2009年2月5日木曜日

2人目以降

最近大学病院では胎内CMVの赤ちゃんが立て続けに何人もNICU(新生児集中治療室)にかかっているらしい。現在小児感染症コンサルトの回診に参加しているのだが、4年生がそのCMV新生児の一人をプレゼンしていたら、指導医が、「この子何人目?」と聞いた。「G2P2(2回妊娠、2回出産)、2人目です」というと、指導医は、「そうなのよ、大抵CMVは2人目以降、つまり上の子がどこから持って帰ってきて、それが母親の一次感染源になったりするんですよ」と。

こういうのは教科書を見てもなかなか書いていないが、有機体としての病気の、一面である。だから、病気の研究をするのであれば臨床経験は欠かせない。幸い、脳の病気は基本的には基礎研究・生理学の手には負えないものばかりだから、その点、あまり心配はないような気はするのだが。



そういえばNICU。小児感染症チームに配属になって初めて立ち入ったが、熱帯雨林とか東南アジアのように、蒸し暑くしてある。そのなかにジャングルのように機械が並んでいる。大きな機械、小さな赤ちゃん。外来では健康な新生児をたくさんみることができたが、小この子たちは様子が違う。より、有袋類などの早生動物の赤ちゃんに近い。まあ、発生学上、当然といえば当然だが。

早生児や奇形児、そのほか、どこまで積極的に治療するか、というのは、実に難しい選択である。「見捨てろ」という人もいないし、「何でもよいから管だらけの針刺し状態にして心臓だけは鼓動を続けるように維持せよ」という人もいない。でも、その両極端の間のグレーが、とてつもなく、広いのだ。

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