2009年1月28日水曜日

小児科preliminary year

研究が本命。でも、医師免許はいろいろな事情からあった方がよい。アメリカだと大学4年卒業してメディカルスクールさらに4年(研究医課程だと7,8年)だが、学位MDは別として、医師免許を取得するためには、さらに最低限1年間の研修が必要となる。つまりアメリカの医科大学院は、実質大学卒業後5年間の課程、ということになる。

研究などほかの方面に進む予定で免許だけ取りたい、という場合は通常、内科のpreliminary yearという一年間限りの研修(インターン)をやる。(一般内科医として認定を受けるためにはさらに2年、専門内科医として認定を受けるためにはその上さらに3年くらい研修が必要である)。まあ、外科のpreliminary yearや、いろいろな科をまわるtransitionalと呼ばれる一年もあるにはあるのだが。

で最近、小児科が楽しくてしょうがないし、他人とコミュニケーションをとるのが苦手な僕としては、内科より小児科の方が絶対に向いているような気がしてならない。また、科学的にも、小児科の方がおもしろい。というのは、何十年もの残渣がつもって起きる内科系の慢性病なんていうのは、一般的にいうと、そう簡単に実験系に落とし込むことはできない。癌みたいな大人と子供と両方起きる疾患だって、小児癌の方が総じて純粋な形で露見する。あと誤解を恐れずにはっきり言ってしまうと、大人までなかなか生き残れないような奇病だって、小児科なら世話をすることがある。そして、罪深い大人の騙し合いにも発展しかねない内科診療とは違い、少なくとも子供には、罪は、ない。

だから、もしも科学者として生き残れなかったら、小児科だろうと思う。でなければ、老人科ないしは腫瘍内科。死にゆく人も総じて、原罪のみの原初の形に回帰する。



ちょっと調べたら、数は少ないが、小児科のpreliminary yearというのも、あるらしい。すると、小児科に暮らしながら免許が取得でき、先々臨床(小児科)に戻ろうということになっても都合がよい。ただし、全米でポジションの総数は20足らず。研究が盛んなような病院(大学)に限っていうと、片手に収まってしまう。

だから今日はうちの大学の小児科の研修部長に話を聞きに行った。で、今までの成績とか履歴を見せたら、たしかにポジションの数は少ないが、そのポジションを目指す人も少ないわけで、このままいけば十分可能性があるような回答だった。だから、これからは「what do you want to go into?」と聞かれたら、迷わず、「peds preliminary year」と答えることとしよう。珍しいコースなので話のネタにもなるし、すかさず研究医課程の特待生であることをさりげなくintroduceするきっかけでもある(10中8,9、MD/PhD課程の学生だとわかると、指導医でも研修医でも、皆リスペクトというか丁寧さが変わる)。あと、小児科は総じて病院の中では下にみられがちだが、内心どこかでは皆、尊敬している気もする。

だけれども、免許だけ取得して、何年か研究をした後にまた小児科の研修に戻ろうとすると、それはそれで大変らしい。小児科というのは基本的には、2年目からの研修というのがなく、3年一環の教育が主流なのだ。また研修中の人の流動も少ない科なのだそうだ。そのうえ、臨床にギャップがあることは、好まれないという。ギャップなく、というと研修の1年目からやり直す、という手もありそうだが、そうすると政府からの研修補助金が余計な1年分は出ないため、金銭的に受け入れてくれる病院は少なかろう、と研修部長はいう。

ただ研修を完了して認定医でなくても、政府機関や国際機関で働く場合は、免許の有無だけで全然待遇が違うそうだ。そういう可能性については、全く考えていなかったので、とても参考になった。

まあ、とても親切な方でいろいろ教えていただいたので、とても充実したmeetingであった。

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