2010年4月28日水曜日

Gas Passer

ついでにもうひとつ思いついたので。Gasをpassするというのは、放屁のことだが、麻酔科のことをこう呼ぶ。ガス麻酔のこと。

Chandelier sign

痛みで飛び上がって、シャンデリアに飛びつくくらいひどいのをいう。Classicallyには、PIDのcervical motion tendernessを指す。

2010年4月22日木曜日

amnestic shellfish poisoning

domoic acid

I need an intramuscular shot of penicillin...

これが主訴。まあようするに、梅毒の治療を良くご存知の患者さん。

OK sir, please change into this gown. We'll have to examine the chancre first...などとはいってみるものの、本心は、(you need to zip up your fly...)。

救急も、しばらくやる分には、いろいろあって面白い。

2010年4月18日日曜日

Status Hispanicus

癲癇が続くこと(狭義では30分以上)を、Status epilepticusという。それに模して、ヒスパニック患者にみられる大げさな痛み反応をいうのが、表題の卑語。「アイ・ヤイ・ヤイ」症候群(これはスペイン語?の痛みの叫び声)とも呼ばれる。

まあstereotypeではあるのだが、一般に、ヒスパニックの患者は痛覚の閾値が低いとされる。経験の限りでは、一理くらいはありそうだ。もちろん、それで例えばヒスパニック患者の急性腹症に対して多寡をくくるのは愚かかつ危険なのだが。脳神経科学的にいって、この現象、どこまでがorganic(たとえば痛覚レセプタの遺伝型)なのか、どこまでがpsychosocioculturalなのかは、おそらく明らかではないと思われる。いずれにしても、今日の救急部は、アイアイアイが響き渡っていた。

まあ、痛みの問診は基礎中の基礎でPQRST(P:provocative/palliative factors憎悪・緩和、Q:quality、R:region/radiation部位・広がり、S:severity、T:timing)など教科書的なやり方はいろいろあるが、結局はどうやらパタン認識で、腹膜っぽいとか、心筋梗塞っぽいとか、胆嚢っぽいとか、そのパタンによって問診と、それを書き留めるキーワードも少しずつ調整して使い分けるのがコツのようだ。すべてについてPQRSTなんていう人はいない。

中でもseverityとかについては、問診してもあまり意味がないようだ。というのも、通常は、0(無痛)~10(一生で一番ひどい痛み)、という数字を訊いたりするが、10といって平気な顔をして座っている患者もあれば、腎臓結石の閉塞性腎盂炎で冷や汗をたらしながら4とか言う人だっていた。とくに、オピオイドが好きになってしまった患者さんとかは、そこらへんを上手く操作しようとしたりもする。まあ、「5から9の間を、行ったりきたりする」、とか、「先週はずっと5くらいだったのに今日から突然10ですよ」とか、痛みの持続性・トラジェクトリを知る上では、使えるのかもしれない。

2010年4月17日土曜日

Open your mouth and say ahhh....

というのを一晩に10回以上やっていたら、風邪の一つや二つ、ひくに決まっている...
小児科は都合3ヶ月、咳きひとつなく健康で終わったのに。

Do you feel safe here...

ときたら普通はdomestic violenceの問診だが、schizophreniaの場合は、違う。

...don't you think they[FBI]'ll find you here? なんて、煽っちゃいけないのですが。

カリフォルニアからわざわざ首都まで飛んできたという明らかに裕福なおばちゃん。FBIに追跡されているらしい。あと、明日はカリフォルニアの上員議員と、面会するのだという。主訴は腹痛。マリオットホテルの陰謀で、毒を盛られたのだそうだ。だから、今朝、ハイアットに移ったのだとか。

まあ、クレジットカードに敵なし、というやつだろう。貧乏人が分裂病になったら、とたんにホームレスなのに。それにしても、救急は、いろいろと面白い。

2010年4月9日金曜日

急性腎不全

未明の救急。ホームレスの、frequent flyer (救急部の常連さん)。この足のくささ、さすがに、生まれてはじめて。想像を絶する。廊下からすでに、においが充満している。1年は靴下を替えていまい。シュードモナスの壊死で足全体が腐っているのにも顔負けの臭さ。しかも、アンモニアの濃厚溶液と硫化水素を足したような、卒倒してしまいそうなこの臭い。

こんな臭くては、鑑別も診察も適当になってしまう...

で、「アルコール禁断症状と連鎖球菌による咽頭炎」と決め付けていたら、Chem-7をみてビックリ仰天。相当ひどい急性腎不全のBUN/Creatである。Kも6。一応とっておいてあったEKGは、特にこれといって何もなかったから、まあよかったようなもので。ホームレスのアル中、精神疾患も多いからと思っていたのだが、会話があまり普通に成り立たないのは、腎不全によるAMSもあったのかもしれない。もしも白人の知識階級の患者さんがこういう症状で入ってきたら、間違いなく腎不全が鑑別の上位であったろう。

どおりで、「朝からだるくて吐き気がする」というわけだ。朝からもう、半日以上も飲んでいないというから、てっきり、それによるものとばかり思い込んでいた。振戦なども相当ひどく、すぐにベンゾをあげたらまあ納まったから、それも、あったにはあったのだろう。でも、何故朝からずっと飲んでいないのか、ということまでは、頭が回らなかった。まあ、腎不全でお酒が飲めなくて、それで禁断症状、という話の運びなのだろう。

さっさと内科ICU送り。きっと緊急透析。

2010年4月4日日曜日

He's not ready yet

指導医: can you see that new guy in #12?
学生: yes sir
...
学生: Mr. Smith, Mr. Smith! Do you know where you are?
酔っ払い: (唸るだけ)
...
指導医: OK, give me the story.
学生: He's a drunk guy, BBA (brought by ambulance), vitals normal, no known head trauma, no lacerations. He's muttering incoherently, not ready yet.
指導医: OK. Check him again before the end of shift.



酔っ払いはたいてい、3,4時間寝て、良いがさめたころに、帰ってゆく。
救急の日々。

2010年4月2日金曜日

San Francisco実習(1)

先月一ヶ月は、サンフランシスコのUCSFで、小児消化器の実習を行ってきました。




アメリカの医学部の最終学年(4年)は、どこのメディカルスクールでも殆どが自由選択実習なので、全米のどこで行っても良い。直接の医療以外にも、教授のさえあれば研究とかだって出来る。たとえば居年末は研究「実習」と称して、3ヶ月間、ドイツにポスドクに戻った(もっとも単位は2か月分しか認定されなかったが)。

医学の実習に関していうと、アメリカの認定されたメディカルスクールならどこでも、出身校の学費さえ払っていれば、よそのどこの学校・病院でも実習が出来るというシステムが整っている。あるいは、アフリカや南米の低開発国に行って病院で働く同級生も、とても多い。

アメリカの場合は出身校に残るということが必ずしも、良いこととはされない。まあ生え抜きで、出身校で研修を行って、研修終了後10年以内に正教授、なんていうサラブレッドはどこにでもいるが、通常はどうしても、同じところにずっと居座って特にうだつがあがらない場合は即、他所に移る実力・気力がない、と見られがちだ。つまり、研修は他所に移るのが、普通なのである。

それだから、この4年目のElective実習は、研修のオーディション(試用)や研修先決定の材料のために使われる。人気の科や人気病院に応募する同級生は、場合によっては半年近くを他所の学校で行ったりする。あるいはたとえば西海岸出身で、あるいは配偶者が遠距離の場合は、その当地に出向いて4年目の殆どをその地ですごすことだって、可能である。

僕の場合は1年間またドイツで研究してからおそらく、2011年のマッチで小児科のインターンを探すことになるので、小児科インターンのポジションがあるUCSFでオーディションをした。小児科は通常3年の研修だが、1年目インターンだけのPrelimというポジションもある。通常は、Prelimというと一般内科、一般外科、あるいはtransitionalと呼ばれるスーパーローテーションみたいなのの三種類だけであるが、実を言うと小児科のprelimというポジションもあるのだ。まあ殆ど知られていないし、全米で毎年20ポジションだけではあるが。Prelimの一年間を終えると、医師免許が取れ、また、麻酔科・放射線科・神経内科などの後期研修に進む資格が、生じる。ただし、各課(内科・外科・小児科)の専門医資格は、ない。




まあいずれにしても、サンフランシスコはとても気に入ってもらって、とても居心地がよく、また勉強になった。今月は必修の救急実習で比較的暇なので、ぼちぼち、先月の思い出を書き残すこととする。

ACLS

ACLS合格。こんなのでいいのだろうか。理論的には、心肺停止の患者に対する高度医療を施行できる、という資格であるわけだが、実践的には、無理というもの。ペーパードライバーもよいところ。

2010年4月1日木曜日

ACLS

医療者向けの心肺蘇生。救急実習の一環で2日間の講習を受講。4年生は病院でも、監視下ではありながら自分で医療を施す立場に立つことを求められるし、卒業も間近。