アメリカの医師には、二種類いる。一番ふつうなのは、allopathic physician (MD)。これは、歴史的には蝦蟇の油売りのような流れに端を発する。もう一つ、人数は少ないが、osteopathic physician (DO)。これは、歴史的には、整体のような流れに端を発する。現在ではDOは主に、家庭医療に携わっている。
木・金と、クリニックの老軍医の外来で働いた。DOである。血圧とか高脂血症とか、そういうのはMDもDOも同じ治療をする。でも、mechanicalな背部痛とかになると、豹変。もちろん神経の圧迫や心血管系その他の危急な鑑別は除外するのであるが、musculoskeletalな背部痛については触診で、どの筋・どの靱帯が痛んでいるのかと、骨格の歪み・癖を特定してから、整体が始まる。どの筋・靱帯を治療するかによって、患者はいろいろな風に腕を組まされたり、俯せ、仰向け、いろいろである。小柄でやせた老軍医が患者の上にまたがるようにして体重をかけると、ボキボキと音がしたりする。で、「ああ、うまく外れたでしょ。感じる?」
2日でそんな患者さんが5,6人は、いた。変化のなかった1人をのぞいては、皆、急に楽になったので、驚くとともに感謝していた。西洋医学は澄まし顔をしていることが多いが、その反面、どんどん生身の患者からは遠ざかっている。血液検査と完備された薬局がなければ何もできないような、そういう医者も多い。レジデントの中には、さらに、専門コンサルトがなければ本当に何もできないのではないか、と疑わしい人もいる。しかしDOにせよ、MDにせよ、年配の医者と働くと、そういう傾向は医学の重要な本質を見失っているのだということが、肌で、感じられたりする。
現代の、多忙で高度専門化した医療システムの中で、そういう医者を目指そうとしたら、それこそ、時代の流れに抗うライフワークであろう。とても、研究の片手までできるような、生半可な営みでは、ない。
2008年11月1日土曜日
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