2008年12月20日土曜日

Double barium swallow

クリニックの放射線の先生が、戸棚からごそごそと、古いフィルムをとりだしてきた。
「このabdominal film、読んでみてごらん。」
そういって、渡された、フィルム。

今時、本当のフィルムなんて、田舎の病院から転送されてきた患者とか、古い先生の講義の時くらいしか、お目にはかかれないから、まず、方向を間違えて馬鹿をさらしたりしないように注意しながら、メディカルドラマかなんかでみるように、勢いよく、viewboxに差し込む。PACSで自動化されていると、よほど技師がドジでも、フィルムの方向が違うことは、ない。

でまあ、食道のあたりから順に下に追っていくと、おやおや、回腸に何か細いホースのような筋が。「Oh, he has a parasite!」と興奮気味にいったら、どうやら、学生でこれが分かったのは初らしい。高校の頃だか、巷ではやっていた寄生虫の本を読んで、おもしろいので目黒の寄生虫博物館に見物に行ったのを、思い出す。

で、回虫かなにかだと思われるその寄生虫の消化管にも、バリウム造影剤が通っているのが、よく見るとわかるのである。この患者は、メキシコ移民で、その昔、ある年の1月の、最初の患者さんだったという。「まあこういうのは、アメリカでは、once in a lifetimeというやつかもしれないね」と、インド出身のその放射線科のおじいさんは、いう。「二体分の読影で、倍額を請求しようかとも思ったのだが」、と冗談。

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