2008年9月16日火曜日

FD12

常連患者。極端な人格障害で、地域中の精神科病棟を遍歴して暮らしている、という意味では悲劇的でもある。「テディーベア兆候」陽性(人格障害に伴う子供帰りというか、人格形成不全というか)。もう何10回も入院していて、前回は二ヶ月近く居座ったという。Suicidal ideationさえ示せば、いつまでも居座れることを知っている。もっとも、すでに何回も相当深刻な自殺未遂を行っているので、冗談とばかりにはいかない。

でもさすがに病棟のルールを取り締まろうとするスタッフを蹴ったり、相手にしてもらえないからと朝から晩まで阿鼻叫喚して病棟のほかの患者の精神衛生を乱したりすると、チーフレジデントが黙ってはいない。容赦なく、あっけなく、FD12という強制入院手続きを済ませて、securityの守衛さんたちによって担架に括り付けられて、haldolを打たれて、地域の精神科強制入院病棟を有する病院に送られていった。

チーフレジデントによると、ありとあらゆる境界性人格のなかでも、もっともひどいという。日がな大声で嗚咽が聞こえてくるのは、いかにも「精神科入院病棟」といった1日半ではあったが、病棟中みんなぴりぴりしていて、いやだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿