今日は、緊急D+E(中絶)の準備手伝いで駆け回っていた。母親が死んだら当然赤ん坊も死んでしまうような在胎齢だし、医療上も絶対的に必要である。でも、カトリックの大学病院では、絶対に必要でもなかなか倫理委員会の許可がおりない。書類や道具も調っていないし、第一、普段からこれをやっている指導医がいないので、関連病院から指導医を招くことになった。とても人のいい大柄の産婦人科医が、道具を担いでやってきた。
どでかい吸引カテーテルで掃除機のように吸い出してから、残りをきれいに削り取る。残渣があると、出血や感染の元になりかねない。そして最後の残渣を「キュッ、キュッ、キュッ」と削り取る、この子宮の音を、uterine cryと呼ぶ。子宮の泣き声。
別に、僕自身、罪の意識は全くない。バラバラ状態になった16週くらいの胎児が机の上に並べられても、全く動じなかった。先週超音波をごろごろ転がしていって、病棟でみたときには、元気に泳ぎ回っていた胎児だ。そして全く動じない自分に、むしろ、動じたくらいだ。
2009年2月27日金曜日
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