF)、つまり、精神の総合評価、100点満点。

レジデントによると「GAFは無意味だからテキトーに書いてもらっていいんだけれど、患者が保険をはじかれないように、必ず30点以下にしておいてね」だって。あと、もちろん細かく点数の分布が決められているので、試験では多分何かしら聞かれるのだろう。精神科修了のためには全国共通のshelf examに合格しなければならないのだけれども、この試験、相当難しいらしい。

そういえば、薬についても「ziprasidone(GEODON)は、もし試験で聞かれたら<QT間隔延長を引き起こしやすい>というのが正解だけれども、それは過去の研究から生じた評判で、最新の治験によるとそうでもなさそうなんだよね」とか、そういうたぐいのpearlもどきも、日常茶飯事のようだ。

医学は、保険屋と試験のために存在しているのかもしれない。

Lithium subpopulation physiology

State-dependent memory

2008年8月27日水曜日

Medical SchoolのSOAP

チームのレジデントによると、Medical School 4年間の臨床教育は、だいたいSOAPに沿っているという。

1年目... Subjective (病歴聴取)
2年目... Objective (physical diagnosis、診察)
3年目... Assesment
4年目... Plan

だから今年は、きちんと患者の病状を把握・記述・プレゼントして、鑑別診断を挙げられることが一番重要ですよ、と。それができないと、治療計画など立たないから、当面はPはあまり心配しなくてよいのだそうだ。

The First Lesson

入院していた患者の退院もほとんどすませて、あとは長期入院の二人。昨日の晩も今日も新患は、内科から転送された一人のみで、もう一つのチームが拾った。だから、2時になったらレジデントが、「今日はもういいよ」といってくれた。

さすがに2時は早い気がしたので、「じゃああと少し残って今日は早めに帰ります」といったら、「third yearで学ばなきゃならない1番目のことはね、レジデントに帰っていいといわれたら、帰ることだよ!」

なるほど、ふむふむ、「Auf Wiedersehen~!」

2008年8月26日火曜日

F/U

カルテにはいろいろな略語があるが、なれていないと時々、変に読んでしまう。たとえば「F/U」。Follow upということなのだが、どうしてもFu*k youに見えてしまう。

で、昨日HI/SI(他殺企図あり、自殺企図あり)といっていた患者さんは、精神科入院病棟に飽きてグループホームに帰りたくなったらしく、今日はHI/SI/PDW全くなしとのこと。以前はデイプログラムの作業療法に通っていたのだが、グループホームの係の話によると、健康保険の削減で、デイプログラムにいかれなくなったという。それでデイプログラムをやめて以来、月に2,3回は地域の救急に現れて、HIとかSIとかいって入院するらしい。要するにattention seekingの偽病なわけだが、こちらとしては致し方ないから、レジデントに習いながら午後、無事退院させた。

ERとか精神科病棟への入院は、社会全体のレベルではとても費用が高くつくわけで、それでもデイプログラムを中止させられてしまうあたりに、アメリカの民間保険の破綻の一端が見られる。いわれてみれば当たり前だが、「貧乏な病人は死んでしまえ」というのが、収益機関としての民間保険の本質なのだ。当然だが、人の幸せなんて、どうでもよい。

ようするに、F/U。

2008年8月25日月曜日

Takedowns

そうそう、今朝大学病院内の病棟割り当て(入院病棟、精神科コンサルト、外来デイプログラム)のとき、どれでもいいので希望を言わずにいたら、チーフレジデントに「Oh, we definitely need a guy on inpatient for the takedowns」とかいわれて、入院病棟に割り当てられた。

Takedownというのは、患者が暴れだして経口の鎮静剤を拒否した場合、押さえ込んでhaloperidolかなにかを筋注するやつ。で、男手が必要だとのこと。確かに病棟に行ってみると看護婦さんもレジデントたちもみんな女性、一緒に配属された学生もみんな女の子。そんなこんなで早朝からビビっていたのだった。多分、冗談だったのだと思うのだけれど...

精神科初日

今朝はどこに行ったらいいのかわからなくて、だいぶばたばたしてしまった。でも幸運この上ない。よくわからないし、精神科の教育係にも連絡がつかないので、まあいいやと大学病院の病棟に出頭したら、すばらしいチームに割り当てられた。精神科入院病棟で、チームのresidentもattendingも教育熱心。しかもよくありがちなお節介でいろいろな課題を押しつけるような教育熱心ではなく、もっとlaid backな感じ。これはのびのびと勉強できる1ヶ月になりそうだ。

で、あとから聞いたら、本当は僕は、退役軍人病院(VA)に割り当てられていたらしい。朝から車の運転も面倒くさいし、第一、腕力が強くてしかも重篤な精神疾患を抱えている退役軍人が相手では、空恐ろしくていろいろ勉強しているどころではなかったかもしれない。こっちの精神の方がどうかしてしまいかねない。

Georgetownは精神科入院病棟といっても、voluntaryだけなので、まだまだ穏やかであるし、しかも肉体的に脅威となるような患者は、とりあえず今のところいないので、まあ心配ではない。でも最初の受け持ち患者さんからいきなりカルテにHI(homocidal ideation、他殺願望)とあって、ちょっと最初から小便をちびってしまいそうだったが、実際に会ってみるとそれほどでもないし、安全対策も万全だ。

2008年8月24日日曜日

おいおいおい

明日から開始の精神科実習、4週間。

以前渡されていた資料では、明日8:30に科の会議室に集合、とあったのだが、先ほど突然、明日は9:00に割り当てられた病棟に直接出頭せよとのメール。前日の夜ですよ。

しかも、しかも、僕は病棟が割り当てられていないようだ。もう嫌になっちゃう。

まあ、いろいろカリキュラムの融通を利かせてもらって変則的なスケジュールなので、少々手違いがあっても文句はいえないのかもしれない。

明日の朝は早朝から、事務はじめいろいろと駆け回ることになるだろう。ああしんど。

末期症状

洗濯が間に合っていなくて寝間着がなかったので、そこら辺に転がっているscrubs(手術着?)で寝てしまった。もちろん衛生的には問題ないのだが、ちょっとはやくも末世的。まだそんなには忙しくないでしょ。

しかしてアメリカでは一般的にこのscrubsを着て外を歩き回ることが行われるが、何となく衛生的ではない。外科系や看護師に多い。白衣にしたってそうだ。食堂に白衣を着ていったら、白衣の意味がないと思うのだが、そういうことはあまり深く考えてはいけないのだろう。

2008年8月23日土曜日

海外医学生のAway Rotation

アメリカのmedical schoolの最終学年(4年)は通常、内科のassistant internship(subinternship、研修医の予行演習のようなもの)1ヶ月などといったごく少数の必修研修を除いては、選択実習となる。この間、全米各国のmedical schoolに出て行って、1ヶ月単位のaway rotationをすることが盛んだ。多くの場合、これは研修でマッチしたい病院に出向いてのオーディションも兼ねていたりする。

アメリカ国内でのこうしたaway rotationはシステムがそろっていて、比較的簡単にできるし、全米メディカルスクール協会(AAMC)の内規で、費用も$100(1万円)程度である。ところが、海外からとなると、とたんに難しい。公式には海外学生を受け入れない学校も多く、受け入れる学校でも$2000以上の月謝をとったりする。



ドイツの友人に頼まれて、ちょっとそこら辺の事情を調べた。かれは、$2000(しかももちろんその上に、旅費と滞在費が重なる)はちょっと無理なようで、何とかならないか、と。

調べたところによると、この$2000は大部分がmalpractice insurance(医療過誤保険)代に充てられるようだ。臨床に関わる医学生だって医療過誤訴訟の被告となりうる。別段責任の重さにかかわらず、もしも金持ちだったりして医療過誤弁護士に目をつけられたら、いくらでも、医療過誤の訴訟の被告となりうるのだ。米国内留学の場合は、AAMCの申し合わせで、基本的には、在学のメディカルスクールが過誤保険を準備することになっているため、費用も安い。

でドイツの友人に話を戻すと、彼は英語もほぼ完璧だし、ドイツの学校の過誤保険と追加保険で海外もカバーされているというので、場合によっては何かうまくアレンジできるかもしれない。ドイツでも世話になった悪友なので、もしも探ってみたいというのなら、うちの大学だったら僕でも学長陣や事務方に掛け合ったりはできる。もしきたら、アメリカのまずいビールを飲みながらまたあることないこと語り明かすことになるだろう。

で、アメリカのシステムでうまく融通を利かせるこつを伝授した。まずはコネが重要。必ずしも強力なコネでなくても、地元の教授にお願いして、行きたい先の知り合いに一言入れてもらうだけでも違うと考えられる。この根回しによって、医学部の事務は無碍には握りつぶせなくなる。その上で、その○○先生とコンタクトをとっていることと、さらに過誤保険が不要であることを明示した上で、願書と履歴書を送付すべきであろう。

公式には海外学生を受け入れない、という学校でも、○○先生とコンタクトをとっていることと、過誤保険が不要であることを明示して、英語力の証明となる材料とともに履歴書を送付して問い合わせたら、閉じた扉が開く可能性もないわけではない。ドイツや日本では絶対にそういう融通は利かないが、アメリカというのは、そういう社会なのである。



日本の医学生の場合は、英語力と過誤保険の両方が問題となるため、またおそらく5,6年生のスケジュールが欧米各国のように融通の利く臨床ブロックではなく時期的にも難しく、だから学校で組織してもらった海外実習以外というのは、相当難易度の高い離れ業かもしれない。

参考リンク
AAMCの学外実習データベース

2008年8月22日金曜日

病院インターネット

レジデントと話していて、Dubinという、みんなが一度は読む心電図の教科書の話になった。このDubin氏、小児虐待だか猥褻だかで免許剥奪になった医者だというのは有名な噂だが、この噂の審議やいかに、という話題になった。

じゃあ、インターネットで調べようということになったのだが、レジデントは「molestation」とかそういうキーワードはまずいだろう、と「dubin child」を調べた。企業とかはよく、社員のインターネット利用を監視しているというが、病院のインターネットで変なのを調べてもやはりまずいのだろう。研究者とかは、そういう保身の態度はふつう全くないので、ちょっとカルチャーショック。病院という所は、研究室のような遊園地ではなく、本当の職場なんだな。

Black Pearls

臨床上のちょっとした知識の断片をPearl(真珠)と称する。医学はこうしたPearlを、基礎知識の上に並べていく修行なのだと思う。

で、ガセねたの知識をBlack Pearlと称するらしい。「I don't want to give you black pearls, but if I remember correctly, the main indications for CABG over stenting are ...」てな感じ。(放射線科だと、たとえ内科のインターンをしても、こういうことは忘れてしまうのかもしれない。まして、研究医をや。)

2008年8月21日木曜日

Unclear Medicine

今日は核医学(Nuclear Medicine)をまわった。放射性同位体によってラベルされた多種の化合物を投与して、その動態を追うことによってさまざまな臓器の機能や病態を調べる。でも、autoradiographicな方法はPETにしても普通の撮影とかにしても、もやもやな像しか得られないから、unclear medicineだってさ。



放射線科はあまりヒエアルヒーがしっかりしていないようだが、聞くところによると、ほかの科から転入するレジデントが多いらしい。途中で外科の激務がいやになったり、内科の研修を終えてからさらに専門として心血管の介入などを行う場合など、様々な人がいる。だから、X年目レジデントといっても、メディカルスクールを出てだいぶ経つ人もいたりして、その上でもさらにそれぞれが、専門を持っている。あるレジデントによると、「私たちはそれぞれ、勝手に自分の道を歩いているのよね。最低限みんなができなきゃいけないことははっきり決まっているけれども。」

だからかもしれないが、レジデント同士や指導医ですらファーストネームで呼び合っている。で廊下を歩くときも、別に外科のように教授から順に並んで歩くわけではないみたい。時々誰かのワークステーションの前にわっと集まって、症例についてdiscussionしたり、突然パワーポイントを出してきて発表しあったり。

2008年8月20日水曜日

乳癌外来

今日は放射線科のMammography外来を見学。来週からは精神科で、見学ではなく実際に患者を受け持たなければならないという。せいぜいゆっくりしようと、今日もまたプールで30分ほど泳ぐ。

で、乳癌外来だが、先生はmammographを読みながら、時々診察室に出て行っては超音波。その超音波が実に上手で、世間話をしながら何気なく検査している。はじめはちょっと心配そうな患者も、これだったら安心できる感じ。でも、一緒に検査をしていたレジデントはどうしても、画面に集中してしまう。後で、「確かにはじめは集中しないと読めないけれどね、そういうときは患者さんに、『ちょっと集中して読みますけれども、心配しないでくださいね』ってちゃんといった方がいいよ。そうしないとしかめっつらをみて、心配しちゃうでしょ。」だって。うん、これはまさに接客業だ。

外科とか、普通の放射線科とか、病理とか、そういう変なところにでもいかない限り、患者とうまく世間話ができるのは重要でしょう。で男性相手だったらどうしても、野球とかアメフトの話ができた方がよい。といっても、どちらも興味はないし、そんなためにスポーツ面を読んだりするほど熱心でもない。恐ろしい高給取りの選手たちが球を投げるののどこがおもしろいのだか。

2008年8月19日火曜日

Interventional Radiology

今日はinterventional radiologyをまわった。X線透視化での、子宮動脈塞栓などに立ち会った。ちょうど選択で1ヶ月やっている4年生に面倒をみてもらったのだが、来年あたりに自分がこれほど状況を把握できているかどうかは、実に不明。その4年生は、4年目のレジデントの指図を受けながらやっていて。その後ろで部長教授が、時々、アドバイスやご託宣を述べる程度。

廊下で教授先生がある指導医と立ち話していて、「うん、J(4年目レジデント)はだいぶ仕上がってきたね、ほとんど任せておいて大丈夫。これからは、slave laborとしてこき使うphaseだね。」だって。

もちろん冗談なのだが、100%の冗談じゃない。

しかし、プシュっと造影剤を注入して、ぱっと動脈が染まるようなのをみて、若干だが感動してしまった。目の前の生きた患者さんの、生きた解剖学である。本で読むのとは、だいぶ違う。

2008年8月18日月曜日

MRI物理

今朝は研修医向けのMRI物理学の講義につきあわされた。講義をしたその指導医、おおよその仕組みはわかっているようでいて、よく聞いていると相当いい加減な部分がある。かくいう僕とて、別にMRを使って博士研究をしたわけではないし、物理とかは必ずしも得意ではないのだが、脳科学においては現在MRによる脳血液酸素測定が過剰に幅をきかせているため、博士課程でちょっとは勉強せざるを得なかった。

まあもちろん、比喩的で大雑把な理解でも、臨床現場においてはさして困ることはないのだろうけれども、こういうことがあると、ちょっと怖くなる。僕の理解のとうてい及ばない分野においても、きっと出鱈目な科学もどきがまかり通っている部分は、多いのではないだろうか。

だから結局、医学の本質は、科学とは縁遠いのではないのではないかと思う。もちろん、科学的な「説明」がついていた方が、いろいろな細かい臨床の手順を暗記しやすいことは間違いないが、結局は手順を暗記することが目的で、科学的な本質は、それ自身においては意味をなさないのではないか。高度かつファジーなheuristicこそが医学の本質で、病人が目の前にいたときに何をすればいいかという方針さえ立てば、あとは、実をいうとどうでもよいのではないか。

日常生活では、地球を平たいと考えた方が都合がよい。医学でも、「実際に何か手を打たなければならない」という要請に従って、科学を単純化・歪曲・誇大解釈する気質があるように思われてならない。でもそのつもりで地球の際を見つけようとしたりすると、時々、馬鹿を見ることもやむを得ないのか。

ニンニク(II)

以前も書いたが、ニンニクが好きで好きでしょうがない。

週末、買い物ついでに、Washington DCのタイ人たちが一番おいしいというThai Squareで、ニンニク風味の豚肉炒めを食べた。この店、安いけれども、いつもおいしい本格派である。米帝国の首都は世界中の人が一時的に暮らす妙な都市だから、こうした手頃で小さな本格派各国料理が多い。各国出身者を捕まえて尋ねると、大抵、おいしいのにありつける。

それはそうと、盛りつけがあまりに多くて一人では食べきれないものだから、doggie bag 1 を頼んで、半分持ち帰った。そこまではよいのだが、それをそのまま今日の弁当にしたのは、ちょっとまずかったかもしれない。容器のふたが緩かったこともあって、朝のカンファレンス中、鞄の中からニンニク臭が部屋中に立ちこめてしまった。昼はちょっと時間があったので、晴天の中庭で人目(人鼻?)を気にせず食べたが、その後、ガムで口直しをするのも一苦労であった。




1.ドギーバッグ... 米国の中級以下のレストランで食べた場合、食べきれなかった料理を使い捨て容器に詰めてもらって持ち帰る。これをdoggie bagというのだが、実際は犬にやるのではなくて、ふつうは、人が食べる。

2008年8月17日日曜日

強迫性人格障害

再来週からは精神科。ちょっと予習(復習?)と思ったら、早速Medical Student Syndromeに罹患してしまったようだ(医学生心気症症候群、自分がいろいろなビョーキだと思いこむやつ)。



DSM IV Criteria
Obsessive Compulsive Personality Disorder


A pervasive pattern of preoccupation with orderliness, perfectionism, and mental and interpersonal control, at the expense of flexibility, openness, and efficiency, beginning by early adulthood and present in a variety of contexts, as indicated by four (or more) of the following:
  1. is preoccupied with details, rules, lists, order, organization, or schedules to the extent that the major point of the activity is lost. 該当
  2. shows perfectionism that interferes with task completion (e.g., is unable to complete a project because his or her own overly strict standards are not met) 該当
  3. is excessively devoted to work and productivity to the exclusion of leisure activities and friendships (not accounted for by obvious economic necessity)該当
  4. is overconscientious, scrupulous, and inflexible about matters of morality, ethics, or values (not accounted for by cultural or religious identification) 該当せず
  5. is unable to discard worn-out or worthless objects even when they have no sentimental value該当
  6. is reluctant to delegate tasks or to work with others unless they submit to exactly his or her way of doing things該当
  7. adopts a miserly spending style toward both self and others; money is viewed as something to be hoarded for future catastrophes 該当せず
  8. shows rigidity and stubbornness該当

2008年8月16日土曜日

風邪

風邪を引きそうな感じ。読影室にほとんどこもっているので、別に病院だから、というものでもなさそうだ。楽な科のはずなのに、やっぱりストレスがたまっているのだろうか。葛根湯でも呑んであしたは一日ゆっくりした方が良さそうだ。

2008年8月15日金曜日

1万カロリー

今日は指導医もフェローも女性だった。で一緒に回っているのは女子学生ときたものだから、なんだか一人、取り残された感じ。

なんでもマイケル・フェルプスは相当へんな食生活らしく、一日1万キャロリー近く、食べているらしい。「あら~、私も1日1万カロリーであんな体格がほしいわ!」「そうね、スタート前のプール際に並ぶ一瞬だけでも、オリンピックは見た甲斐があるわ。」でさすがに放射線科だけあって、マイケル・フェルプスのsurface anatomyに話は移ったのだが、もうこっちは居心地が悪いったらありやしない。

女性って、陰ではいつもこんな話をしているのだろうか?あと立場が逆転したら、立派なセクハラでしょう。まあ公平を期するに、彼女らはビーチ・バレーのビキニの話もしてはいたのだが。僕は、トーテムポールの最下位である医学生として、無視されているのか、それとも、男性として、無視されているのか。いずれにしても、何だが「嫐」とか「姦」とか、変な漢字を思い出してしまう。

2008年8月14日木曜日

あんたちょっと、Azyxxiにログインしてくれない....

...家から使っていたら、なんだかブラックリストかなんかに載せられたみたいで、私のアカウント入れなくなっちゃったの。なんとかしなくちゃね。

とかいわれて、指導医のかわりに患者情報システムにログインすると、病院中の患者の検査結果やら手術の記録やらが、画面からあふれる。もちろん読影している患者さんも入っている。そんな医学生にね、全部筒抜けでOKなのかしらん。こんな時に、なんだか医療を供給する側にたったことを実感する。



「ほら云わんこっちゃない、Hep C陽性でしょ、この肝硬変はそれと、酵素とかもみてごらん、きっとアル中だから」

診察で皮膚の外側から体を探るのはまあ、一つだが、これは中まで筒抜けだ。

2008年8月12日火曜日

読影

ただの胸部Xせんからだけでも、恐ろしい情報量が読み取れるものだ。あるのかないのかわからないような線とかでも、「で、NGチューブがここからこうきてちゃんと胃にいっているでしょ」とか、「このtrachはちょっと位置が高すぎるかもね」とか、「あほら、これはbreast implantね」とか、「これは皮膚のしわ」とか立て続けにいわれて、どうしてそういう風に読んだか教えてはくれるし、確かにそういわれるとそんな気もするけれども、ファジーさが怖くて、何かにすがりたくなる。こんなのコンピュータには無理無理。

2008年8月11日月曜日

放射線科1日目

放射線科の選択実習2週間は、殆ど休日のようだといわれていたが、そのとおりのようである。8:30に病院に出て半日musculoskeletalの読影を見学して、それから指導医のレジデント向けの講義、レジデントの学生用講義、指導医による学生用講義と3時間で解散。学校のプールが夏の改装で今週閉じているのが、残念。少し川沿いでも走ってやろうか、そして来週は思いっきり泳いでやろう。



● それにしても、解剖なんて多かったり足りなかったり、結構いい加減なところもあるのだということが、知ってはいたが実感する。あとこの写真はちょっと撮り損ね、とか、この角度からはちょっといいけれないからまた撮り直し、とか、まあ判別はつかないけれどもどっちにしても良性だからまあ適当にごまかしておこう、とか、いろいろと複雑なものだ。これだから、完全な自動化はできない。自動翻訳と一緒で、結局、人間の眼・人間のpsycheを通してではないと、人間世界で有用な情報の摘出はできないのかもしれない。

● 恐ろしく高解像度の写真が、各医師の前に6台ずつ並ぶ大画面液晶に映し出されていて、圧巻。カルテはすべて電子形式、紹介状などの紙文章はすべてスキャンされている。

● カルテの書き込みはコンピュータシステムにdictationしていたし、見学していたレジデントは「手のCTは症例が少なくてちょっと苦手なんだ」とかいいながら、コンピュータシステムに組み込まれている解剖図版などを参考にしながら読んでいた。まあ、そういう人間の判断を支援する半自動化は、どんどん進むのだろう。



これは心して、次の精神科4週間と、それよりもその後に控える内科3ヶ月に向けて予習すべきであろう。つい、怠けてしまいそう。

白衣

今日から病院。おかしいくらいに、別段緊張はない。まあ、お金をいただいているんだから、一生懸命働いてあたりまえだし、最悪、退学になったって、研究員に戻ればいいだけの話でもある。そう思えば、別に馬鹿をさらすことも、無知でしかられることも、ちっとも怖くない。しかも、Dean達との相談で、楽な放射線科から始まるようにスケジュールを組んでもらった。

それにしても解剖、一つも覚えていないぞ... 2002年、何年前の話だ?MD/PhD課程は、そこらへんが、相当しんどい。

2008年8月9日土曜日

伊達めがね

体液などがが飛散して目に入るのが怖くて、今日は新車のフィットを繰り出してモールの眼鏡屋さん。0度のレンズ(レンズとはいわないか?)の入った伊達めがねを購入。

一時サルの実験をしていたときは、安全規定でそれこそ宇宙服のような装備だった。もちろん、実験眼鏡も必須。アトランタの猿研究所で以前、サルの小便が目にはねて、異種感染の脳炎で技官が死んだのだそうだ。

しかも病院では、病気とわかっているヒトを相手にするのだから、それ以上の装備でもよいようなものだが、さすがに、実験用の眼鏡では、仰々しい。

それにしても、ちょっと以前よりも賢そうに見える。あと、20代前半くらいの感じに若返りか?

2008年8月7日木曜日

病院実習は結構離れた病院にも行かねばならない可能性があって、アメリカだから当然公共交通では、無理。ヨーロッパで稼いだユーロと、その前に医学英語の翻訳で稼いだ貯金をはたいて、新車のFitを購入。値段なんてあってないようなもので、面倒くさい話だ。週末はドライブにでも行こうかな、一人で静かに。

HIPAA研修

患者情報保護法の研修。廊下で、大声で、患者について話し合ってはいけない。
なるほど。フムフム。守りますよ。署名。

2008年8月6日水曜日

ポケベル

ポケベル、PDAを受け取る。中学校くらいの頃だったか、日本でポケベルがはやったのは。僕を呼び出したってしょうがないのにさ、一応ベルトに引っかけると、それっぽい。SMSなんてものが、世にはあるのだが、まあよしとする...

PDAはなぜか学校指定はPalm。いろいろなあんちょこソフトも供給された。今時Palmを使っている人なんてそうはいないでしょ。しかも日本語が不可。メールはもちろん、そのほかについてもそれではちょっと使えない。今まで使っている東芝Genio e830とどう組み合わせるか、考えどころだ。

2008年8月5日火曜日

帰国

ワシントンDCに帰国。1年間のドイツ研究員生活も無事いったん終了。ただ、幸いにドイツ政府のHumboldt財団の研究員に内定したので、またとおからずドイツに戻ることになる。

で、病院実習は多分忙しいことも多いので、なるべく細かく日記にて所感を書き留めることを目標とします。



「世界の首都」は道が悪い。Autobahnと比べては悪いのかもしれないが、それにしても穴だらけ。穴だらけのインフラは道だけではない、スーパーなどの物価も1年で1.5倍近くに急騰。

これは斜陽か。